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しおりを挟むその甘くとろけるようなキスも、触れる身体のぬくもりも、名前を呼ぶその低い声も。
全部、同じはずなのに。
「……、ああ…っ!」
何かが、違う。
「祐希…」
「ぁ…んッ、…」
床に汗がぽたぽたと滴り落ちた。
「……感じてんの?」
皐月は俺の顔を覗きこむようにして言う。
「……ッ」
「すげーよ?おまえんなか…」
耳元で囁きながら、皐月はもう余裕なんてカケラもない俺のモノに触れた。
「……っ!」
先端を指先でぐりぐりと刺激されれば、もう堪らなかった。
「だ、だめっ…イッちゃうっ…」
「イケよ」
「あ、やだ…っいや、!」
「……っゆう、」
「あ、ああんッ、あ、あ……ッ!」
昇り詰める瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
最近なんだか、皐月が優しい。
前から優しかったけど、この頃特にそう感じる。
それは勿論嬉しいことだけど。
でもたまに、不安になる。
「大丈夫かぁ?なんかフラフラしてっけど」
翌朝、教室でアキに声を掛けられた。
「……ちょっと、寝不足」
「なに、勉強でもしてたわけ?」
「祐希が?ありえねー」
けらけらと近くにいたクラスメイトが笑う。
「んだよ、俺だってテストの前くらい…」
やろうとは思ってたけど。
実際は明け方までヤリまくっていた。
疲れてるはずなのに、皐月は何度も求めてきた。
……溜まってたのかな…
互いに力尽き、ようやく微睡(まどろ)みかけたところで目覚ましが鳴って、いつものように叩き起こされ部屋から放り出された。
皐月はなぜか、学校に関しては厳しい。
――とにかく、卒業はしろよ?
言われなくてもそのつもりだけど。
早く働いて、生活費くらいは自分でなんとかしたいし。
……それにしても、ねむぃ…
テスト中に寝てたら起こして、と後ろの席の奴に本気で頼んだ。
テスト期間中、学校は午前中だけなので多田とマックで昼飯を食べた。
「……おまえ、そんだけ?」
俺のトレイを見て、多田が不思議そうな顔をする。
「なんか、食欲なくてさ」
「……不気味だな。具合でも悪いのか?」
「……そうじゃないけど」
皐月から貰うお金は、あんまり遣いたくない。
生活費は母さんから貰ってるって前に言ってたけど、それはたぶん嘘だ。
「………」
テストはなんとかやり終えたものの、まだ頭がぼーっとしている。
「……あれかも。恋わずらい?」
ボソッと言うと、多田はコーラでむせていた。
「……はぁ?」
「冗談。そういや休み時間にさ、隣りのクラスの子に多田のこと訊かれたけど」
「なんて?」
「……多田くんってぇ、好きな人とかいるのー?」
キモいからやめろ、と多田。
「でもその子、結構かわいかったよ?名前忘れたけど」
「別に、興味ない」
多田はいつも無表情だし、雰囲気に迫力がある。
だからよく怖がられるけど女子にはモテる。
顔はいいし背は高いしスポーツも出来るし、無口で愛想が悪いのも見方を変えれば寡黙でクールといえなくもない。
よく一緒にいるという理由でそういうことを訊かれるのは、今回が初めてじゃなかった。
「まぁそう言うと思って、俺とデキてるってことにしといた」
「なんでだよ」
「だけどさ、なんか勿体なくね?多田ってレンアイに興味ないの?」
「……別にそういうわけじゃねぇけど。でもそういうのって、誰でもいいってわけじゃねぇだろ」
「まぁ、そうだけど…」
「なんの気持ちもねぇのに、つきあったりできねぇよ。相手にも悪いだろ」
なんか、多田らしいなぁと思った。
「……でもさ、」
すっかり冷えたポテトを摘みながら言う。
「向こうは案外、それでもいいって思ってるかもよ?」
「……は?」
たとえ愛されてないってわかってても。
誰かの身代わりでも、それでもいいって。
そう思えるほど、相手の事を好きだったら?
「……祐希?」
多田の訝しげな声で我にかえる。
「……ごめん、変なこと言って。最近寝不足でさ」
「………」
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