nesessary(BL)

kotori

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それはまるで、音のない映画を見ているようだった。
実際には音楽が、耳がいかれそうなほどの大音量で流れていたけど。

祐希はそこにいた。
というか、そこに放置されていた。

「祐希!」

その身体を抱き起こしても、反応はない。
気を失っているのかと思ったが、そうじゃなかった。

「おい、しっかりしろっ」
「………」

瞬きすらせず、ただ空を見つめている虚ろな瞳。
細い腕がだらりと床に落ちる。

「祐希…っ!」
「……あんた、誰?」

顔をあげると、そこには男が立っていた。



「あぁ、あんたこいつの…」
「……こいつに何したんだよ」

声が震えた。

「なんで、こんな…っ」
「……なんでって、」

だってこいつ俺のだし、と言って男は笑った。

「けど、よく仕込んであんじゃん。前は泣いてばっかで全然使えなかったのに」
「……っ!」

胸ぐらを掴んで殴り倒すと、男の身体がデッキにぶつかる。
耳障りな音楽がぶつりと途切れた。

「……ってぇな…」

口元を拭いながら、男はふらふらと立ち上がる。

「……言っとくけど、こいつだって楽しんでたぜ?さっきだって、中出しされてイキまくってたし」

男の手から、ぱらぱらと撒かれる写真。
床に落ちたそれを見て、頭のなかが真っ白になった。

「よく撮れてんだろ?結構売れるんだよ。今は動画の方が人気だけど」

男は言った。

「なぁ、あんたも一口のらねぇ?損はさせないからさ」



やめて、という悲鳴のような叫び声に我にかえった。
気づいたら、男に馬乗りになって殴りつけていた。
母親はそんな俺の腕に縋りつき、涙ながらに訴える。

「お願いですから、もうやめてください…!」

俺の下にいる男は血だらけで、完全に意識を失っていた。

「………」

そいつのシャツから手を離し、祐希の方を見る。

「!祐希っ、」
「………」

いつの間にか起き上がっていてた祐希は、ぼんやりと母親を見ていた。

「圭吾くん、しっかりして、圭吾くん…」

母親は泣きながら、男の頭を抱えている。

「……母さ…、」

擦れた、弱々しい祐希の声。

「……母さ、ん」

その声が聞こえているはずなのに、母親は振り返ろうともしない。

「……あんた、」

その様子を見ていた俺は、愕然として言った。

「まさか、知ってたのか?」


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