手をつないで(BL)

kotori

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入学式編

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「巽くん、聞いたわよー?」

飯を食ってる最中に母さんが言った。

「バレンタインにチョコ、いっぱい貰ってきたんでしょー」

巽の母親と母さんは仲がいい。

「巽くん、やっぱりモテるのねー」
「……まぁ、そっすね」

あっさり認めるところが、なんとも巽らしい。

「けど俺、好きな子いるんで」

思わずぶっと吹きだすと汚ねぇ、と巽が顔をしかめる。

「え、じゃあその子とつきあってるの?」
「はい」
「ええーっそうなんだ、おばちゃん見てみたいわー巽くんの彼女」

母さんはにこにこ笑って言う。

「きっとかわいい子なんでしょうね」
「かわいくはないですね」
「え?」
「頭わりぃし方向オンチだし、すぐ他の男にフラフラついてくし」

それは言い過ぎだろってゆうか、俺がいつ浮気した!!

「そ、そうなの?」
「はい。……でも、素直でまっすぐで、いい奴です」
「………」
「巽くん、大切なのね。その子のこと」
「はい」

あ、どうしよ。
ちょっと泣きそう俺。

「いいわねーその子、幸せ者ねえ。……あっちゃんにも、そういう彼女ができればいいんだけど」

再び、ムせる。

「なんか、断っちゃったらしいのよー」
「……なっ…!」

なんで知ってんだ?!

「あ、さっき瑛くんに相談してるとこ、偶然聞いちゃったんだけどね?」

……盗み聞きか!!

「……へぇ―…」
「いっ、いやそれはあの」
「それは詳しく聞きてえなあ」
「………っ!」

笑顔が、怖いですから。


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