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手をつないで
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しおりを挟む中学の頃、修学旅行の自由行動で一緒にいた友達とはぐれてしまった。
慌てて見慣れた制服を探したけど見つからなくて、途方に暮れた。
知らない街並み。
見知らぬ人々。
一人ぼっち。
それは幼い頃、夢中になって遊んでいたらいつの間にか辺りが暗くなっていた時の心細さに似ていた。
まるで自分だけ、そこに取り残されてしまったような。
最近、巽の機嫌が悪い。
「そんなんいつもの事だろ」
放課後、いつものファミレスで向かい側の席に座ったリクが携帯を弄りながら言った。
「や、なんかそういうんじゃなくて…」
最近あんまり構ってくれないし、たまに会ってもなんかピリピリしてるってゆうか。
今日も誘ったけど、断られたし。
「心当たりとかないの?」
「うん…」
「じゃああれじゃね?進路の事で悩んでるとか」
「……しんろ?」
「……淳くん、俺らもうすぐ高三よ?」
「あ、そっか」
「そっかじゃねぇよ…」
リクが呆れ顔で溜息を吐く。
「リクはどうすんの、」
「一応進学。まぁ受かったらの話だけどな」
結構ギリギリなんだよなぁ、とリク。
「てゆうかおまえも他人事じゃないんだし、ちゃんと考えろよ。巽とそういう話、してんの?」
「いや、あんまり…」
むしろまったく。
「あいつ頭いいし、まぁ間違いないだろうけど。おまえがこっちに残るなら、遠恋になるんだし」
……えんれん?
「でも京都なら、電車ですぐだしな」
……京都?
「……え?」
「……え?」
俺の反応にリクの表情が強張る。
「ちょ、え?おまえもしかして…」
……何それ、
「……聞いてない…」
頭のなかが、真っ白になった。
あの時は、巽が迎えに来てくれた。
見慣れた笑顔を見たら、泣きたくなって。
何してんだよって言って、つないでくれたその手はあたたかくて。
あぁもう大丈夫なんだって思った。
今思えばあの頃から、勝手に信じてた気がする
どこにいても何があっても、きっと巽なら俺を見つけてくれるって。
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