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手をつないで
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しおりを挟むあの後、二人はやっぱり揉めたらしい。
「学校でもなんだか元気なくて…ずっとぼーっとしてるってゆうか」
隣りを歩くコウタが心配そうな顔をして言う。
「俺が余計なこと言ったからだよな…」
「でも、リクくんだって知らなかったんだし…。だけど巽さん、なんであっちゃんに進学のこと話さなかったんだろ」
「……反対されるのがわかってたからじゃん?」
「だからって先延ばしにされたら、余計傷つくよ」
「だよな…」
「リクくんは最近どう?」
「まぁ、ぼちぼち…。あんま余裕ないけど」
「そっか…。お互い頑張らないとね」
そう言うコウタも国立大志望だ。
予備校や模試で忙しいらしく、最近はこうやって学校帰りにちょっと会うことくらいしかできない。
俺が受ける私立の大学とは難易度のレベルが違うし、恋人としては頑張ってる彼を全力で応援すべきだとは思うんだけど。
「………」
「やっほー」
急に割り込んできた声にぎょっとした。
「おま、どっから出てきてんだよ!」
「えー、偶然見かけたから~」
突然現れた姉貴は笑いながら言う。
「コウタくんだっけ?久しぶりー」
「こっ、こんばんは」
「ねぇねぇ、ウチ寄ってけば?ここから近いし」
「おいコラ」
「でももう遅いし、ご迷惑じゃ…」
「そんなことないってー」
「コウタは忙しいんだよ」
「いいじゃーん、ちょっとだけ!巽たちの話も詳しく聞きたいしー」
「聞いてたのかよ…」
てゆうか、おまえいつからいやがった…。
結局コウタはウチに寄ることになった。
「ふーん、そういうこと~」
巽たちの事をやたらと聞きたがるので仕方なく説明すると、なるほどねぇとしたり顔の姉貴。
「てかおまえなんでいんの」
「だって暇なんだもん」
「あのな…」
「でもまぁ確かに巽も悪いけど、淳くんも淳くんね~」
「え?」
「理由も聞かずにキレちゃうとか、ちょっと依存しすぎじゃん?淳くん、基本甘えっ子気質だよねぇ」
姉貴の意見はあまり認めたくないけど、確かにそれはあるかもしれない。
巽は過保護気味ではあるけど、淳もそれを受け入れてるわけだし。
「で、でも二人はつきあってるし…」
「バランスの問題じゃない?甘えられる方に一方的に負担がいくだけじゃ、うまくいくわけないよ」
いともあっさりと姉貴は言う。
「それに巽にも考えがあるんだろうし」
「………」
「まぁ、こればっかりは本人達で話しあうしかないよねー」
しばらく好き勝手に喋った後、じゃあごゆっくりーと言って姉貴は部屋を出ていった。
「なんなんだあいつ…ごめんなコウタ、」
溜め息混じりに振り向くと、そこには真剣な顔をしたコウタの姿が。
「リクくんは…俺のことで、負担になったりしてない?」
「え?いや俺は別に…」
「本当?なんか不満とかってない?」
不安いっぱいな面持ちで、俺の顔を覗きこむコウタ。
……ちくしょー可愛いじゃねぇか…
「……不満じゃなくて希望なら、あるけど…」
「なに?!」
その必死な様子に、ごくりと息を飲む。
「できればその…もっと甘えて欲しいってゆうか」
「え、」
「そろそろヤりた…次の段階に進んでもいいかな~、とか」
受験やらなんやらで忙しくてあまり会えない、今だからこそ!なーんて…。
「………」
「………」
……あら?
「いや!勿論無理強いはしねぇよ?コウタの心の準備ができてからで」
「………」
「………」
固まったまま動かないコウタと、やっちまった感でいっぱいの俺。
結局この一件で、俺達の関係まで微妙な感じになってしまったのだった。
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