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手をつないで
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しおりを挟む午後八時――京都。
「……馬鹿かおまえは」
「馬鹿じゃねーし!!」
巽の呆れたような眼差しについ反論した。
「大体こっち来たの何度目だよ」
「うううるせー…」
「もう子じゃねぇし迷い人か…」
「だから!交番で道を訊こうとしたんだって!」
でもその交番がどこにあるのかわかんなかっただけで。
「だからって知らない奴についてくんじゃねぇよ」
「だって交番に連れてってくれるって…いい人っぽかったし…お菓子くれたし」
「おまえ全然成長してねーな…」
巽が京都の大学に進学して二年。
俺は地元の専門学校に通っている。
初めは不安で仕方なかったけど、最近はそうでもない。
連休の度に会いに行ったり来たりしてるし、よく電話やLINEもするし。
相変わらずケンカは多いけど、なんとか続いている(本格的な破局の危機は今のところ三回)。
「てか、なんで電話しねえの」
また充電切れか?と巽。
「……違うけど、」
だってまたこうやって馬鹿にされるって思ったから…とごにょごにょ呟く。
すると巽は小さく溜息を吐いて、俺の頭を撫でた。
「……心配するだろ」
「……ごめん、」
「まぁ、馬鹿にもするけど」
「おいいい!」
……あぁもう最悪、
久しぶりに会えたのに、やっぱこんなだし。
それに昼過ぎにはこっちに着いてたのにもう夜だし(これは俺の所為だけど)。
この前会った時はケンカして散々だったし、今回は思いっきりイチャイチャしようと思ってたのに…。
「拗ねてんなよ、」
「………」
だって、と顔を上げると巽は笑っていた。
「ほら、行くぞ」
「……うん、」
これから先の事なんて、わからないけど。
「腹減ったな、」
「ラーメン食べたい!」
「おまえ京都に来てまで…別にいいけど」
いろんな事があるんだろうけど。
「そういえばリクとこうちゃんがさ、」
それでも笑ったり泣いたり怒ったりしながら、二人で歩いていくんだろう。
きっとずっとこうやって、
手をつないで。
(……てゆうか、めずらしーね)
(今日だけだ)
end.
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