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3月14日
しおりを挟む「やっぱそっちがいい!」
「はいはい、交換ね」
「あと、ティラミスとモンブランも食べていい?」
「あーもう食えよ、好きなもんを好きなだけ」
バレンタインのお返しは何がいいかと尋ねたらケーキがいいと言われたので、某有名ホテルのケーキバイキングに連れてきた。
こういう場所に男の二人連れというのもどうかと思ったけど…。
……俺の選択は間違えてなかった…
全種類制覇どころか、今や二巡目も後半に差し掛かっている。
「あー、まじ幸せ~」
「……そりゃよかった」
もう今更驚かないけど、こいつの胃袋は一体どうなってんだ?ブラックホールか?
「……おまえ、ボロボロこぼすなよ」
ほら、と紙ナプキンを渡す。
「口のまわりも拭け」
もはや恋人同士というより、保護者と子どもだ。
「皐月…大好き!」
なんの脈絡もない意味不明の告白にぶっと吹きだしたのは、俺じゃなくて隣りの客。
「はいはい、わかったから黙って食え」
「あとで、ぎゅーってしてくれる?」
「はいはい、帰ってからな」
隣りからものすごい視線を感じたけど、怖くて見れない。
「………」
チビでガリなくせに、こいつは本当によく食べる。
それはもう、見てるこっちが胸やけしそうな勢いだ。
……でもまぁ、成長期だしな…
それに俺は、祐希がおいしそうに何かを食べている姿を見るのは結構好きだ。
しかし。
「ねえ、皐月」
「なんだよ」
「あとて王○のラーメンと餃子が食べたい」
「はいは…ってまだ食う気かよ!」
この不景気のさなか我が家のエンゲル係数は上がる一方、それはそれで切実な問題だった…。
end.
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