along-side 番外編

kotori

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カレーの日

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「ほらカンナ、おっちゃんこしろー」
「はぁい」

黄色いくまさんのスタイをつけ、小さな手で小さなスプーンを握っている幼女は満面の笑みを浮かべている。
俺の恋人は、そんな可愛らしい自分の妹の姿を携帯のカメラで連写していた。
そのなかの厳選された一枚が、近々彼の携帯の待ち受けになるのだろう。

「熱くないか?」

カンナは頷きながら、むぐむぐとカレーを頬張り続ける。

「もう自分で食べられるようになったんだな…」
「たべれるよ!えらい?」
「おう、えらいえらい!」

口のまわりをカレーだらけにしながら無邪気に笑う妹を見て、ちょっと涙ぐんでるように見えるのは気のせいなのか。
むしろ気のせいであってほしい。

「保育園、楽しいか?」
「うん!きょうはねぇ、ゆうちゃんといっぱいあそんだの!」
「ゆうちゃんって?」
「ゆうちゃんはねー、ひよこぐみなの!」
「そうかー、お友達なんだなー」
「ちがうよ!おむこさん!」
「……お婿さん?」
「ゆうちゃんね、おおきくなったらカンナとけっこんしたいんだって!」
「ふぅん…」

夢中でカレーを頬張る彼女以外の人間は、部屋の温度がニ、三度下がったのを感じた。

「……今度ゆうちゃん、兄ちゃんにも紹介して?」
「いいよ!カンナもね、ゆうちゃんすきだからけっこんするの!」
「……そうかぁー結婚かー。俺も見てぇなぁ、カンナの花嫁姿…」



「……目ぇ、笑ってねぇし」

スプーンを持ったまま固まっている俺の隣りで、あのひと筋金入りのシスコンだからと弥生が言う。

「祐希さん、おかわりは?」
「ありがとう…」

慣れているのか、もはや家族は誰も突っこもうとしない。

「こら、ニンジン残すな」
「だっておいしくないもーん!にいちゃにあげる~」
「ったく、仕方ねぇな~」

きゃっきゃと戯れる二人を遠目に眺めつつ…普段はクールな恋人の意外すぎる一面に、俺はただ苦笑いを浮かべていた。



end.
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