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第8章
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「昼食の時間です!皆様、食堂へお集まりください」
施設内放送が流れる。
「ばぁさん、わしは何が昼食に出てくるかは怖いぞ。大量のニンジンか?それとも大量のピーマンか?ばぁさん助けてくれぇ」
じぃじは震えおののいている。
だがばぁばはもうじぃじを置いてエレベーターに向かって足早に向かっていた。
「ばぁさん、待ってくれー!いざとなったら助けてくれー!」
じぃじはばぁばの背中を追っかけた。
「はい!皆さんお集まりですね!今日はハンバーグです、お召し上がりください」
事務長の声とともに皆、むさぼり始める。
「ば、ばぁさんや!み、見てくれこの最悪なコラボレーションを!わしの嫌いな大量の茄子オンザトマトだぞ!」
じぃじはその料理を見て発狂している、見るだけでえづいてくる。つわりのように何かがこみ上げてくる。
「まぁ、おいしそう!」
ばぁばはじぃじの気持ちなど知らず、じぃじの料理を見ていまにもじぃじの料理に喰いかかろうとしている。
「わ、わしは産まれてこの方九十年。こんな料理を見たことがないぞ!いままで見ないように生きてきたというのに!なぜだ」
「ば、ばぁさん!わしはいまからしのぎを削る。そのばぁさんの暖かい目で見守ってくれ」
じぃじはおもむろにフォークを掴む、茄子とトマトがじぃじに不敵な笑みを浮かべているようだ。
「このぉ、こっちを見るでない!わしに笑いかけるな!ミニトマトの分際で」
じぃじはまずこの赤い悪魔を仕留めようと悪魔に向かい、フォークを突き刺す。
「じぃさん、はやく食べんさいね」
「た、食べるぞ!わしは食べるぞ」
じぃじはばぁばにその赤い悪魔を見せている。
「い、いくぞー!」
じぃじはその赤い悪魔を口の中に一口で詰め込む。じぃじはもがき苦しんでいるみたいだ。じぃじは口の中に入れたものの赤い悪魔を口の中でコロコロと転がしているだけだ。
「はよー、食べんかい!行儀が悪い」
ばぁばはじぃじの頭をはたいた。じぃじは、はたかれたと同時にじぃじは赤い悪魔を噛んでしまった。
「うぅっ………。」
じぃじは沈痛な面持ちをし、口が開いたままになっている。
「食べたか?おいしいでしょう?」
「赤い悪魔のし、汁が………」
「さっさと飲み込みなさいね!」
ばぁばはイライラし始め、じぃじをまたはたく。
「ゴクッ……」
「の、飲み込んでしもうた!こ、殺す気かばぁさん!」
「おー、食べたじゃないかじぃさん!」
ばぁばはじぃじの頭を撫でている。
「よし!で、でもまだ茄子の千切りが……五枚もおるぞ!」
「じゃあ、わたしが三枚食べるからあとの二枚はじぃさんが食べてね」
ばぁばは人に見られぬよう三枚一気に口に頬張る。まるでひまわりの種を大量に口に含んだハムスターのようだ。
「ありがとな!ばぁさん、あとがわしがコイツと決着をつける」
じぃじは茄子を睨み、目を瞑る。じぃじは両手にフォークを持ち、茄子を一つずつフォークに突き刺す。じぃじは茄子と心の中で会話しているようだ。
傍から見たら、ものすごく変なやつだ。
「よし、茄子!お前は今日からわしの大好きなプリンじゃ!わかったな?ほら、味を変えてみろ!そのなんとも言えん変な味を甘いあまーい、プリンのような味になるんじゃ!わかったな?お、そうか!プリンになったか、ならわしが食ってやろう!」
じぃじは一通り独り言を終えた後、目をギュッと強く瞑り両手に持ったフォークに突き刺した茄子を口の中に一気に突っ込んだ。
「ぅお~!!」
じぃじは涙目になっている。それを見ていたばぁばもじぃじの勇姿に感度し、涙目になっている。
ばぁばはよく頑張ったとじぃじの背中をさする。
それを影で見守っていた他の老人達もじぃじを囲み拍手をしているようだ。
じぃじはどうだ!と言わんばかりに仁王立ちをしている。
「すごいですね!見事です!」
事務長が拍手しながらじぃじに近づいてきた。
「わしはミッションこれで達成か?」
「はい!おめでとうございます。チケットをどうぞ!」
事務長は笑顔でじぃじにチケットを手渡した。
「あ、ありがどうございますぅ~」
じぃじは泣き始めてしまったみたいだ。それほど茄子オンザトマトが嫌いだったのであろう。
「では、今度は奥様のミッションですね!行う時は職員を呼んでくださいね」
事務長は礼をし、食堂を後にした。
「じぃさんがここまで頑張ったんだから私も頑張らないとね!」
ばぁばは鼻息を荒くし、気合いを入れているようだ。
「おう!ばぁさん頑張れ、わしが愛した女だ!」
「任せなさい!ただのばぁさんだと思うんじゃないぞー!」
ばぁばは一段とやる気を出しているようだ。
皆、食事を終えまばらに食堂を出て部屋へ戻っていく。
「さて、私たちも戻りましょうかね」
ばぁばはじぃじに目をやるとじぃじはお腹を押さえてしゃがみ込んでいる。
「じぃさん!どうした?腹痛いんか?」
「ゲ、ゲリラが………やつらが、わしに食べられたからわしの腹の中で最後の復讐にきたようじゃ、トイレにいきたい……」
じぃじはもよおしたようだ、ばぁばはじぃじの肩を支え、トイレへ向かった。
「じぃさん!わたしはさきに部屋に戻ってるからね!」
ばぁばはじぃじが出てくるのをしばらく待っていたが遅すぎる為、ばぁばは痺れを切らしたようだ。
「おぅ!ヤツと最後の戦いがまだあるようじゃ!」
じぃじはトイレの奥の個室から悶絶したような声で言った。
ばぁばはそのままエレベーターに一人で乗り、事務所のある一階へのボタンを押す。
「事務長さん!わたしもいまからうさぎ跳びしますよ!見てくれませんか?」
「はい!じゃあ職員と一緒にいってください!」
奥から初めて見るであろう長い髪をポニーテールにした若い女性が出てきた。
「はじめまして!三日前からここの職員になった佐伯です!私の方がまだまだ初心者なので色々教えてくださいね」
彼女は柔和な笑みを浮かべている。とても人の良さそうな人だ。
「じゃあ、佐伯さん。大池さんと同行してください!」
「はい!では行きましょうか」
「よろしくお願いしますね」
ばぁばは佐伯さんと横並びで階段の方へ向かう。
「うさぎ跳び一回でしたよね!あまり無理をなさらないようにしてくださいね」
「ありがとうね」
ばぁばは階下からそそり立つ階段を見上げる。
「産まれてからうさぎ跳びなんてしたことないからねぇ、怖いわね」
「そうですよね、まずは後ろに両手を組んでください。そして中腰になり、両足でジャンプしてそのまま一段上に上がってください。わたしがさきにお手本見せますね」
佐伯さんはうさぎ跳びを軽々とばぁばの前でやって見せた。
「わぁ、若いっていいわねぇ!よし、わたしも!」
ばぁばは後ろで手を組み、勢いよく跳ね上がった。
しかし、ばぁばはかかとを上げ下げしている。その場で奇妙な動きをしているだけだ。
「な、なんなのこれ。まったく上がらないじゃない」
「大池さん!足の裏を地面から離すんです!」
しかしばぁばはまだかかとを上げ下げしている。
ばぁばが奇妙な動きをしているとベンジョイ排出キャラのじぃじがやってきた。
「ばぁさん、調子はどうじゃ?なんて動きをしておるんじゃ?新しいエクササイズか?」
本気で聞いているのか茶化しているのか分からないが、ばぁばはじぃじにガンを飛ばしているようだ。
「わたしにもよく分からないのよ!ジャンプってどうやったらできるんかいね?もう疲れたよ」
ばぁばはもう体勢を維持するだけできつくなったようだ、その場に座り込んだ。
「大池さん!大丈夫ですか?」
職員の佐伯さんがばぁばを気遣わしげに見る、じぃじもばぁばに駆け寄る。
「はぁ~、もうダメだ!降参しまーす」
ばぁばは両手を上に挙げた。
「そうですね、怪我をしてしまったら大変ですしね。私ここの施設の事まったく知らずに入社したんですけど、こんな過酷な事するなんて。異世界のことは聞いてたんですけど、こんな事しないといけないなんてちょっと酷いですね」
職員の佐伯さんは悩ましげな顔をしている。
「でも、強制じゃなく私達の意思でやってるんで大丈夫ですよ、優しい方なのね」
「これからはあまり無理はなさらないでくださいね、なんかあったら私になんでも相談してください」
「ありがとう!さぁ、じぃさん!そろそろミキが来る時間じゃないか?部屋に戻ろう」
「そうじゃったな!佐伯さん、心配ご無用!ありがとう」
じぃじとばぁばはゆっくり仲良く、部屋へ戻る。
施設内放送が流れる。
「ばぁさん、わしは何が昼食に出てくるかは怖いぞ。大量のニンジンか?それとも大量のピーマンか?ばぁさん助けてくれぇ」
じぃじは震えおののいている。
だがばぁばはもうじぃじを置いてエレベーターに向かって足早に向かっていた。
「ばぁさん、待ってくれー!いざとなったら助けてくれー!」
じぃじはばぁばの背中を追っかけた。
「はい!皆さんお集まりですね!今日はハンバーグです、お召し上がりください」
事務長の声とともに皆、むさぼり始める。
「ば、ばぁさんや!み、見てくれこの最悪なコラボレーションを!わしの嫌いな大量の茄子オンザトマトだぞ!」
じぃじはその料理を見て発狂している、見るだけでえづいてくる。つわりのように何かがこみ上げてくる。
「まぁ、おいしそう!」
ばぁばはじぃじの気持ちなど知らず、じぃじの料理を見ていまにもじぃじの料理に喰いかかろうとしている。
「わ、わしは産まれてこの方九十年。こんな料理を見たことがないぞ!いままで見ないように生きてきたというのに!なぜだ」
「ば、ばぁさん!わしはいまからしのぎを削る。そのばぁさんの暖かい目で見守ってくれ」
じぃじはおもむろにフォークを掴む、茄子とトマトがじぃじに不敵な笑みを浮かべているようだ。
「このぉ、こっちを見るでない!わしに笑いかけるな!ミニトマトの分際で」
じぃじはまずこの赤い悪魔を仕留めようと悪魔に向かい、フォークを突き刺す。
「じぃさん、はやく食べんさいね」
「た、食べるぞ!わしは食べるぞ」
じぃじはばぁばにその赤い悪魔を見せている。
「い、いくぞー!」
じぃじはその赤い悪魔を口の中に一口で詰め込む。じぃじはもがき苦しんでいるみたいだ。じぃじは口の中に入れたものの赤い悪魔を口の中でコロコロと転がしているだけだ。
「はよー、食べんかい!行儀が悪い」
ばぁばはじぃじの頭をはたいた。じぃじは、はたかれたと同時にじぃじは赤い悪魔を噛んでしまった。
「うぅっ………。」
じぃじは沈痛な面持ちをし、口が開いたままになっている。
「食べたか?おいしいでしょう?」
「赤い悪魔のし、汁が………」
「さっさと飲み込みなさいね!」
ばぁばはイライラし始め、じぃじをまたはたく。
「ゴクッ……」
「の、飲み込んでしもうた!こ、殺す気かばぁさん!」
「おー、食べたじゃないかじぃさん!」
ばぁばはじぃじの頭を撫でている。
「よし!で、でもまだ茄子の千切りが……五枚もおるぞ!」
「じゃあ、わたしが三枚食べるからあとの二枚はじぃさんが食べてね」
ばぁばは人に見られぬよう三枚一気に口に頬張る。まるでひまわりの種を大量に口に含んだハムスターのようだ。
「ありがとな!ばぁさん、あとがわしがコイツと決着をつける」
じぃじは茄子を睨み、目を瞑る。じぃじは両手にフォークを持ち、茄子を一つずつフォークに突き刺す。じぃじは茄子と心の中で会話しているようだ。
傍から見たら、ものすごく変なやつだ。
「よし、茄子!お前は今日からわしの大好きなプリンじゃ!わかったな?ほら、味を変えてみろ!そのなんとも言えん変な味を甘いあまーい、プリンのような味になるんじゃ!わかったな?お、そうか!プリンになったか、ならわしが食ってやろう!」
じぃじは一通り独り言を終えた後、目をギュッと強く瞑り両手に持ったフォークに突き刺した茄子を口の中に一気に突っ込んだ。
「ぅお~!!」
じぃじは涙目になっている。それを見ていたばぁばもじぃじの勇姿に感度し、涙目になっている。
ばぁばはよく頑張ったとじぃじの背中をさする。
それを影で見守っていた他の老人達もじぃじを囲み拍手をしているようだ。
じぃじはどうだ!と言わんばかりに仁王立ちをしている。
「すごいですね!見事です!」
事務長が拍手しながらじぃじに近づいてきた。
「わしはミッションこれで達成か?」
「はい!おめでとうございます。チケットをどうぞ!」
事務長は笑顔でじぃじにチケットを手渡した。
「あ、ありがどうございますぅ~」
じぃじは泣き始めてしまったみたいだ。それほど茄子オンザトマトが嫌いだったのであろう。
「では、今度は奥様のミッションですね!行う時は職員を呼んでくださいね」
事務長は礼をし、食堂を後にした。
「じぃさんがここまで頑張ったんだから私も頑張らないとね!」
ばぁばは鼻息を荒くし、気合いを入れているようだ。
「おう!ばぁさん頑張れ、わしが愛した女だ!」
「任せなさい!ただのばぁさんだと思うんじゃないぞー!」
ばぁばは一段とやる気を出しているようだ。
皆、食事を終えまばらに食堂を出て部屋へ戻っていく。
「さて、私たちも戻りましょうかね」
ばぁばはじぃじに目をやるとじぃじはお腹を押さえてしゃがみ込んでいる。
「じぃさん!どうした?腹痛いんか?」
「ゲ、ゲリラが………やつらが、わしに食べられたからわしの腹の中で最後の復讐にきたようじゃ、トイレにいきたい……」
じぃじはもよおしたようだ、ばぁばはじぃじの肩を支え、トイレへ向かった。
「じぃさん!わたしはさきに部屋に戻ってるからね!」
ばぁばはじぃじが出てくるのをしばらく待っていたが遅すぎる為、ばぁばは痺れを切らしたようだ。
「おぅ!ヤツと最後の戦いがまだあるようじゃ!」
じぃじはトイレの奥の個室から悶絶したような声で言った。
ばぁばはそのままエレベーターに一人で乗り、事務所のある一階へのボタンを押す。
「事務長さん!わたしもいまからうさぎ跳びしますよ!見てくれませんか?」
「はい!じゃあ職員と一緒にいってください!」
奥から初めて見るであろう長い髪をポニーテールにした若い女性が出てきた。
「はじめまして!三日前からここの職員になった佐伯です!私の方がまだまだ初心者なので色々教えてくださいね」
彼女は柔和な笑みを浮かべている。とても人の良さそうな人だ。
「じゃあ、佐伯さん。大池さんと同行してください!」
「はい!では行きましょうか」
「よろしくお願いしますね」
ばぁばは佐伯さんと横並びで階段の方へ向かう。
「うさぎ跳び一回でしたよね!あまり無理をなさらないようにしてくださいね」
「ありがとうね」
ばぁばは階下からそそり立つ階段を見上げる。
「産まれてからうさぎ跳びなんてしたことないからねぇ、怖いわね」
「そうですよね、まずは後ろに両手を組んでください。そして中腰になり、両足でジャンプしてそのまま一段上に上がってください。わたしがさきにお手本見せますね」
佐伯さんはうさぎ跳びを軽々とばぁばの前でやって見せた。
「わぁ、若いっていいわねぇ!よし、わたしも!」
ばぁばは後ろで手を組み、勢いよく跳ね上がった。
しかし、ばぁばはかかとを上げ下げしている。その場で奇妙な動きをしているだけだ。
「な、なんなのこれ。まったく上がらないじゃない」
「大池さん!足の裏を地面から離すんです!」
しかしばぁばはまだかかとを上げ下げしている。
ばぁばが奇妙な動きをしているとベンジョイ排出キャラのじぃじがやってきた。
「ばぁさん、調子はどうじゃ?なんて動きをしておるんじゃ?新しいエクササイズか?」
本気で聞いているのか茶化しているのか分からないが、ばぁばはじぃじにガンを飛ばしているようだ。
「わたしにもよく分からないのよ!ジャンプってどうやったらできるんかいね?もう疲れたよ」
ばぁばはもう体勢を維持するだけできつくなったようだ、その場に座り込んだ。
「大池さん!大丈夫ですか?」
職員の佐伯さんがばぁばを気遣わしげに見る、じぃじもばぁばに駆け寄る。
「はぁ~、もうダメだ!降参しまーす」
ばぁばは両手を上に挙げた。
「そうですね、怪我をしてしまったら大変ですしね。私ここの施設の事まったく知らずに入社したんですけど、こんな過酷な事するなんて。異世界のことは聞いてたんですけど、こんな事しないといけないなんてちょっと酷いですね」
職員の佐伯さんは悩ましげな顔をしている。
「でも、強制じゃなく私達の意思でやってるんで大丈夫ですよ、優しい方なのね」
「これからはあまり無理はなさらないでくださいね、なんかあったら私になんでも相談してください」
「ありがとう!さぁ、じぃさん!そろそろミキが来る時間じゃないか?部屋に戻ろう」
「そうじゃったな!佐伯さん、心配ご無用!ありがとう」
じぃじとばぁばはゆっくり仲良く、部屋へ戻る。
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