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第六章 夏休み
63話 授業参観
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スーハーが終わり食事の時間が来た。半年前までは孤児院に出入りしていたレイシア。当たり前のように孤児たちと食事をした。
食事が終わると二人は神父様と応接室に向かった。
「ひさしぶりだね、レイシア。どうだい学園生活は」
「そうですねぇ。体を鍛えています」
「は? 君は学園で何を学んでいるんだ?」
「主に戦闘技術ですね」
神父はこれ以上この話をするのは領主が来てからにしようと思った。
「そう言えば、魔法を選択したそうだが全属性と手紙には書いていたがどういうことだ?」
「全部の魔法が使えるはずなんですが、いまは光と火と水と風は使えますね。土と闇はいまいちどうすればいいのか見えてないです」
「風? 風が使えるだと! 待て、今は時間が……。後で詳しく報告するように」
神父は自制しながらクリシュに向かった。
「君の生徒たちはどんな感じだい?」
「年齢が上の方ほどだめですね。勉強と僕を舐めています。意識が低すぎですね」
「クリシュがなめられているですって⁉」
レイシアが声を上げた。
「この完璧な弟のクリシュをなめるとは!」
ゴゴゴゴゴと背景文字が出るような迫力で怒りを表すレイシア。
「あ、あの、お姉様」
レイシアが本気で怒るところを見たことがないクリシュと神父。あわてて止めにかかる。
「お姉様、大丈夫ですから。落ち着いて下さい」
「そうだレイシア。まずは落ち着こう」
二人になだめられ、落ち着きを取り戻すレイシア。しかし怒りは完全にはなくならない。
「では、クリシュの授業を見てみたらどうでしょう」
神父がそう言って、レイシアの機嫌を取った。
「ほら、クリシュが先生をやっている姿見てみたくはないかい?」
「クリシュの先生の姿?……見たい! 見たいです!!」
そうして、レイシアはクリシュの授業を見学することになった。
◇
「えー、今日はグロリア学園に通っているクリシュの姉が皆さんの授業を見学します」
「レイシア・ターナーです。今日はよろしくお願いします」
見事なカテーシーを披露するレイシア。
レイシアが学園に行ってから集められた法衣貴族の子供たちは、初めて見るレイシアの優雅な立ち居振る舞いに、感動を覚えため息をついた。
「お姉様は学園で1番の成績を取っています。みんなもここで基礎を学んで学園で良い成績を取りましょう」
クリシュが言うと、体躯の大きな騎士爵の子供が大声で怒鳴った。
「お前らみたいなチビでヒョロヒョロしたやつは勉強でもしなきゃいけないだろうけど、俺たちは強さがあればいいんだよ! チビで年下ヤツの授業なんて受けられるか!」
イライラした感じの3人の子供が立ち上がった。クリシュは(またか)という感じで言った。
「別に勉強したくなければ出て行ってもいいんですよ。僕が頼んでいるのではなく、あなた達の親に頼まれているだけなのですから」
「「「ちっ!」」」
3人は、イスにドカッと音を立てて座ると、机に足を放り投げた。
「あなた達何しているの!」
レイシアは叫んだ。
「その机誰が掃除していると思っているの! 物を粗雑に扱うなんて!」
「何言ってんだチビ」
レイシアの目が据わった。
周りの温度が急激に冷え込んだ。
「あなた達、そんな態度で騎士になるつもり? 私は騎士コース学年1位よ。私が鍛え直してやるわ」
「ウソだ~!お前みたいなチビ……」
レイシアが殺気を込めた目で3人を見つめた。
「「「なっ!」」」
3人は、レイシアの威圧に身をすくめた。
神父が止めようとしたがもう遅い。レイシアが神父を見つめてにっこりと微笑んだ。
「神父様、この子達と『体育の時間』を過ごしてもよいでしょうか。……よいですよね」
最後はドスの効いた声でお願いした。
「おもてへ出な! 騎士道というものを教えてやらあ、このクソガキども!」
食事が終わると二人は神父様と応接室に向かった。
「ひさしぶりだね、レイシア。どうだい学園生活は」
「そうですねぇ。体を鍛えています」
「は? 君は学園で何を学んでいるんだ?」
「主に戦闘技術ですね」
神父はこれ以上この話をするのは領主が来てからにしようと思った。
「そう言えば、魔法を選択したそうだが全属性と手紙には書いていたがどういうことだ?」
「全部の魔法が使えるはずなんですが、いまは光と火と水と風は使えますね。土と闇はいまいちどうすればいいのか見えてないです」
「風? 風が使えるだと! 待て、今は時間が……。後で詳しく報告するように」
神父は自制しながらクリシュに向かった。
「君の生徒たちはどんな感じだい?」
「年齢が上の方ほどだめですね。勉強と僕を舐めています。意識が低すぎですね」
「クリシュがなめられているですって⁉」
レイシアが声を上げた。
「この完璧な弟のクリシュをなめるとは!」
ゴゴゴゴゴと背景文字が出るような迫力で怒りを表すレイシア。
「あ、あの、お姉様」
レイシアが本気で怒るところを見たことがないクリシュと神父。あわてて止めにかかる。
「お姉様、大丈夫ですから。落ち着いて下さい」
「そうだレイシア。まずは落ち着こう」
二人になだめられ、落ち着きを取り戻すレイシア。しかし怒りは完全にはなくならない。
「では、クリシュの授業を見てみたらどうでしょう」
神父がそう言って、レイシアの機嫌を取った。
「ほら、クリシュが先生をやっている姿見てみたくはないかい?」
「クリシュの先生の姿?……見たい! 見たいです!!」
そうして、レイシアはクリシュの授業を見学することになった。
◇
「えー、今日はグロリア学園に通っているクリシュの姉が皆さんの授業を見学します」
「レイシア・ターナーです。今日はよろしくお願いします」
見事なカテーシーを披露するレイシア。
レイシアが学園に行ってから集められた法衣貴族の子供たちは、初めて見るレイシアの優雅な立ち居振る舞いに、感動を覚えため息をついた。
「お姉様は学園で1番の成績を取っています。みんなもここで基礎を学んで学園で良い成績を取りましょう」
クリシュが言うと、体躯の大きな騎士爵の子供が大声で怒鳴った。
「お前らみたいなチビでヒョロヒョロしたやつは勉強でもしなきゃいけないだろうけど、俺たちは強さがあればいいんだよ! チビで年下ヤツの授業なんて受けられるか!」
イライラした感じの3人の子供が立ち上がった。クリシュは(またか)という感じで言った。
「別に勉強したくなければ出て行ってもいいんですよ。僕が頼んでいるのではなく、あなた達の親に頼まれているだけなのですから」
「「「ちっ!」」」
3人は、イスにドカッと音を立てて座ると、机に足を放り投げた。
「あなた達何しているの!」
レイシアは叫んだ。
「その机誰が掃除していると思っているの! 物を粗雑に扱うなんて!」
「何言ってんだチビ」
レイシアの目が据わった。
周りの温度が急激に冷え込んだ。
「あなた達、そんな態度で騎士になるつもり? 私は騎士コース学年1位よ。私が鍛え直してやるわ」
「ウソだ~!お前みたいなチビ……」
レイシアが殺気を込めた目で3人を見つめた。
「「「なっ!」」」
3人は、レイシアの威圧に身をすくめた。
神父が止めようとしたがもう遅い。レイシアが神父を見つめてにっこりと微笑んだ。
「神父様、この子達と『体育の時間』を過ごしてもよいでしょうか。……よいですよね」
最後はドスの効いた声でお願いした。
「おもてへ出な! 騎士道というものを教えてやらあ、このクソガキども!」
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