モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり

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三章 お引っ越し

第8話 お家では

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 ルーデンスは、銀盃の祝宴の方々に話を聞くんだって、朝から嬉しそうに出て行った。リューは、あの家から追い出されてからの大変な日々の疲れが出たのか、熱を出して寝ている。

 今まで気を張って頑張っていたのね。
 私は温め直したカレーミルクを飲ませた。

「お母様、ありがとう」
「いいのよ。ゆっくりおやすみなさい」

 カレーミルクのおかげで、落ち着いてくれるのは正直ありがたい。でも、カレールゥは思ったよりも少なくなってしまった。

 今はリューの薬として取っておかないと。カレールゥが安定して手に入れられるようになるまでは、料理に使えないわね。

 ルナちゃんとは、カレースープで契約しているそうだけど、ルナちゃんは「毎日出さなくとも良い」と言ってくれたし。

 ルーデンスが魔物を狩れるようになればいいんだけど、危険なことはさせたくない。

 スライムが大量発生してくれればいいんだけど。

 まっ、できないことを考えてもしかたない。まずは衣食住を改善しないと! 衣はともかくとして住環境と料理よね! まずはきれいになったお家の確認よ!

 リューの寝息が落ち着いているから、ここはルナちゃんにまかせましょう。

「ルナ様。私、部屋の割り振りを考えますので、しばらくの間、リューを見守っていてくれる?」

「うむ。まかせたまえ」

 ホントはさ、ルナちゃんお願い! って気軽に頼んだり、思いっきりムギューって抱きついたりしたいんだけどさ、なぜか思考は麻里寄りなのに、行動はローズマリー寄りになるのよね。

 まっ、いいや。

 あたしはワクワクしながら、お家の探検を始めた。



 まずは外に出てゆっくりとお家を見回す。
 赤く細長い屋根が、可愛らしく目立っている。
 一人暮らしだったのか、コンパクトなお家。でも二階建てだよ。

 外開きのドアを開けると、そこは玄関になっていた。石が敷かれた玄関と、一段高い木製の床。靴箱まである。

 記憶が増えた私には有り難いけど、この世界って靴のまま家に入るのが普通。何でこの家玄関があるんだろう?

 靴を靴箱に入れ、靴下で床に立つ。ルナちゃんのために、足を拭くタオルも敷いている。

 一段上がると中が見えないように全面に白い壁。ドアを開けると中は20畳ほどの広々としたホール。なぜか一部は畳敷き。なんで?

 ステンドグラスの窓が左右に六枚あり、陽の光を和らげている。
 外から覗き込まれることもなさそうね。

 防犯のためか、鉄格子がついているから、内開きになっているね。

 奥の角には暖炉がある。薪はそのまま残っていたので、ありがたく使わせてもらっている。

 その隣には扉が三つ。

 左は台所。かまどと作業台と水場がある。勝手口の近くには井戸があった。

 真ん中はお風呂。お風呂はあるのよ! 井戸水を入れて、ルーデンスの熱湯を混ぜると温かいお風呂になるの。最高よ!

 右はトイレ。トイレの底にスライムがいて分解される清潔なトイレ。

 本当に最高! 一階はこれだけね。

 階段を上がった二階は、廊下があって右側と左側にひとつずつ部屋がある。

 右の部屋は今リューとルナがいる部屋。

 左の部屋は、壁に本棚らしき棚がある書庫か作業部屋。
 本は一冊も入っていないけど。
 それから、隠し階段を見つけたんだけど、どうしても屋根裏部屋に入れない。
 気になるけど、別に問題ない。三人なら十分な広さだ。

 魔女様、多分私と同じマジックバックを持っているのね。家の中にはテーブルとかベッドとか、大きな家具しかなかった。

 どちらの部屋も、暖炉の排気を利用した床暖になっていた。仕組みは分からないけどとっても快適。

 あたしは家の中が土足厳禁にしているから、ベッドなしの布団で眠っている。床暖のおかげで温かくて幸せ。

 大きめのベッドはルーデンスとリューが一緒に使っているわ。

 お金が溜まったら、ベッドを増やしたいね。二段ベッドってあるのかな?



 さて、お昼ご飯を作ろう。カレールゥがなくても少しでもおいしいご飯を目指そう。

 こう見えても、料理は好きだったんだ。オムレツくらい作れるよ。

 卵、高いから四個しか買わなかった。ラノベみたいにマジックバッグに入れたら時間停止するなら高くても買っておくんだけど、ちゃんと腐るから必要以上には買えないの。。

 冷蔵庫欲しいよう!

 まずはかまどに火を入れないと。
 使えるのかって? 私の住んでいた所は芋煮会って文化があってね、薪で調理するのは慣れているんだよ。炭しか使わないバーベキューとは違うんだよ。

 芋煮。食べたくなってきた。お醤油、お味噌。欲しい~!

 カレーあるから耐えられる。そう、耐えるのよ!

 調味料は、塩とメイプルシロップ。メイプルシロップは思ったより高くなかったよ。さすが特産品だね。容器の壺も買わないといけなかったけど、それは使いまわせるから。

 バターも高いよ。今はとても買えないね。何とかして仕事を考えないと。在宅ワーク、あるかな。

 そんなこと後で考える! いまはオムレツを作るよ。

 料理に欠かせないのはお箸。日本人ならお箸がないと!
 この世界にないけど、ナイフで作れる自信もなかった。ランゼさんに相談すると、「編み棒みたいだね」と言われ、「それですわ!」って思わず大声で叫んだよ。
 長めで持ちやすそうな編み棒を半分に切ってもらったらしっくりきた。それがこれよ!

 シャカシャカシャカと卵を混ぜる。
 メイプルシロップ入れましょう。ほんの少しのお塩も入れて。
 さらに混ぜれば卵液完成!

 温まったフライパンに一気に流し入れると、ジューって心地よい音がした。
 卵の匂いがフライパンからブワ~っと広がる。

 お箸でふんわりになるようにかき回す。
 卵がふんわり……、ふんわり……、あれ?

 フライパンを振ったらくるんと……、しない!

 慌てて木べらで返そうとするけど、底にくっついてボロボロ。
 フライ返し欲しい! ゴムベラ、プリーズ!

 なんで! いつもならクルッとプリっと黄色いお月様が出来上がるのに!

 なんか悲惨な、ボロボロ卵になったよ。

 なんで? あっ、テフロン加工じゃない。
 この世界にテフロン加工のフライパンなんてあるわけない。

 どうしよう。使ったことないよ。鉄フライパンなんて。
 どうやったらいいの? 鉄のフライパンで料理する方法。

 ボロボロのたまご料理。違う、これじゃない!
 でも食材は無駄にできない。

 散々な気分で、パンとボロボロたまご、レタスっぽい葉っぱをお皿に乗せた。そのままリューとルナちゃんに持っていったよ。

 ごめんね。上手く焼けなくて。

 リューは具合がよくなったのかベッドに腰掛けていた。

 サイドテーブルにお皿を置いて、リューとルナちゃんに勧めた。

「お母様! おいしい! 甘い卵なんて初めて食べたよ」
「うむ。人間の料理はかなり食べたが、このような料理ははじめてだ。カレーのような回復力はないが、これは良きものぞ」

 ちがうの~! もっとおいしく、もっとキレイにできるの~!

 失敗作を絶賛されて、複雑な気分です。
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