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第一部 紅蓮の心《クリムゾン・ハーツ》

閑話・第一話 煉獄《作曲者・日暮稲成》

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 煉獄れんごくを担当すことになった俺、日暮稲成はメロディーラインとバランスに悩んでいる。俺がこの歌詞からイメージするものは聖なる炎…この聖なる炎を音でどう表現するかを悩んでいる。
 煉のイメージの炎と同じにする必要性は必須条件だ、何せあの龍ヶ崎久遠率いるイビル・ノーツとの決戦のための曲を作曲している訳だ、いつものライブのようにただ盛り上げて観客を楽しませる曲では意味がないからだ。そう、客を盛り上げ楽しませ、その上バンドの未来を救うために俺達はイビル・ノーツにライブバトルで勝たなきゃならないから。

(あー、何かが、そう…何かが足りないんだ。)

 俺は、珍しく曲のインスプレーションが湧かなく困り果てていた。
 いつもと違い緊張しているからなのか、手が進まず煉獄が完成するまで時間がかかりそうで頭が痛くなってきたので窓の外を眺めるとそこにはまるで聖なる炎が燃え盛るような夕焼けだった。それを見た俺は悩みが解放されるかのようにイメージが溢れ帰ってきた。

 (そうだよ、これだ!この優しくも厳しい懺悔のための炎のような夕焼け、これをイメージすれば作れる!)

 俺は早速曲を書き始めた全ての楽器のメロディーラインを優しく厳しいイメージを沿うように罪を焼き払う炎の曲を作り上げた。
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