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1章〜世界を気ままに生きさせて貰います〜
4話 獣人幼女二人と豆シカ一匹
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あーあー。こちら現場のアレクです。現在、私の前では、ファンタジーの世界感をぶち壊す、強烈な光景が広がっております。
犯人と思われる獣人幼女の二人組が、豆シカ一匹を生きたまま、貪り食っている模様。
弱肉強食とは、怖いですね。
先程まで元気に生きていた豆シカちゃん。あんな可愛い豆シカを…あぁ、あんなに……ォオロロロロッ
「ちょっと待つです~っ!私たちはこの子を食べてないのです~!」
「そうなのにゃ、食べてないのにゃっ!変な言いがかりはやめるのにゃ!」
「キュィーンッ」
あ、どうやら、食べてなかった様ですね。あははは、こちらの勘違いだった様ですねー。
では、現場からの中継は以上です。スタジオにお返ししまーす。
「その変なのやめるのです~!」
「そうにゃ、そうにゃ、やめるのにゃ!」
「キュィーンッ」
「っさいわっ!ボケ!俺がせっかくリポーターやってるってのに!ってか、こちとら頭の整理が出来てないんだよ!状況説明しろ、状況っ!あ、そういえば蹴り飛ばしたよな?そのお詫びにお前らの持ってる食料よこせっ!」
半分、言いがかりの様な言葉を投げた訳だが、意外も意外、蹴り飛ばしたことに対して悪いと思ったのか、持っているだけの食料を俺に差し出してから、正座して事の顛末を話し始めた。
幼女?関係ない。大人とはズルいものなのだ。
まぁ俺はまだこの世界じゃ10歳だけどね?
ーーー
話を聞いて、なんとなく状況が掴めた。
ちなみに、豆シカはボディーランゲージで状況説明をしていた。その姿は、なかなか可愛かった。
要は、この三人(匹?)は仲が良く、いつも一緒にいるらしい。
どうやら親のいない孤児というやつだ。
そんな三人はいつも通り、鬼ごっこで遊んでいたらしい。そして、いつも通り豆シカが逃げる役、幼女二人が鬼役だった、とのこと。
ただの狩りやん、それで良いのか豆シカ。っていうツッコミは、心の中で留めておいた。
しかし、豆シカは逃げている途中で美味しそうな草を見つけ、鬼ごっこを忘れ、夢中で草を食っていたと。
なんとまぁ、呑気な。
そんな豆シカを俺が発見し、ゆっくりと近寄っていくところを見つけた獣人幼女二人は、慌てて豆シカを助けるために、助太刀に入ったという事だった。
「まさか、この子を保護しようとしている親切な人なんて思わなかったのです~。」
「そうにゃ、そうにゃ。ごめんなさいにゃ。」
俺は彼女達の話を聞きながら、ボリボリと彼女達が差し出した木の実を頬張っている。うん、なかなかイケる。
ちなみに俺は豆シカを食べようとしていた、なんてことは正直に伝えていない。
迷子の豆シカを保護しようとしてたという事にしている。
ーーーボリボリッボリボリッ
それにしても、この木の実、止まらない、やめられない。
クセになる味だわ。
「ちょっと食べるの待つのです~。正直に話したし、謝ったのです~。だから食料返すのです~。」
ーーーボリボリッボリボリッ
「そんな……もう無くなるのにゃ。私たちの食料……無くなるのにゃ……。」
「謝っても許してくれないなんて…グスッ…鬼なのです~。」
「グスッ…鬼で悪魔なのにゃ~…それに、クズでアホでバカなのにゃ~。」
「キュィ~…」
獣人幼女は、目に涙を溜めてウルウルしている。
それに、豆シカちゃんまで失望の目を…よし、意地悪はやめよう。
「ったく、分かったよっ。ごめんな。じゃあ、もう返すから、ほらっ!」
一瞬でパァッと明るくなり笑顔を見せる二人。
でも、俺が食べてしまった量があまりにも多かったみたいで、二人が木の実を見つめる目はどこか寂しげだった。…と思ったら違った。
「お肉が食べたいです~。木の実は美味しいけど、もう飽きたです~。やっぱりお肉には勝てないのです~。」
「んにゃ。一年前に食べたお肉の味が忘れられないのにゃ。でも仕方ないにゃ。木の実で我慢するにゃ。」
どうやら、量の問題ではない様だ。ちょっと俺、安心。
そういえば、お肉といえば、サック・ウルフの肉なら俺持ってるけど……さすがに食えないよな?まぁでも一応聞いてみるか。
「ちょっといいか?ちなみに、俺は今、サック・ウルフの肉なら持ってるけど…流石に血を吸って成長するやつの肉とか美味しくないよな?」
「サック・ウルフ…?サック・ウルフのお肉持ってるのです~?あの美味しくて甘いお肉をです~?」
「食べたいにゃっ!あ、でも…ちょっとでいいにゃ。ちょっとでいいから恵んでくれにゃ…」
うげ、あれ美味しいのか?美味しそうには見えないけどな…
まぁ、俺は食べないし、こいつらにあげるか。
アイテムボックスから黒炭になった死骸を出してやる。
「この、周りの黒いところを…除けばっ…ほらっ!肉だぞ!」
俺は周りの黒いところを取って、中の焦げていない肉を出してやる。
意外と刺しが入ってて美味しそうなお肉だ。
獣人達は、キラキラと目を輝かせ、ヨダレをダラダラと垂らしながら俺を見ている。
尻尾は引き千切れそうなほど高速に振られていた。
「何してる?早く食べていいぞ!」
そう言われた瞬間、嬉しそうにお肉に飛びつき、ムシャムシャと食べ始めた。
時折、食べるのを中断して俺の方を向き
「もうちょっと食べていい(のです~?)(にゃ?)(キュィ?)」
と、聞いてくる姿は、めちゃくちゃ可愛かった。
ってか、豆シカ、お前も食べるんかい!
犯人と思われる獣人幼女の二人組が、豆シカ一匹を生きたまま、貪り食っている模様。
弱肉強食とは、怖いですね。
先程まで元気に生きていた豆シカちゃん。あんな可愛い豆シカを…あぁ、あんなに……ォオロロロロッ
「ちょっと待つです~っ!私たちはこの子を食べてないのです~!」
「そうなのにゃ、食べてないのにゃっ!変な言いがかりはやめるのにゃ!」
「キュィーンッ」
あ、どうやら、食べてなかった様ですね。あははは、こちらの勘違いだった様ですねー。
では、現場からの中継は以上です。スタジオにお返ししまーす。
「その変なのやめるのです~!」
「そうにゃ、そうにゃ、やめるのにゃ!」
「キュィーンッ」
「っさいわっ!ボケ!俺がせっかくリポーターやってるってのに!ってか、こちとら頭の整理が出来てないんだよ!状況説明しろ、状況っ!あ、そういえば蹴り飛ばしたよな?そのお詫びにお前らの持ってる食料よこせっ!」
半分、言いがかりの様な言葉を投げた訳だが、意外も意外、蹴り飛ばしたことに対して悪いと思ったのか、持っているだけの食料を俺に差し出してから、正座して事の顛末を話し始めた。
幼女?関係ない。大人とはズルいものなのだ。
まぁ俺はまだこの世界じゃ10歳だけどね?
ーーー
話を聞いて、なんとなく状況が掴めた。
ちなみに、豆シカはボディーランゲージで状況説明をしていた。その姿は、なかなか可愛かった。
要は、この三人(匹?)は仲が良く、いつも一緒にいるらしい。
どうやら親のいない孤児というやつだ。
そんな三人はいつも通り、鬼ごっこで遊んでいたらしい。そして、いつも通り豆シカが逃げる役、幼女二人が鬼役だった、とのこと。
ただの狩りやん、それで良いのか豆シカ。っていうツッコミは、心の中で留めておいた。
しかし、豆シカは逃げている途中で美味しそうな草を見つけ、鬼ごっこを忘れ、夢中で草を食っていたと。
なんとまぁ、呑気な。
そんな豆シカを俺が発見し、ゆっくりと近寄っていくところを見つけた獣人幼女二人は、慌てて豆シカを助けるために、助太刀に入ったという事だった。
「まさか、この子を保護しようとしている親切な人なんて思わなかったのです~。」
「そうにゃ、そうにゃ。ごめんなさいにゃ。」
俺は彼女達の話を聞きながら、ボリボリと彼女達が差し出した木の実を頬張っている。うん、なかなかイケる。
ちなみに俺は豆シカを食べようとしていた、なんてことは正直に伝えていない。
迷子の豆シカを保護しようとしてたという事にしている。
ーーーボリボリッボリボリッ
それにしても、この木の実、止まらない、やめられない。
クセになる味だわ。
「ちょっと食べるの待つのです~。正直に話したし、謝ったのです~。だから食料返すのです~。」
ーーーボリボリッボリボリッ
「そんな……もう無くなるのにゃ。私たちの食料……無くなるのにゃ……。」
「謝っても許してくれないなんて…グスッ…鬼なのです~。」
「グスッ…鬼で悪魔なのにゃ~…それに、クズでアホでバカなのにゃ~。」
「キュィ~…」
獣人幼女は、目に涙を溜めてウルウルしている。
それに、豆シカちゃんまで失望の目を…よし、意地悪はやめよう。
「ったく、分かったよっ。ごめんな。じゃあ、もう返すから、ほらっ!」
一瞬でパァッと明るくなり笑顔を見せる二人。
でも、俺が食べてしまった量があまりにも多かったみたいで、二人が木の実を見つめる目はどこか寂しげだった。…と思ったら違った。
「お肉が食べたいです~。木の実は美味しいけど、もう飽きたです~。やっぱりお肉には勝てないのです~。」
「んにゃ。一年前に食べたお肉の味が忘れられないのにゃ。でも仕方ないにゃ。木の実で我慢するにゃ。」
どうやら、量の問題ではない様だ。ちょっと俺、安心。
そういえば、お肉といえば、サック・ウルフの肉なら俺持ってるけど……さすがに食えないよな?まぁでも一応聞いてみるか。
「ちょっといいか?ちなみに、俺は今、サック・ウルフの肉なら持ってるけど…流石に血を吸って成長するやつの肉とか美味しくないよな?」
「サック・ウルフ…?サック・ウルフのお肉持ってるのです~?あの美味しくて甘いお肉をです~?」
「食べたいにゃっ!あ、でも…ちょっとでいいにゃ。ちょっとでいいから恵んでくれにゃ…」
うげ、あれ美味しいのか?美味しそうには見えないけどな…
まぁ、俺は食べないし、こいつらにあげるか。
アイテムボックスから黒炭になった死骸を出してやる。
「この、周りの黒いところを…除けばっ…ほらっ!肉だぞ!」
俺は周りの黒いところを取って、中の焦げていない肉を出してやる。
意外と刺しが入ってて美味しそうなお肉だ。
獣人達は、キラキラと目を輝かせ、ヨダレをダラダラと垂らしながら俺を見ている。
尻尾は引き千切れそうなほど高速に振られていた。
「何してる?早く食べていいぞ!」
そう言われた瞬間、嬉しそうにお肉に飛びつき、ムシャムシャと食べ始めた。
時折、食べるのを中断して俺の方を向き
「もうちょっと食べていい(のです~?)(にゃ?)(キュィ?)」
と、聞いてくる姿は、めちゃくちゃ可愛かった。
ってか、豆シカ、お前も食べるんかい!
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