【転生】こんな勇者だから救える異世界。あると思います。

華町はる

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第一章:幼少期編

5話 ヴァンの密かなる特訓

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 ヴァンの真面目回、やるときゃやるんです。

 エロや下ネタはないので、苦手な方でも安心してお読みください!

 それでは、どうぞ!

--------------------------------------------


 レミーとの初めての戦闘が終わった後、俺は疲れて眠っていたようだ。


 目が覚めると、部屋の電気は消えていて、窓から月光が差し込んでいる。


 (そういえば、この世界に来てから夜に起きてた事なんてなかったな。窓から月の光が窓から差し込んでて、すごく幻想的できれいだなぁ~)

 
 俺はしばらく、差し込む月光を見て感傷に浸っていた。

 そんな自分に気がつき、少し恥ずかしくなり、一人で苦笑し、天井へと目を戻す。


 そして、薄暗い天井を見つめながら、スキルや魔法のことを考える。

 
 そもそも、魔力ってなんだろうか。
 そもそもスキルってなんだろうか。


 柄にもなくそんな事を考えてみる。
 この世界に来て、分からないこと、知らない事が多すぎる、そんな不安とともに。


 すると、急に頭の中でアナウンスが流れた。


ーー持続スキル〈前世の記憶〉で「スキル」「魔力」について検索。


ーースキルとは。教養や訓練を通して獲得した能力の事を指す。日本では、技能と呼ばれたりもする。


ーー魔力とは。エラー。エラー。日本では魔力は架空上のものであるとされるため、正しい情報はございません。


 (ッツ!?)


 俺は、突然頭の中で誰かが喋ったような感覚にびっくりして硬直する。


 だって、急な展開すぎて、こんなの誰だってびっくりするよね…


 でもこれは、俺の持続スキル〈前世の記憶〉の効果らしい。
 びっくりはしたが、これはかなり嬉しいし、心強いことだと思う。多分……。


 そして、もう一つ。


 魔力については分からなかったけど、スキルについては、前世の記憶通りにいけば努力すれば獲得できるものという事が分かった。


 これは試す価値がある。


 どうせ暇な今、やるべき事は、努力。それだけだろう。


 まぁ暇だしな。うん、暇だし。何もやることないし。
 あーゲームやりてー。


ーブンッブンッ


 頭を振って気持ちを改める。
 この世界に来て、変わるって決めたんだった。あぶねー。


 早速、俺は立つ練習から始める事にした。
 まずは立てなければ何もできまいしな。


 まずは、ベッドの上でハイハイの格好である四つん這い姿勢をとる。


 これが今出来る最高のポゼッションだ。


 そこから、手足に思い切り力を入れて、立ち上がろうと踏ん張ってみる。


 少しずつ手を離し、重心を足の方へ持っていく。
 手を離して、足のみになる。そこから背筋を伸ばしてーー


 (立てたっ!……!?)


 そう思った瞬間だった。


 重心の感覚が掴めず、真後ろに身体が倒れはじめる。

 
 俺は手を使って何かを掴もうとするが、掴むものなど有りもせず、(まぁ掴むものがあっても今の俺では掴めなかったのだが……)


 そのまま後ろに倒れていく。


 俺は必死の思いで背後を振り向き、せめて、うつ伏せの状態で倒れようとする。


 だって、せっかく異世界きたのに、死にたくはない。
 だから、後頭部だけは守りたいのだ。ハゲたくもないしな。


 しかし、後ろを振り向いた俺は絶句した。


 俺の後ろにベットはなく、地面が見えていたのだ。


 既に、なすすべもなく、まるでスローモーションになったのかと思うほどゆっくりと、ベッドの上から、頭を下にした状態で落ちていく。


ーーゴンッ!ドンッ!


 最初は頭に激しい痛みを感じ、その後にくる全身へのダメージ。


 気がつくと俺は、地面に仰向けで倒れていた。

 
 俺はすぐにベットへと戻ろうと、体に力を入れようとするが、身体中が痛み、ハイハイすらできない状態になっていた。


 子供の体って思った以上に脆いのね。


 そんな事を思いながら、力尽き、そのまま意識を失った。


ーーちゅんちゅん


 鳥の囀りが聞こえ、目を開けると、目の前に心配そうな顔をした小動物系美女の顔が映り込んだ。


 (はっ!?天使!?って事は、ここは天国!?)


 一瞬そんな事を思ったが、どうやらレミーさんだ。

 
 昨日とは打って変わって、心配そうな顔で俺の髪を撫でている。


 俺が目を覚ますと、レミーさんは涙目になり、今にも目から涙が零れ落ちそうな目で俺を見つめ、そして抱きしめた。


 (心配してくれたんだな。)


 そんな事を思いながら日中は何もせずに過ごし、というかずっとレミーさんが見張ってて何もできなかったのだが。


 そういえば、起きた時には体の痛みがなくなってたなぁ。


 そんな事を思いながら、やる事がなさすぎて、日が落ち部屋が暗くなったタイミングで俺は寝た。


◆◇


 深夜。


 目を覚ましたヴァンは、レミーさんに心で謝罪をしながら、立つ特訓を再開する。

 
 そして、また転倒。


 ベットから転げ落ち、激しい衝撃と痛みを伴い、意識が飛んでいく。


 そんなような事を日課のようにやり続けていた、数日後。


 その日は、突然やってきた。


 頭から転げ落ち、走馬灯の中、(今日も痛みに耐えながら気絶するのか)そんな事を考えながら、落ちていく。


ーーゴンッ


 激しい衝撃を頭に受け、激しい痛みがくるーーはずだった。
 しかし、一向にその痛みは訪れず、ただ時間だけが過ぎていく。


 (あれ?おかしいぞ……!?)
 

 そんな事を考えた、その時だった。


ーー持続スキル〈身体強化(小)〉、持続スキル〈物理耐性(中)〉を獲得いたしました。


 そんなアナウンスが頭の中で響き渡った。


 一瞬の呆然から、徐々に実感してくる高揚感。


 (俺の考えは間違いじゃなかったっ!努力は間違いじゃなかったんだっ!!)


 俺は、立ち上がりガッツポーズを決めた。


 (立ち上がり!?お、俺、た、た、た、立ってるっ!!?)


◆◇


 その日、ヴァンは、数日間、体を酷使してきたことへの疲れから、泥のように眠った。


 そして、その日をきっかけに、ヴァンの成長が爆発的に向上することになるとは、まだ誰も知らない。
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