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≪眠りの花≫編
✡クミロトードの町 ✡
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町の中に入ると、風が吹かなくなった。
「ロイコーンイ様。おかえりなさいませ。で、こちらの方は?」
ローイは悩んだ後
『ミト』
顔を下げていた人々が一気に、驚愕した。
「ミト様が、帰って着た」
「そうじゃ。これで、この町は、救われる」
『どういうこと?この町が救われるって?』
人々が困った顔で告げた。
「ま、魔法が使えなくなってしまったんですよ。
この町の全員が……」
「魔物も出るんですよ」
わたしは勇気を振り絞って聞いた。
「あの、ルセールおじさんの所へ連れてっていただけますか?」
「ぼくが連れてってあげる」
少年が案内役を名乗り出てくれた。
「ありがとうね」
「ローイこの町を守ってくれるよね」
『もちろん』
「では、ミト様。行きましょうか?」
「あなた、名前は?」
「ラーシです」
「そう、よろしくね」
そして、ラーシに案内されて、ルセールおじさんの家に辿りついた。
大きな屋伽だ。
ドアを叩こうとした時、突然上空に数えきれないほどの魔物が飛んでいた。
(なんとかしないと、この町の人達は魔法が使えないのよ)
『ミト。風の盾でこの町を守って。
その間にわたしが、魔物を倒すわ』
魔物達が近づいてくる。
「風よ。風の盾よ」
わたしは、手を上にやった。
町全体を救えるように。
(今のわたしはミト様なんだから)
魔物達が、風の盾を破ろうとする。
(わたし、もう限界かな)
身体がだるくなってきた。
めまいもする。
と、その時、
「炎よ。炎の海よ」
男の人の声が聞こえた。
上空を見ると、魔物達が炎の海に呑みこまれて、灰と化していた。
男の人が、舞う灰の間から姿を現し、わたしの方に近づいてきた。
「ミト様は、何処だ?」
その時、ローイが帰って着た。
「ローイ大丈夫?」
ローイは、男性を警戒しているのか、ミトを庇うように立ち塞がった。
「あなたが、ミト様ですか?ぼくはセールと申します」
「あのわたしミト様では、無いのですけれども」
人々がざわめいた。
「わたし、人間なんです」
「人間だったら、出て行け」
「そうだ。そうだ」
ミト様ではなく、人間の小娘だと分かった町の人達の態度は冷たかった。
先ほどの歓迎が嘘のようだ。
「わたしは、帰るために、この町に来たんです」
人々は静まり返った。
「でも、物知りのルセール様は死んでしまいましたので人間世界に帰る方法は、わかりません」
わたしが、茫然と立ち尽くしていると、セールが声をかけて来た。
「なら、ぼくの所へ来るといい。この町には用済みだろう?」
『待って。ミトを連れて行くな。ミトはわたしが人間世界に連れて行ってあげるのだから。
あなたみたいな、どこの誰だかもわからない人にミトは渡せない』
「ならば、おまえも付いてくるか?」
その時、氷の様な冷たい風が通り過ぎた。
セールが、怒った声音で冷たい風に向かって、怒鳴った。
「なんで来たんだ。シャブイ」
冷たい風の中から、生き物が出ていた。
(イブンに似ている様な?)
「何をしているんだ。ミトに」
(この声。ハヤセ!)
声の方を見ると、そこには、ハヤセが立っていた。
「誰だ。お前は」
『待て』
水色の小動物が、低い声を発した。
(え?この子もテレパシーが使えるの?)
「なんだ。さっさとこの子を連れて行くんじゃないのか?」
『待て、セール。この男、伝説のミト様の宝石を持っているぞ』
「なんだと!本当か?シャブイ?」
ハヤセが、わたしに近づいてくる。
ローイが目を丸くしていた。
『もうデートは、終わったの?ハヤセ』
ハヤセはびっくりしてローイを凝視した。
(そうか。ハヤセ。ローイが、イブンだって知らないんだ)
わたしは、ため息をついた。
「な、なんで、ロイコーンイ様が、おれの名前を知っているんだ?」
「実は、」
『わたしから、説明するわ』
「ローイ」
ハヤセは、表情を曇らせた。
「ミト。もしかして、ロイコーンイ様の御主人様になったのか?」
わたしは、躊躇ったけど、
「うん」
と頷いた。
「そうか」
人々がわたし達の話を静かに聞いている。
あのラーシと名乗った少年もその中にいた。
しばらくの沈黙が流れた後、ハヤセが呟いた。
「おまえら。眠りの花の呪文を知っているか?」
「ハヤセ?今何て言ったの?」
ハヤセは、首を振って「なんでもない」とごまかした。
「ハヤセ……」
セールが、難しい表情を浮かべた。
「もし、よかったら、眠りの花を倒すのを手伝ってくれないか?
おまえ達が手伝ってくれれば、眠りの花を倒せるような気がするんだ」
セールが手を差し出した。
ハヤセは、差し出された手と握手した。
人々から感激の拍手喝采が送られた。
(こういうのって友情なのかな?)
『おれ、シャイワーブズイ。よろしくな』
「わたし、ロイコーンイ。よろしく」
二人も仲良くなったみたい。
「あのさ、セール。眠りの花を退治する呪文ってなんだか知っている?」
セールはすらりと告げた。
「ミミ」
『あれ、わたしの聞いた話だと、八文字だった気がするけれども?』
「そういえば、きみの名前を聞いてなかったね」
セールが、わたしの顔を覗き込んできた。
わたし恥ずかしくて、赤面してしまった。
「ミト。すずきひとみ」
皆、何かに気付いたのか、一斉に「あっ」と言った。
わたしは、何に皆が気付いたのかわからなくて、困惑した。
「どうしたの?」
「呪文がわかったんだ」
ハヤセが、ド屋顔で告げた。
「嘘?ねえなんなの?教えてよ」
セールが突然笑い始めた。
「どうして、笑うのよ!」
「だって、じ、自分で言っておきながら、わからないなんて、おかしくて」
「わたしが、呪文を言ったの?」
「そうだよ」
呆れた顔をするハヤセ。
「じゃあ、呪文も解明できたことだし、行くか?」
転送魔法の準備を始めるセール。
「ねえ、呪文ってなんなのよ~」
一人、自分の発言を認識出来ていなかったわたしであった。
「ロイコーンイ様。おかえりなさいませ。で、こちらの方は?」
ローイは悩んだ後
『ミト』
顔を下げていた人々が一気に、驚愕した。
「ミト様が、帰って着た」
「そうじゃ。これで、この町は、救われる」
『どういうこと?この町が救われるって?』
人々が困った顔で告げた。
「ま、魔法が使えなくなってしまったんですよ。
この町の全員が……」
「魔物も出るんですよ」
わたしは勇気を振り絞って聞いた。
「あの、ルセールおじさんの所へ連れてっていただけますか?」
「ぼくが連れてってあげる」
少年が案内役を名乗り出てくれた。
「ありがとうね」
「ローイこの町を守ってくれるよね」
『もちろん』
「では、ミト様。行きましょうか?」
「あなた、名前は?」
「ラーシです」
「そう、よろしくね」
そして、ラーシに案内されて、ルセールおじさんの家に辿りついた。
大きな屋伽だ。
ドアを叩こうとした時、突然上空に数えきれないほどの魔物が飛んでいた。
(なんとかしないと、この町の人達は魔法が使えないのよ)
『ミト。風の盾でこの町を守って。
その間にわたしが、魔物を倒すわ』
魔物達が近づいてくる。
「風よ。風の盾よ」
わたしは、手を上にやった。
町全体を救えるように。
(今のわたしはミト様なんだから)
魔物達が、風の盾を破ろうとする。
(わたし、もう限界かな)
身体がだるくなってきた。
めまいもする。
と、その時、
「炎よ。炎の海よ」
男の人の声が聞こえた。
上空を見ると、魔物達が炎の海に呑みこまれて、灰と化していた。
男の人が、舞う灰の間から姿を現し、わたしの方に近づいてきた。
「ミト様は、何処だ?」
その時、ローイが帰って着た。
「ローイ大丈夫?」
ローイは、男性を警戒しているのか、ミトを庇うように立ち塞がった。
「あなたが、ミト様ですか?ぼくはセールと申します」
「あのわたしミト様では、無いのですけれども」
人々がざわめいた。
「わたし、人間なんです」
「人間だったら、出て行け」
「そうだ。そうだ」
ミト様ではなく、人間の小娘だと分かった町の人達の態度は冷たかった。
先ほどの歓迎が嘘のようだ。
「わたしは、帰るために、この町に来たんです」
人々は静まり返った。
「でも、物知りのルセール様は死んでしまいましたので人間世界に帰る方法は、わかりません」
わたしが、茫然と立ち尽くしていると、セールが声をかけて来た。
「なら、ぼくの所へ来るといい。この町には用済みだろう?」
『待って。ミトを連れて行くな。ミトはわたしが人間世界に連れて行ってあげるのだから。
あなたみたいな、どこの誰だかもわからない人にミトは渡せない』
「ならば、おまえも付いてくるか?」
その時、氷の様な冷たい風が通り過ぎた。
セールが、怒った声音で冷たい風に向かって、怒鳴った。
「なんで来たんだ。シャブイ」
冷たい風の中から、生き物が出ていた。
(イブンに似ている様な?)
「何をしているんだ。ミトに」
(この声。ハヤセ!)
声の方を見ると、そこには、ハヤセが立っていた。
「誰だ。お前は」
『待て』
水色の小動物が、低い声を発した。
(え?この子もテレパシーが使えるの?)
「なんだ。さっさとこの子を連れて行くんじゃないのか?」
『待て、セール。この男、伝説のミト様の宝石を持っているぞ』
「なんだと!本当か?シャブイ?」
ハヤセが、わたしに近づいてくる。
ローイが目を丸くしていた。
『もうデートは、終わったの?ハヤセ』
ハヤセはびっくりしてローイを凝視した。
(そうか。ハヤセ。ローイが、イブンだって知らないんだ)
わたしは、ため息をついた。
「な、なんで、ロイコーンイ様が、おれの名前を知っているんだ?」
「実は、」
『わたしから、説明するわ』
「ローイ」
ハヤセは、表情を曇らせた。
「ミト。もしかして、ロイコーンイ様の御主人様になったのか?」
わたしは、躊躇ったけど、
「うん」
と頷いた。
「そうか」
人々がわたし達の話を静かに聞いている。
あのラーシと名乗った少年もその中にいた。
しばらくの沈黙が流れた後、ハヤセが呟いた。
「おまえら。眠りの花の呪文を知っているか?」
「ハヤセ?今何て言ったの?」
ハヤセは、首を振って「なんでもない」とごまかした。
「ハヤセ……」
セールが、難しい表情を浮かべた。
「もし、よかったら、眠りの花を倒すのを手伝ってくれないか?
おまえ達が手伝ってくれれば、眠りの花を倒せるような気がするんだ」
セールが手を差し出した。
ハヤセは、差し出された手と握手した。
人々から感激の拍手喝采が送られた。
(こういうのって友情なのかな?)
『おれ、シャイワーブズイ。よろしくな』
「わたし、ロイコーンイ。よろしく」
二人も仲良くなったみたい。
「あのさ、セール。眠りの花を退治する呪文ってなんだか知っている?」
セールはすらりと告げた。
「ミミ」
『あれ、わたしの聞いた話だと、八文字だった気がするけれども?』
「そういえば、きみの名前を聞いてなかったね」
セールが、わたしの顔を覗き込んできた。
わたし恥ずかしくて、赤面してしまった。
「ミト。すずきひとみ」
皆、何かに気付いたのか、一斉に「あっ」と言った。
わたしは、何に皆が気付いたのかわからなくて、困惑した。
「どうしたの?」
「呪文がわかったんだ」
ハヤセが、ド屋顔で告げた。
「嘘?ねえなんなの?教えてよ」
セールが突然笑い始めた。
「どうして、笑うのよ!」
「だって、じ、自分で言っておきながら、わからないなんて、おかしくて」
「わたしが、呪文を言ったの?」
「そうだよ」
呆れた顔をするハヤセ。
「じゃあ、呪文も解明できたことだし、行くか?」
転送魔法の準備を始めるセール。
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