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空手バックパッカー VS 金髪美女
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「トミー!オレはスーパーに寄って行く。お前も一緒に来たほうがいいぞ。なにしろスリランカで地元民と同じプライスで物が買えるのはスーパーだけだからな」
そう言うスティーブに案内されて近くのスーパーマーケットに行きます。
私は水とちょっとしたスナック類を購入。
スティーブはなにやら酒瓶を購入しています。
「トミー!こいつがスリランカで一番ゴキゲンな酒、アラックだ。これを飲むためだけでもスリランカに来る価値はあるね」
「へえ。。。そんなに旨い酒なの?」
「ダイナマイトだよ!ノドにキューっと来てドカーンと爆発だ!もう最高だよ。この国の連中は仏教徒で、表向きはあまり飲まないんだけど、隠れてコイツを飲ってるってわけさ。みんな結構好きだぜ」
「スティーブ。僕も仏教徒だ。それに僕は飲まないんだ。残念だけど」
「なに!本当か?それは気の毒だ。酒を飲まずに人生を終える奴は人生の半分を知らないも同然だぜ」
・・・人生の半分が酒を飲むこと・・・というほうが気の毒に思えるのは下戸のヒガミかな?
ゲストハウスに戻った私は、シャワーを浴びて汗を流すことにします。
ここのシャワーは水しか出ませんが、気持ち良い。
大体、凶暴な暑さのこの国の人からすれば、わざわざお湯を浴びるなんて考えられないことでしょう。
部屋に戻るとスティーブは紙コップでジムとメイのカップルにアラックを振舞っていました。
私が部屋に戻ったのを見てスティーブが声をかけます。
「トミー!!お前も一口くらいどうだ?別に潰れてもベッドの上だろ」
「ゴメン。ちょっと待ってくれないか?部屋の片隅を借りて今日のエクササイズをやっておきたいんだ」
「エクササイズだ?なんだそれは。」
「日課にしてるんだよ。気にしないで飲んでいてくれ」
言うと私はひとり窓際に移動します。
私はもともとホンモノの空手家ではありません。
そんな私が空手というものの何が好きなのか、と言うとその美しさ・・・華麗な技でした。
なので私は地味な技より派手な技を好んで練習しておりました。
下段蹴りより、上段蹴り。より高く、より派手に。クルクル回る後回し蹴りや飛びまわし蹴りが特に大好きな技です。
しかしある日、中川先生にこう言われました。
「中国拳法の世界には『花拳繍腿』と言う言葉があるんだ。お花の拳に刺繍の蹴り。見た目は華やかだけど、実際の役に立たないという意味ね。冨井のやってるのが、まさにそれだな」
その通り・・・なにしろ私は組手となるとからきし弱い。
試合でも勝ったことがありません。
「でもね、『花拳繍腿』でも役に立つときがあるかもな。お前の技は派手だから、素人ウケは良さそうだ。どうせお前は大して強くなれないし、なれるような努力もしないんだから、せめてそれに磨きをかけておけ」
・・・・。
『花拳繍腿』に磨きをかけるには、身体の柔軟性が最重要となります。
私は私の生命線である柔軟性を、スリランカでも維持しなければなりません。
柔軟性というのは、毎日ストレッチ体操をしていればビックリするほど柔らかくなる。
私は部屋の隅で数種類のストレッチを始めました。
直立状態から身体を前に倒して、頭を膝にピッタリくっ付ける。
窓枠に片足を乗せて、身体を押し付ける。
足を前後に開き床までペタリと座り込み、その足を左右に広げる・・相撲で言うところの『股割』です。
そのまま身体を前方に倒し、胸を床につける。
「へえ~。。トミーは身体が柔らかいのね。あなたダンサーなの?」
メイが驚いたように言います。
「うん。まあそんなもんだね」
「ふ~ん。私もね、バレエをやってったんだよ。ちょっと待ってて」
メイが駆け寄ってくる。
白いタンクトップに白いホットパンツ。きれいな長い足です。
金髪で青い瞳。白い肌はアラックのせいか、桜色に染まっています。
シャロン・ストーンのようにきれいだ・・・あ、私はきれいな白人女性はみんなシャロン・ストーンに見えるんだけど。。。
「トミー。見てて。これできる?」
言うとメイは、膝を真横にゆっくりとあげて足の裏に手を添えます。
そのまますっと足を頭の上まで上げて静止する・・・みごとなY字バランスです。
しかしホットパンツなので、なんとも悩ましい姿だ。。。見とれているととジムが
「おい!メイ、止めろよ」
「黙っていて。私はトミーに挑戦しているんだから。さあ、やってみて」
しかしY字バランスなら、私も得意技です。
同じように足を横から頭の上に上げます。そのままY字で静止したあと、その足をくの字に曲げて肩の後からつま先を首に引っ掛けて静止します。
メイが目を丸くして驚いています。
「トミー・・・あなたはタコ!?そうよ日本人はタコを食べるから、そんなになるのよ」
ムチャクチャ言ってる。
「おーい。。ふたりともいい加減運動はやめてこっち来いよ。トミーは酒ダメって言ってたけど、こっちの方はいけるんだろ?」
と言うとスティーブは自分のリュックをまさぐります。
そしてなにやらにお茶葉が詰まったようなビニール袋を取り出し・・・見得を切ります。
「レディーズ・アンド・ジェントルメーン!!ディス・イズ・ザ・ブッダスティック!!」
そう言うスティーブに案内されて近くのスーパーマーケットに行きます。
私は水とちょっとしたスナック類を購入。
スティーブはなにやら酒瓶を購入しています。
「トミー!こいつがスリランカで一番ゴキゲンな酒、アラックだ。これを飲むためだけでもスリランカに来る価値はあるね」
「へえ。。。そんなに旨い酒なの?」
「ダイナマイトだよ!ノドにキューっと来てドカーンと爆発だ!もう最高だよ。この国の連中は仏教徒で、表向きはあまり飲まないんだけど、隠れてコイツを飲ってるってわけさ。みんな結構好きだぜ」
「スティーブ。僕も仏教徒だ。それに僕は飲まないんだ。残念だけど」
「なに!本当か?それは気の毒だ。酒を飲まずに人生を終える奴は人生の半分を知らないも同然だぜ」
・・・人生の半分が酒を飲むこと・・・というほうが気の毒に思えるのは下戸のヒガミかな?
ゲストハウスに戻った私は、シャワーを浴びて汗を流すことにします。
ここのシャワーは水しか出ませんが、気持ち良い。
大体、凶暴な暑さのこの国の人からすれば、わざわざお湯を浴びるなんて考えられないことでしょう。
部屋に戻るとスティーブは紙コップでジムとメイのカップルにアラックを振舞っていました。
私が部屋に戻ったのを見てスティーブが声をかけます。
「トミー!!お前も一口くらいどうだ?別に潰れてもベッドの上だろ」
「ゴメン。ちょっと待ってくれないか?部屋の片隅を借りて今日のエクササイズをやっておきたいんだ」
「エクササイズだ?なんだそれは。」
「日課にしてるんだよ。気にしないで飲んでいてくれ」
言うと私はひとり窓際に移動します。
私はもともとホンモノの空手家ではありません。
そんな私が空手というものの何が好きなのか、と言うとその美しさ・・・華麗な技でした。
なので私は地味な技より派手な技を好んで練習しておりました。
下段蹴りより、上段蹴り。より高く、より派手に。クルクル回る後回し蹴りや飛びまわし蹴りが特に大好きな技です。
しかしある日、中川先生にこう言われました。
「中国拳法の世界には『花拳繍腿』と言う言葉があるんだ。お花の拳に刺繍の蹴り。見た目は華やかだけど、実際の役に立たないという意味ね。冨井のやってるのが、まさにそれだな」
その通り・・・なにしろ私は組手となるとからきし弱い。
試合でも勝ったことがありません。
「でもね、『花拳繍腿』でも役に立つときがあるかもな。お前の技は派手だから、素人ウケは良さそうだ。どうせお前は大して強くなれないし、なれるような努力もしないんだから、せめてそれに磨きをかけておけ」
・・・・。
『花拳繍腿』に磨きをかけるには、身体の柔軟性が最重要となります。
私は私の生命線である柔軟性を、スリランカでも維持しなければなりません。
柔軟性というのは、毎日ストレッチ体操をしていればビックリするほど柔らかくなる。
私は部屋の隅で数種類のストレッチを始めました。
直立状態から身体を前に倒して、頭を膝にピッタリくっ付ける。
窓枠に片足を乗せて、身体を押し付ける。
足を前後に開き床までペタリと座り込み、その足を左右に広げる・・相撲で言うところの『股割』です。
そのまま身体を前方に倒し、胸を床につける。
「へえ~。。トミーは身体が柔らかいのね。あなたダンサーなの?」
メイが驚いたように言います。
「うん。まあそんなもんだね」
「ふ~ん。私もね、バレエをやってったんだよ。ちょっと待ってて」
メイが駆け寄ってくる。
白いタンクトップに白いホットパンツ。きれいな長い足です。
金髪で青い瞳。白い肌はアラックのせいか、桜色に染まっています。
シャロン・ストーンのようにきれいだ・・・あ、私はきれいな白人女性はみんなシャロン・ストーンに見えるんだけど。。。
「トミー。見てて。これできる?」
言うとメイは、膝を真横にゆっくりとあげて足の裏に手を添えます。
そのまますっと足を頭の上まで上げて静止する・・・みごとなY字バランスです。
しかしホットパンツなので、なんとも悩ましい姿だ。。。見とれているととジムが
「おい!メイ、止めろよ」
「黙っていて。私はトミーに挑戦しているんだから。さあ、やってみて」
しかしY字バランスなら、私も得意技です。
同じように足を横から頭の上に上げます。そのままY字で静止したあと、その足をくの字に曲げて肩の後からつま先を首に引っ掛けて静止します。
メイが目を丸くして驚いています。
「トミー・・・あなたはタコ!?そうよ日本人はタコを食べるから、そんなになるのよ」
ムチャクチャ言ってる。
「おーい。。ふたりともいい加減運動はやめてこっち来いよ。トミーは酒ダメって言ってたけど、こっちの方はいけるんだろ?」
と言うとスティーブは自分のリュックをまさぐります。
そしてなにやらにお茶葉が詰まったようなビニール袋を取り出し・・・見得を切ります。
「レディーズ・アンド・ジェントルメーン!!ディス・イズ・ザ・ブッダスティック!!」
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