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バンコク(タイ)
サリカカフェにて
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避難先のホテルに荷物をおろし、私たちは中田さんとの待ち合わせ場所である「サリカカフェ」に行きました。
サリカカフェは歩いて行ける距離にある、日本人のための日本式喫茶店です。
値段も日本なみなのはいただけませんが、オールナイトなので深夜の待ち合わせには便利です。
中田さんは大量の荷物をあの定宿に置いていますので、あそこを引き払うわけにはいかないでしょうが、とりあえずはどこかに避難したでしょうから、いずれここに姿をあらわすはずです。
コーヒーのまずいタイにしては、比較的マシな味のするコーヒーをすすりながら中田さんを待つことにします。
「なあ師匠。オレ、いままであまり突っ込んだこと聞いたことなかったけど、いったい師匠たちのお店を閉めるときって、どんな感じだったのさ?」
「うーん。。。そうさなあ。。。。」
お店を閉める直前ごろには、プラーがすっかり険悪な雰囲気になっており、毎日言い争いが絶えませんでした。
プラーは当時26~27才くらいだったと記憶していますが、中田さんが新たに雇い入れた18才くらいの若い娘と仲良くなったのをきっかけに、女同士の争いがおこり、結果として新しい方の娘に辞めてもらうことになりました。
お店の戦力としては、まだプラーのほうが重要な存在であったからです。
しかし、それ以来・・プラーはすっかり疑い深くなり、中田さんが他の従業員に業務上の話をするだけでも怒り出します。
それどころか、私と話をしていてもすごい剣幕で噛み付いてくる。
私と中田さんが彼女の理解できない日本語で喋っているのを、「なにか悪巧みをしている」とか「トミーがナカタをそそのかして悪いことをさせている」と受け取るのです。。。
「なんで師匠が悪者になってるのさ?」
「中田さんが、プラーに責められたときに、すぐ僕を悪者にするからさ。ほら、あの人タイ語が達者だから、僕に分からないと思ってすぐそういうこと言うんだよ。今なら多少は聞き取れるのにね」
「はあ?なんで師匠はそんなこと言われて平気なわけ?」
「いや、だって男女問題にはそのくらいのカケヒキはありだろ?」
「んなこと言ってるから、すぐケツもたされるんですよ!それで?」
これだけ店内の人間関係がぎくしゃくしているお店が、繁盛するわけがありません。
当初はわりと快調に行っていたこのお店も、だんだん赤字経営に陥り、とうとうお店をつぶそう・・・ということで中田さんと合意したのです。
しかし問題は店舗の契約が、まだ3ヶ月も残っていたこと。
ここでお店を手放しても、3ヶ月分の家賃は私たちが負担しなければなりません。
ここで助け舟を出してくれたのが、意外にもプラーだったのです。
プラーのピーチャイ(兄さん)がジーンズショップをやりたがっている。
私たちのお店はバンコクではメジャーなショッピングコンプレックスのファッションエリアにありましたので、このままピーチャイに店舗を貸してしまったらどうか?ということです。つまりは「又貸し」。
店舗の又貸し・・というのはタイではよくあることでして、何を隠そう・・私たち自身、この店舗を又借りしていたのです。
多重又貸しの店舗というのはバンコクの至る所にありますので、そもそも誰がこの店舗の本当の借主なのか?わからない物件はザラにあります。
幸いにもプラーのピーチャイは妹と違って温厚な人物でした。
交渉は上手くまとまり、私たちの店舗はピーチャイが引き継ぐことになったのです。。。
「・・・と、まあ・・ここまでが僕自身が噛んでいる、事の顛末だ。しかし、なんでいまさらプラーが怒っているのか?さっぱり分からないんだよな。。お金がどうとか言ってたし。金の問題なんかもう残ってないと思うんだけど。。」
「ふーむ。。ひとつ言えてるのは中田さん、師匠の知らない何事かをプラーに対してやってますね。。しかも、プラーはそれが師匠の意向を含むことだと思っている。。。」
・・・タカ。。。おまえいつになく冴えてるが、「名探偵コナン」でも読んだのか?
「まあ、いずれにしても。。ここは中田さんに事情を説明してもらうしかないなだろう。。。ん!ウワサをすればシャドウだ。。」
サリカカフェのガラスの扉を開けて中田さんが入ってきます。
「どおもー!すみません待たせちゃって。。。」
サリカカフェは歩いて行ける距離にある、日本人のための日本式喫茶店です。
値段も日本なみなのはいただけませんが、オールナイトなので深夜の待ち合わせには便利です。
中田さんは大量の荷物をあの定宿に置いていますので、あそこを引き払うわけにはいかないでしょうが、とりあえずはどこかに避難したでしょうから、いずれここに姿をあらわすはずです。
コーヒーのまずいタイにしては、比較的マシな味のするコーヒーをすすりながら中田さんを待つことにします。
「なあ師匠。オレ、いままであまり突っ込んだこと聞いたことなかったけど、いったい師匠たちのお店を閉めるときって、どんな感じだったのさ?」
「うーん。。。そうさなあ。。。。」
お店を閉める直前ごろには、プラーがすっかり険悪な雰囲気になっており、毎日言い争いが絶えませんでした。
プラーは当時26~27才くらいだったと記憶していますが、中田さんが新たに雇い入れた18才くらいの若い娘と仲良くなったのをきっかけに、女同士の争いがおこり、結果として新しい方の娘に辞めてもらうことになりました。
お店の戦力としては、まだプラーのほうが重要な存在であったからです。
しかし、それ以来・・プラーはすっかり疑い深くなり、中田さんが他の従業員に業務上の話をするだけでも怒り出します。
それどころか、私と話をしていてもすごい剣幕で噛み付いてくる。
私と中田さんが彼女の理解できない日本語で喋っているのを、「なにか悪巧みをしている」とか「トミーがナカタをそそのかして悪いことをさせている」と受け取るのです。。。
「なんで師匠が悪者になってるのさ?」
「中田さんが、プラーに責められたときに、すぐ僕を悪者にするからさ。ほら、あの人タイ語が達者だから、僕に分からないと思ってすぐそういうこと言うんだよ。今なら多少は聞き取れるのにね」
「はあ?なんで師匠はそんなこと言われて平気なわけ?」
「いや、だって男女問題にはそのくらいのカケヒキはありだろ?」
「んなこと言ってるから、すぐケツもたされるんですよ!それで?」
これだけ店内の人間関係がぎくしゃくしているお店が、繁盛するわけがありません。
当初はわりと快調に行っていたこのお店も、だんだん赤字経営に陥り、とうとうお店をつぶそう・・・ということで中田さんと合意したのです。
しかし問題は店舗の契約が、まだ3ヶ月も残っていたこと。
ここでお店を手放しても、3ヶ月分の家賃は私たちが負担しなければなりません。
ここで助け舟を出してくれたのが、意外にもプラーだったのです。
プラーのピーチャイ(兄さん)がジーンズショップをやりたがっている。
私たちのお店はバンコクではメジャーなショッピングコンプレックスのファッションエリアにありましたので、このままピーチャイに店舗を貸してしまったらどうか?ということです。つまりは「又貸し」。
店舗の又貸し・・というのはタイではよくあることでして、何を隠そう・・私たち自身、この店舗を又借りしていたのです。
多重又貸しの店舗というのはバンコクの至る所にありますので、そもそも誰がこの店舗の本当の借主なのか?わからない物件はザラにあります。
幸いにもプラーのピーチャイは妹と違って温厚な人物でした。
交渉は上手くまとまり、私たちの店舗はピーチャイが引き継ぐことになったのです。。。
「・・・と、まあ・・ここまでが僕自身が噛んでいる、事の顛末だ。しかし、なんでいまさらプラーが怒っているのか?さっぱり分からないんだよな。。お金がどうとか言ってたし。金の問題なんかもう残ってないと思うんだけど。。」
「ふーむ。。ひとつ言えてるのは中田さん、師匠の知らない何事かをプラーに対してやってますね。。しかも、プラーはそれが師匠の意向を含むことだと思っている。。。」
・・・タカ。。。おまえいつになく冴えてるが、「名探偵コナン」でも読んだのか?
「まあ、いずれにしても。。ここは中田さんに事情を説明してもらうしかないなだろう。。。ん!ウワサをすればシャドウだ。。」
サリカカフェのガラスの扉を開けて中田さんが入ってきます。
「どおもー!すみません待たせちゃって。。。」
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