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信長編
グルメ・異世界
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賑わう大通、そこに所狭しと並ぶ出店の数々。
人の数で言えば尾張の2いや3倍はいるでろう。
腹を満たすために、出店のたくさんある大通りに行くのをギルドの女に勧められ、只今稼いだばかりの金貨17枚を懐に目的地の大通りまで来たはいいものの、ここいらでは、尾張で――と言うより、日本では見た事の無い食べ物や生き物が存在しているのを確認した。
その時聞き覚えのある単語をで店の店主が叫んだ。
「スライムゼリーの寒天だよー。さぁ買った買った!」
「スライムゼリー……先刻討伐したヤツのモノではないか。どれ店主一つくれ」
出店の前まで歩み寄り店主に言うと、「あいよっ!」と言い、拳サイズのスライムゼリーを型に入れ、方と同じサイズの板の付いた棒で押すと、紙製のカップに盛って、黒いトロっとした液体をかけて渡した。
「お待ちどうさま。銀貨2枚ね」
お代を請求され、懐のきんかを取り出し、一枚渡す。
ここでの銀貨は恐らく日本と同じで、銀貨が何枚か集まれば金貨に両替できる制度だと思い、金貨を渡す。
「毎度あり! はい、お釣りの銀貨8枚ね」
どうやら合っていたようで、銀貨が10枚あれば金貨になるらしい。
「おい店主、この黒い液体はなんだ?」
「それは食べてみてからのお楽しみだ」
店主は不敵な笑みを浮かべ言った。
大通りの雑踏を抜け、道端のベンチに腰掛ける。
「寒天か……中々美味そうではないか」
フォークで少し掬すくい、匂いを嗅いでみる。
――どこかで嗅いだことのある匂い、でもいつ、どこで嗅いだものか思い出せなかった。
心して口へ運ぶ。
「甘いな……これは、黒蜜か!」
尾張にいた時はよく食べていた、食べなれた味だった。
「しかし、この先が三又に別れた物では中々食べにくいな」
フォークに文句を言いながらも寒天を次々と口へ運ぶ。
ものの数分で平らげ、未だ満たされない腹を満たすために、もう一度大通りへ戻る。
先程甘いものを食べたせいか、次は塩気のあるものが食べたくなった。
出店を一つ一つ見て回っていると、見慣れたものが見に入り、足を止めた。
「串焼きか……」
魚ではなかったが、何やらの肉が竹串に刺さり、炭火で炙られ香ばしい匂いを漂わせていた。
「おい店主、その肉は何だ?」
「コレですかい? コレはですね、ファットリザードってモンスターの肉だよ。一本買ってくかい?」
聞いたことも無い肉を食べて、万が一不味かったり、腹を下したりしては金の無駄だと思い断ろうと思ったが、目の前で焼かれる肉の、香ばしい匂いと空腹には勝てず、銀貨2枚でファットリザードの串焼きを購入し、ベンチに腰掛ける。
まだジュージューと小さく音を立て、湯気を立てる。
熱そうだか、思い切って齧り付く。外側の皮はカラッと焼かれており、口の中でパリパリと軽快な音を立て崩れ、中は炭火でじっくりと焼かれ、噛めば噛む程肉汁が止めどなく溢れてくる。
「う……美味い」
美味しすぎてそれしか言う言葉が見つからなかった。
食事にこんなにも感動したのはいつぶりだろうか。
最近は仕事や戦やらで食事なんてただの作業になっていたが、今は違う。
「食べる事はこんなにも満たされるものなのか……」
今まで気付かなかったことに気付かせてくれる。この世界は素晴らしい。
「これだけあれば今日は宿屋で夜が明かせるな」
金貨と銀貨を懐に入れ、記憶を頼りに宿屋までの道を歩き出す。
人の数で言えば尾張の2いや3倍はいるでろう。
腹を満たすために、出店のたくさんある大通りに行くのをギルドの女に勧められ、只今稼いだばかりの金貨17枚を懐に目的地の大通りまで来たはいいものの、ここいらでは、尾張で――と言うより、日本では見た事の無い食べ物や生き物が存在しているのを確認した。
その時聞き覚えのある単語をで店の店主が叫んだ。
「スライムゼリーの寒天だよー。さぁ買った買った!」
「スライムゼリー……先刻討伐したヤツのモノではないか。どれ店主一つくれ」
出店の前まで歩み寄り店主に言うと、「あいよっ!」と言い、拳サイズのスライムゼリーを型に入れ、方と同じサイズの板の付いた棒で押すと、紙製のカップに盛って、黒いトロっとした液体をかけて渡した。
「お待ちどうさま。銀貨2枚ね」
お代を請求され、懐のきんかを取り出し、一枚渡す。
ここでの銀貨は恐らく日本と同じで、銀貨が何枚か集まれば金貨に両替できる制度だと思い、金貨を渡す。
「毎度あり! はい、お釣りの銀貨8枚ね」
どうやら合っていたようで、銀貨が10枚あれば金貨になるらしい。
「おい店主、この黒い液体はなんだ?」
「それは食べてみてからのお楽しみだ」
店主は不敵な笑みを浮かべ言った。
大通りの雑踏を抜け、道端のベンチに腰掛ける。
「寒天か……中々美味そうではないか」
フォークで少し掬すくい、匂いを嗅いでみる。
――どこかで嗅いだことのある匂い、でもいつ、どこで嗅いだものか思い出せなかった。
心して口へ運ぶ。
「甘いな……これは、黒蜜か!」
尾張にいた時はよく食べていた、食べなれた味だった。
「しかし、この先が三又に別れた物では中々食べにくいな」
フォークに文句を言いながらも寒天を次々と口へ運ぶ。
ものの数分で平らげ、未だ満たされない腹を満たすために、もう一度大通りへ戻る。
先程甘いものを食べたせいか、次は塩気のあるものが食べたくなった。
出店を一つ一つ見て回っていると、見慣れたものが見に入り、足を止めた。
「串焼きか……」
魚ではなかったが、何やらの肉が竹串に刺さり、炭火で炙られ香ばしい匂いを漂わせていた。
「おい店主、その肉は何だ?」
「コレですかい? コレはですね、ファットリザードってモンスターの肉だよ。一本買ってくかい?」
聞いたことも無い肉を食べて、万が一不味かったり、腹を下したりしては金の無駄だと思い断ろうと思ったが、目の前で焼かれる肉の、香ばしい匂いと空腹には勝てず、銀貨2枚でファットリザードの串焼きを購入し、ベンチに腰掛ける。
まだジュージューと小さく音を立て、湯気を立てる。
熱そうだか、思い切って齧り付く。外側の皮はカラッと焼かれており、口の中でパリパリと軽快な音を立て崩れ、中は炭火でじっくりと焼かれ、噛めば噛む程肉汁が止めどなく溢れてくる。
「う……美味い」
美味しすぎてそれしか言う言葉が見つからなかった。
食事にこんなにも感動したのはいつぶりだろうか。
最近は仕事や戦やらで食事なんてただの作業になっていたが、今は違う。
「食べる事はこんなにも満たされるものなのか……」
今まで気付かなかったことに気付かせてくれる。この世界は素晴らしい。
「これだけあれば今日は宿屋で夜が明かせるな」
金貨と銀貨を懐に入れ、記憶を頼りに宿屋までの道を歩き出す。
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