1 / 1
森の熊さん
しおりを挟む
私は好きな童謡がある。
『森のくまさん』だ。
知っている人も多いと思うが、くまが女の子の貝のイヤリングの落し物を女の子に渡そうとするが、女の子が逃げてしまう童謡だ。
私は追いかけてくるくまのことを思うと、なんだか暖かい気持ちになり、つい曲を口ずさんでしまう。
今も電車に乗りながら、森のくまさんが頭の中で流れている。
もしかしたら、頭だけでなく、口から漏れてもいたかもしれない。
「次は、『岩井』『岩井』お降りになるお客様は右手のよりお降りください。」
電車のアナンスが鳴る。
私はこの岩井で降りる。
右のドアの前で、電車が止まるのを待つ。
すると、後ろから肩を叩かれた。
「はい?」
と後ろを向くと、強面の男の人がいた。
私に声をかけたのかな?
それにしても怖い顔してる…。
「嬢ちゃん。
ちょっとそこまで来い。」
命令形でとても怖かった。
もしかして、堂々としたカツアゲ?
どうしよう。
今車内には私たちしかいない。
ピロリロリン
「『岩井』『岩井』」
と、やっと駅に着き、ドアが開いた。
と同時に私は恐怖で走って逃げてしまった。
「お、おい!」
と、男の人が私を追いかけてくる。
森のくまさんの女の子はこんな怖い気持ちだったんだろうな。
と呑気に考えているうちに男の人が私の腕を掴む。
「ひー。」
つい小声で言ってしまった。
すると、男の人はわたしの耳元まで顔を寄せる。
ひーっ!
今度は声にならなかった。
「嬢ちゃん。
Tシャツ後ろ前逆だ。」
と、男の人が言う。
Tシャツ…?
えーーーーーー!
なんと、本当にTシャツが後ろ前逆になっていた。
なんで気が付かなかったんだろう。
なんで誰も声かけてくれなか…
いや、かけてくれた…この人が!
「ありがとうございます。
すぐに着替えてきますので、少しここにいてくれませんか?」
「ぉお。」
私はトイレに行き、着替えた。
戻ると、本当にさっきまでいた場所から動いてない。
「すみません。
ありがとうございました。
あと、逃げてしまってすみませんでした。」
「いや、いつものことだから。」
いつもなのか…。
ちょっと不憫になる。
「お礼にどこかでお茶なんていかがですか?
近くに美味しいパンケーキ屋さんがあるんです。甘いもの食べれますか?」
すると、男の人は
「甘いものは好きだ。」
と、少し顔を赤くして男の人は言う。
かわいい…。
なんて思ってしまう男の人の仕草だった。
「さっきの…」
と、男の人がなにか言い始めた。
「森のくまさんになった気分だ。」
「あは。」
つい、笑ってしまった。
だって、同じことを考えているのだから。
「そうですね。
私も思いました。」
と、言うと2人で笑ってしまった。
私は森のくまさんで気になる部分がある。
くまと女の子はその後どうなったのか。
それが今日分かった気がした。
きっとこれからも仲良くしていける…
これからの私たちのように。
「行こうか。」
「はい。」
2人で並んで歩き出す。
「そういえば、名前聞いてなかったですね。」
「熊野龍彦だ。」
「私は岬優香です。」
「なんて呼べばいい?」
「優香でいいですよ。
私は…そうだ。
熊さんって呼んでもいいですか?」
「あぁ、いいよ。」
これからきっと私たちは仲良くなれる。
そんな気がした。
『森のくまさん』だ。
知っている人も多いと思うが、くまが女の子の貝のイヤリングの落し物を女の子に渡そうとするが、女の子が逃げてしまう童謡だ。
私は追いかけてくるくまのことを思うと、なんだか暖かい気持ちになり、つい曲を口ずさんでしまう。
今も電車に乗りながら、森のくまさんが頭の中で流れている。
もしかしたら、頭だけでなく、口から漏れてもいたかもしれない。
「次は、『岩井』『岩井』お降りになるお客様は右手のよりお降りください。」
電車のアナンスが鳴る。
私はこの岩井で降りる。
右のドアの前で、電車が止まるのを待つ。
すると、後ろから肩を叩かれた。
「はい?」
と後ろを向くと、強面の男の人がいた。
私に声をかけたのかな?
それにしても怖い顔してる…。
「嬢ちゃん。
ちょっとそこまで来い。」
命令形でとても怖かった。
もしかして、堂々としたカツアゲ?
どうしよう。
今車内には私たちしかいない。
ピロリロリン
「『岩井』『岩井』」
と、やっと駅に着き、ドアが開いた。
と同時に私は恐怖で走って逃げてしまった。
「お、おい!」
と、男の人が私を追いかけてくる。
森のくまさんの女の子はこんな怖い気持ちだったんだろうな。
と呑気に考えているうちに男の人が私の腕を掴む。
「ひー。」
つい小声で言ってしまった。
すると、男の人はわたしの耳元まで顔を寄せる。
ひーっ!
今度は声にならなかった。
「嬢ちゃん。
Tシャツ後ろ前逆だ。」
と、男の人が言う。
Tシャツ…?
えーーーーーー!
なんと、本当にTシャツが後ろ前逆になっていた。
なんで気が付かなかったんだろう。
なんで誰も声かけてくれなか…
いや、かけてくれた…この人が!
「ありがとうございます。
すぐに着替えてきますので、少しここにいてくれませんか?」
「ぉお。」
私はトイレに行き、着替えた。
戻ると、本当にさっきまでいた場所から動いてない。
「すみません。
ありがとうございました。
あと、逃げてしまってすみませんでした。」
「いや、いつものことだから。」
いつもなのか…。
ちょっと不憫になる。
「お礼にどこかでお茶なんていかがですか?
近くに美味しいパンケーキ屋さんがあるんです。甘いもの食べれますか?」
すると、男の人は
「甘いものは好きだ。」
と、少し顔を赤くして男の人は言う。
かわいい…。
なんて思ってしまう男の人の仕草だった。
「さっきの…」
と、男の人がなにか言い始めた。
「森のくまさんになった気分だ。」
「あは。」
つい、笑ってしまった。
だって、同じことを考えているのだから。
「そうですね。
私も思いました。」
と、言うと2人で笑ってしまった。
私は森のくまさんで気になる部分がある。
くまと女の子はその後どうなったのか。
それが今日分かった気がした。
きっとこれからも仲良くしていける…
これからの私たちのように。
「行こうか。」
「はい。」
2人で並んで歩き出す。
「そういえば、名前聞いてなかったですね。」
「熊野龍彦だ。」
「私は岬優香です。」
「なんて呼べばいい?」
「優香でいいですよ。
私は…そうだ。
熊さんって呼んでもいいですか?」
「あぁ、いいよ。」
これからきっと私たちは仲良くなれる。
そんな気がした。
23
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる