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ハナとウミとセツ①
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※三人での行為を匂わせる描写があります
「……!」
「……!」
仕事の帰り道。
いつも通る公園から、いつもは聞こえない怒鳴り声のようなものが聞こえた。
(なんだ?)
いつもなら気のせいかと思って通り過ぎるか、全く気にもとめないその声が妙に気になった。
「……ろ!」
「……!……んな!」
近付けば近付く程、声は大きくなってくる。
「……やめ……!嫌だって……!」
「!!」
公園の奥の奥。
通りからは完全に遮断され、闇に包まれたそこから聞こえてくるのは何かを拒絶する声。
加えて影が何かに覆い被さっている所を見ると、これは明らかに……
「オイ!何してるんだ?!」
「「!」」
襲われているのだと思い、そこに乗り込んだのだが。
「……何だよ、何か用?」
「……何?誰?」
「………………え?」
そこにいたのは男に押し倒されている男で。
しかもさっきまで泣き叫んでいたかのように聞こえていたのに、組み敷かれている方もきょとんとした顔でオレを見上げている。
「……えっと、襲われてたんじゃ?」
「え?誰が?」
「あー、お前の声がデカすぎて誤解されたんじゃねえの?」
「ええ?やっべ、ちょっと入り込みすぎたか」
「てかこの公園、誰も来ないんじゃなかったのかよ」
「いつもは来ないんだよ」
ぽかんとしている俺を他所に、二人は淡々と話をしている。
「あー、悪いねあんた。かっこ良く乱入してくれた所すっごい申し訳ないんだけど」
「俺達プレイの最中だったんだよねー」
「ぷ、プレイ?」
「そ。無理矢理犯されるごっこ」
「えー……っと……」
つまり、なんだ。
あの嫌がっていそうな声は嘘だったと。
嘘の助けを求める声に、俺はまんまと駆けつけてしまったと。
そういう事か。
「な、なんだ、そっか……すいません、俺勘違いしちゃって……」
「「!」」
勘違いをしてしまった事が恥ずかしくて、かかかっと頬に熱が集まる。
それを見た二人が、無言で目を見合わせむくりと起き上がる。
「あの、じゃあ俺は行きますんで、えーと、まあ風邪引かないように……」
「なあ、お兄さんも混ざる?」
「…………はい?」
立ち去ろうとしたその腕を、覆い被さっていた方の男にがっしりと掴まれて言われたセリフに目を丸くする。
「……混ざる?」
一体なんの事だろうか。
「それナイスアイディア!」
「だろー?」
「……いやいや、意味わかりません、混ざるってなんですか」
「え?そのまんまの意味だけど?」
「これからする事に混ざりましょーって事」
「うわっ!?」
今度は押し倒されていた方の男に背中から抱き着かれ、ぐらりとバランスを崩してしまった。
「おっと」
「あ、す、すいません……!」
倒れそうになった所をもう一人の男に正面から支えられる。
「いえいえ、ははっ、いい感じの収まり具合だね、お兄さん」
「え!?ちょっ……!」
あっという間に服の中に手が入ってくる。
「あれ、お兄さん良く見ると可愛い顔してんじゃん」
「それに、肌すべすべ」
「ちょ、ちょっと待て!何してんだ!?」
突然の事に敬語も忘れて怒鳴る。
「え?だからさっきから言ってるじゃん」
「これから気持ち良い事するからさ、お兄さんも楽しもうよ」
「い、意味がわからーん!離せ!」
「「あいたーっ!?」」
全く悪びれもしない二人目掛けて、頭に拳骨を振り下ろした。
どっちも俺より背が高いから、振り下ろしたというよりは横からぶん殴った感じになってしまったが、二人がオレから離れたから良し。
乱れた服を整えて、二人に向かって怒鳴る。
「この馬鹿ちんどもが!俺にその気はない!ていうか、そ、そういうプレイがしたいなら二人だけでやれ!」
「「えー……」」
「えー、じゃない!大体、恋人同士のそういうのに赤の他人を巻き込むなよ!」
「へ?恋人?」
「誰の事?」
「え?」
再びきょとんとする二人。
「……恋人同士だろ?」
「違うよ?」
「ただのオトモダチ」
「ただのオトモダチはそんなプレイしません!」
「まあ、ただのオトモダチっていうか、えっちなオトモダチ?」
「……信じらんねえ」
あっけらかんと告げる二人に頭痛がしてきた。
じいちゃんばあちゃん、都会にはとんでもないオトモダチを持っている人間がいるようです。
「えーと、とにかく俺を巻き込むな。後はお二人さんでどうぞ」
「え?待って待って!」
「お兄さんも混ざろうってば!」
「嫌だって!あ!?」
今度はがっしりを背後から羽交い締めにされる。
「ふっふっふ、逃がすなよセツ!」
「ガッテンだハナ!」
覆いかぶさっていた方がハナ。
覆いかぶさられていた方がセツというらしい。
いやそんな事知ってもどうだって良いんだが。
「離せバカップルー!!!」
「「だからカップルじゃないってば」」
「いやほんとに!やめろって!」
「無理無理、だって俺、お兄さんに一目惚れしたみたい」
「は!?」
「俺も!こんな事で顔真っ赤にするなんて可愛すぎるでしょお兄さん」
「はあああ!?」
「まあそんな訳だから」
「大人しく喰われちゃいなって」
「「いただきまーす」」
「じょ、冗談じゃねえええええ!!!」
静かな公園に、今度は俺の悲鳴が響き渡った。
「……!」
「……!」
仕事の帰り道。
いつも通る公園から、いつもは聞こえない怒鳴り声のようなものが聞こえた。
(なんだ?)
いつもなら気のせいかと思って通り過ぎるか、全く気にもとめないその声が妙に気になった。
「……ろ!」
「……!……んな!」
近付けば近付く程、声は大きくなってくる。
「……やめ……!嫌だって……!」
「!!」
公園の奥の奥。
通りからは完全に遮断され、闇に包まれたそこから聞こえてくるのは何かを拒絶する声。
加えて影が何かに覆い被さっている所を見ると、これは明らかに……
「オイ!何してるんだ?!」
「「!」」
襲われているのだと思い、そこに乗り込んだのだが。
「……何だよ、何か用?」
「……何?誰?」
「………………え?」
そこにいたのは男に押し倒されている男で。
しかもさっきまで泣き叫んでいたかのように聞こえていたのに、組み敷かれている方もきょとんとした顔でオレを見上げている。
「……えっと、襲われてたんじゃ?」
「え?誰が?」
「あー、お前の声がデカすぎて誤解されたんじゃねえの?」
「ええ?やっべ、ちょっと入り込みすぎたか」
「てかこの公園、誰も来ないんじゃなかったのかよ」
「いつもは来ないんだよ」
ぽかんとしている俺を他所に、二人は淡々と話をしている。
「あー、悪いねあんた。かっこ良く乱入してくれた所すっごい申し訳ないんだけど」
「俺達プレイの最中だったんだよねー」
「ぷ、プレイ?」
「そ。無理矢理犯されるごっこ」
「えー……っと……」
つまり、なんだ。
あの嫌がっていそうな声は嘘だったと。
嘘の助けを求める声に、俺はまんまと駆けつけてしまったと。
そういう事か。
「な、なんだ、そっか……すいません、俺勘違いしちゃって……」
「「!」」
勘違いをしてしまった事が恥ずかしくて、かかかっと頬に熱が集まる。
それを見た二人が、無言で目を見合わせむくりと起き上がる。
「あの、じゃあ俺は行きますんで、えーと、まあ風邪引かないように……」
「なあ、お兄さんも混ざる?」
「…………はい?」
立ち去ろうとしたその腕を、覆い被さっていた方の男にがっしりと掴まれて言われたセリフに目を丸くする。
「……混ざる?」
一体なんの事だろうか。
「それナイスアイディア!」
「だろー?」
「……いやいや、意味わかりません、混ざるってなんですか」
「え?そのまんまの意味だけど?」
「これからする事に混ざりましょーって事」
「うわっ!?」
今度は押し倒されていた方の男に背中から抱き着かれ、ぐらりとバランスを崩してしまった。
「おっと」
「あ、す、すいません……!」
倒れそうになった所をもう一人の男に正面から支えられる。
「いえいえ、ははっ、いい感じの収まり具合だね、お兄さん」
「え!?ちょっ……!」
あっという間に服の中に手が入ってくる。
「あれ、お兄さん良く見ると可愛い顔してんじゃん」
「それに、肌すべすべ」
「ちょ、ちょっと待て!何してんだ!?」
突然の事に敬語も忘れて怒鳴る。
「え?だからさっきから言ってるじゃん」
「これから気持ち良い事するからさ、お兄さんも楽しもうよ」
「い、意味がわからーん!離せ!」
「「あいたーっ!?」」
全く悪びれもしない二人目掛けて、頭に拳骨を振り下ろした。
どっちも俺より背が高いから、振り下ろしたというよりは横からぶん殴った感じになってしまったが、二人がオレから離れたから良し。
乱れた服を整えて、二人に向かって怒鳴る。
「この馬鹿ちんどもが!俺にその気はない!ていうか、そ、そういうプレイがしたいなら二人だけでやれ!」
「「えー……」」
「えー、じゃない!大体、恋人同士のそういうのに赤の他人を巻き込むなよ!」
「へ?恋人?」
「誰の事?」
「え?」
再びきょとんとする二人。
「……恋人同士だろ?」
「違うよ?」
「ただのオトモダチ」
「ただのオトモダチはそんなプレイしません!」
「まあ、ただのオトモダチっていうか、えっちなオトモダチ?」
「……信じらんねえ」
あっけらかんと告げる二人に頭痛がしてきた。
じいちゃんばあちゃん、都会にはとんでもないオトモダチを持っている人間がいるようです。
「えーと、とにかく俺を巻き込むな。後はお二人さんでどうぞ」
「え?待って待って!」
「お兄さんも混ざろうってば!」
「嫌だって!あ!?」
今度はがっしりを背後から羽交い締めにされる。
「ふっふっふ、逃がすなよセツ!」
「ガッテンだハナ!」
覆いかぶさっていた方がハナ。
覆いかぶさられていた方がセツというらしい。
いやそんな事知ってもどうだって良いんだが。
「離せバカップルー!!!」
「「だからカップルじゃないってば」」
「いやほんとに!やめろって!」
「無理無理、だって俺、お兄さんに一目惚れしたみたい」
「は!?」
「俺も!こんな事で顔真っ赤にするなんて可愛すぎるでしょお兄さん」
「はあああ!?」
「まあそんな訳だから」
「大人しく喰われちゃいなって」
「「いただきまーす」」
「じょ、冗談じゃねえええええ!!!」
静かな公園に、今度は俺の悲鳴が響き渡った。
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