QA高校ラジオの一刻

upruru

文字の大きさ
1 / 3

一話:屋上戦争するラジオ部

しおりを挟む
 貴方の生き甲斐は、何ですか?
それは人それぞれであろう。スポーツに料理、登山、多種多様。持って要るだけで、人生の景色がガラッと変わる事もあろう。語り部をしている私、山田 京子も生き甲斐を見つけて変わった一人だ。何で変わったのか。それはイタズラだ。このQA高校で現代文の教師を務めて約二年。多くの者にイタズラを仕掛けて来た。雨の日も風の日も台風の日であってもだ。何故ならイタズラをした相手の反応を見て楽しむことを生き甲斐としているからな。好きな事は、妥協せずやる事が大事なのだ。
そんな私、山田 京子は、今訳あって校舎の屋上で寛いでいる。

「あのー?」

一人の男子生徒と一緒に・・・



「何を呆けているんです? 悩みでもあるんですか?」
と二年生の 菊川 光が横から体操座りの姿勢で私を見上げ、心配そうに話しかけてきた。
その心優しい問い掛けに私は、考えていた事をハッキリと告げてやる。

「気にするな。これからお前にどう嫌がらせしてやろうか考えていたところだ」
「いや、気にしますよそれ。僕に害が及ぶじゃないですか」
「大丈夫だ、そんなハードな事は要求せんから心配しなくていい。バナナを踏ませて滑らせたり、背中に甲羅をぶつけたりする程度な話でー、」
「マリ○カートかっ!しかもイタズラに難易度とかあんの!?」
その問い掛けに山田は、「ふっ・・・」と笑い答えた。
「ランクとしては、小盛り、中盛り、大盛り、超大盛り、鬼盛りの五ランクあってな」
「何ですか、その定食みたいな分け方・・・」
「バナナや甲羅を打つけるのは、小盛り類に該当するな」
「あれで小なんだ。当たった時に、車体が一回転する程の衝撃なのに」
「そういえばお前、まだ免許を持っていなかったな。その時まで待っておこう」
「何を本気でやろうとしてるんですか!?やめて下さいよ!」
「いつ免許を取る予定だ?」
「え?そうですね。来年の夏休みを使って取りに行くつもりですが」
来年の夏か。ふむふむ、なるほどね

「来年の夏有言実行っと、メモメモ」

「ちょっと!?そんな事をメモ取るな!メモを!」
メモ帳に記載している最中に菊川から強引に取り上げてしまった。
ふと菊川の顔を見てみると、冷や汗が流れ、顔色も悪くなっている。
「・・・何をする?」
「こっちのセリフじゃーーーーー!」
「いきなり叫んでどうした?」
「あんたの所為だ!何をメモ取ってるんですか!」
「免許試験の勉強の手助けしてやろうと思ってな」
「今の会話の流れからして信じられませんよ。というか有言実行とか言ってたし」
「何?口から出ていたのか」
「無意識!?」
「まさかメモまで取ってしまうとは」
「それも無意識!?」
「どうもイタズラを思い付くとメモを取ってしまうのが、私の悪い癖でな」
「・・・イタズラを思い付くとメモを取る・・・」
「ああ、そうなんだよ。・・・・あっ・・・」
『・・・・・』
お互い長い沈黙の中、屋上に春の香りが残る風が、立っている二人の間を吹いていった。
そして数秒後、沈黙に耐えれなくなった山田が口を開いた。

「最近部活内の様子は、どんな感じだ?」

「はぐらかし下手ですね。それで逃げれると思いますか?」
「一生のお願いだ。忘れてくれ」
「一生をこんなどうでもいい所で使っちゃいますか」
「あとさっきのバナナとか甲羅の話、冗談だからな」
「当たり前です。実行したら警察のお世話になりますからね」
「だろう?ではー、」
と言うと同時に菊川の前に手を差し伸べた。
「メモ帳を返してくれ」と。

菊川は、片手に持った私のメモ帳を一度チラ見をした後、私の顔を見るなり、

「嫌です」

三文字返事で拒否してきたのだった・・・。

               ※

これを返しては、いけない気がする。だって返したら、イタズラを辞めてくれなさそうだから。しかも、「思い付いたイタズラをメモしている」と山田先生は、言った。って事は、まだ実行に移していないモノもあると言う事だ。これを手に持っておけば、イタズラを先に把握する事が出来て対策する事も可能なのだ。実際、山田先生のイタズラの犠牲者は、たくさんいる。だからこれ以上増やさない為に僕が、学校のみんなを助けるんだ!
決意を固めていると、山田先生は、「なん・・だと・・」と驚きを隠せない顔をしている。
「今何と言った?」
「だから嫌ですって言ったんですよ」
「何故だ」
「それは、自分の胸に手を当ててしっかり考えて下さい。
日頃の行いを思い返せば、すぐにわかる筈です」



言われた通り、山田先生は、胸に手を当てる。
それから数刻が過ぎた時、「うむ」と言うと手を下ろした。僕は、少し緊張気味に聞いた。
「どうですか?」
すると、山田先生は、首を傾げる。

「どうもこうも心臓の鼓動を感じるだけだか?」

うん。やっぱりこの人もバカだ。突然だが、僕は、ラジオ部に所属している。そして、ラジオ部には、変人が多い。その中のメンバーに、桜 愛という女子生徒がいる。ラジオ部の部長なんだが・・・、まぁ、これでもかと言うくらいトラブルを引き起こす。起こした本人は、「次気を付ければいいのよ!」と言ってはいるが、同じミスを何度もやってしまうのだ。学ばない系のアホの子だ。何が言いたいのかと言うと。山田先生も、部長と同じくらいの変人で常識が通じないのだ。

「何故そうなる?」
嘆息混じりの小さな声で呟くと、ガックリとしている僕の様子が気になったのか、理由を言ってきた。
「胸に手を当てても、普通心臓の鼓動を感じるだけじゃないか?」
「はい、間違っていませんが、間違ってます。僕が望んでいる回答ではないので」
「間違っていないが間違っている?鼓動が答えではないと言うのか?」
「まぁそうですね」
「・・・分からん。考える時間をくれ」
「どれくらい欲しいですか?」
「一日」
「日をまたぐ程時間が必要なの!?」
「やっぱり二日」
「増えた!」
「なぁ一生のお願いだ。メモ帳を返してくれ」
「さっき一生のお願い使ったじゃないですか!頑張って考えて下さい!」
「分からんもんは分からん。・・諦めた、ギブだ」
「そして諦めるのが早い!まだ十秒すら経ってないのにぃ!」
「時には、諦めも肝心だぞ♪」
「『だぞ♪』じゃないんだぞ♪」
「おい。怒りで語尾がおかしくなってるが、大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃないんだぞ♪」
「やめろ気持ち悪いぞ。女性ならともかく、男性がその語尾で喋ると気持ちの良いものではない」
「やっかましぃいーーーーー!理解していないなら、僕から言いますよ!山田先生のー」

「私のイタズラを止める為に、メモ帳は、返せないと言いたいんだろ?」

「分かってるじゃないですか!何で分からないフリをしたし!?」
「いや、お前はボケに対して、敏感に反応するからな。
たくさんボケてツッコミさせて楽しんでいたのさ」
・・・マジかよ。僕、完全に遊ばれてる。しかも教師に。
呆然としている僕を見て、山田先生は、悪ガキ大将のような無邪気な笑顔になって一言。

「ゴメンねだぞ♪」

この瞬間、僕の中で中かが弾けた。人は、怒りが頂点に達すると頭の中でプチンと何かが切れる音が聞こえると聞いた事があります。まさしく今の僕です。

「生徒をからかうのもいい加減にしてください!
この際だからメモ帳の中身を確認してやる!もう我慢の限界です!」
怒り任せにメモ帳の中身を確認しようとした瞬間ー、

ガシッ!

山田先生の手が、僕の両手首を掴んでメモ帳を開かないように固定していた。
「離してくれません?」
「それは、聞けない相談だな。しかし、これは困ったな」
「何ですか?今更自分が不利な状況だと気付きました?今謝れば、許してあげなくもないですよ」
「ゴメンねだぞ♪」
「メンタル強過ぎません!?怖いもの知らずか!」
「ふっ。教師が生徒に負ける訳には、いかんだろ」
「僕も負ける訳にはいきませんよ!学校の平和の為にも!」
メモ帳の開く開かないの攻防戦を数十分後程繰り広げる激戦になった。
              ※  
攻防戦最中に、山田先生が唐突に口を開いた。
「だが、本当に困った。まさか生徒とバトル展開勃発するとはな。それに、中身は、あんまり見られてたくはないんだよなぁ。犯罪者の名前が大量に書かれているからさ」
「何それ!?超怖いんですが!」
「風の噂で、確かこのメモ帳に書いてある犯罪者は、皆死んでしまったとか」
「リアルデ◯ノート!?だったら尚更学校の危険人物に渡しとけませんよ!」
「いーや!返してもらうぞ。試し代にしたい奴が目の前にいるからな!」
「え?目の前?試し代?・・・・。」
今、僕と山田先生で向かい合った状態で、メモ帳を奪い合っている訳だからー、

「いやぁあああああ!?試し代って僕だぁあああ!殺されるー!」

って、あれ?流されちゃたけど、冷静に考えたら、そんなもの実在しないよな。またからかわれた?
「いやいやいや!嘘ですよね!そもそもそんな物、存在しない。しかも山田先生の性格から考えて、持ってたら真っ先にキ◯になろうとするでしょ!?」
「ちっ!バレたか」
「やっぱり!もう流されませんよ!」
「何というか、生徒が私のイタズラに屈しない姿を見ると、成長したんだなって感動するよ。
巣立つ小鳥を見守る親鳥のようだ」
「悪いんですが、そんなスパルタな親鳥に育てられた記憶はございません!」
「ところでだな。菊川よ」
「何ですか?ギブアップですか?」
「いや違う。緊急事態だ」
「緊急事態?」
僕の疑問に、山田先生は、顔色を悪くして「ああ、実はな」と話始めた。

「もよおしそうなんだ」

・・・・・は?
「もよおすって、あのもよおす?」
「他に何がある?」
「いやいや、どうせまた冗談なんでしょ?先生の腕の力も弱くなってきてるのが、僕にも分かりますからね。またからかって油断させようなんて無駄ですよ!」
こう言っている間にも山田先生の顔色は、悪くなっていく一方。
「いや・・・、これマジで」
「いやいや、もういい加減にー、」
と言い返そうとした瞬間だった。

ぐるる!

山田先生の腹が大きく鳴ったのだった。



「な?」
「『な?』じゃなくて!これマジなヤツじゃないですか!」
「だからさっきから言っているだろう」
「一体いつから腹に違和感を感じてました?」
「お前が『何を呆けているんです? 悩みでもあるんですか?』って言ってた時から」
「序盤も序盤!超序盤からじゃん!」
「うぅ・・・。こんな事になるならトイレ行けば良かった」
「とりあえずメモ帳は、諦めてトイレ行って下さい!」
「いや、それは無理だ」
「無理って・・・」
「メモ帳取り返す!そんでもってトイレの元へ辿り着く!」
「変な意地貼ってる場合か!」
「ゴメンねりゃぞ♪」
「りゃぞ!?何その新語尾を編み出すだけの余裕!?」
「くそ!語尾を変えただけでは、腹のモチベーションは変わらんか!神よ!我に力を!」
「神頼み!?腹の調子を神任せかよ!しかも何故かメモ帳を引っ張る力が一段と増した!怖いよこの人!ってあれ?先生?」
「私はゼウス!この我を召喚するとは、運が良い人間、ん?何?今出番ではない?
・・・そうか。では引こうかの」
「何を召喚した!?明らかに喜捨な身体つきには、似合わない何かを身体の中に憑依させたよねぇ!?」
「気を取り直して最終決戦と行こうか!菊川 光よ!」
「無理です!気が乱れぱっなしです!治せないほどグチャグチャです!
ちなみに今は、どちら様ですか!?」

「ゼウス 山田です!」

「混ざったぁああああああああああああ!?」
ツッコミで今日一番の力が手に入る。すると、
ビリッ!と何かが破れる音が屋上に響き渡った。

           ※

戦いは、悲しみしか生まない。
どこかの偉人が言っていた・・・気がする。
僕達の目の前には、醜いバトルにより破れてしまったメモ帳が無残な状態になっていた。一方は、己の欲の為メモ帳を欲し、もう一方は、平和の為に欲した。だが、結果は、目の前にあるボロボロのメモ帳が全てを語っていた。結局争いが起こるくらいなら最初から無ければ良かったのだ。

「それが良かったかもしれないな」
「あの。僕の心の中、読むのやめてくれますか?というかトイレ大丈夫なんですか?」
「ん?何の話だ?」
「えっ、だって腹がヤバイって・・・」

すると、ぐるる!とまた大きな音が山田先生の腹から鳴った。

「ほら!早くトイレに行って下さい!もよおす前に早く!」
すると、山田先生は、「ああ、これはだな」とさっきまでの苦しんでいた反応が嘘のような様子で、ポケットからあんパンを取り出し、それを食べ始めた。
「はい?どゆこと?」
状況が理解出来ずにいると、あんパンを食べ終わった山田先生が、「実は、こういう事だ。」と言い、それ以降腹の虫が鳴ることはなくなった。つまりー、

「腹が空いてただけかぁああ!」

「そう言うことだ。フェイクだ」
「って事は、またからかわれただけ」
「うむ」
何かもうこの人に、勝てる気がしない。
「ちなみにメモ帳には、最初に書いた有言実行以外何も書かれていない。二重に騙された訳だ」
「なっ・・・!」
驚愕していると、また屋上に春香る風が破れたメモ帳上下のページをめくった。確かに何も書かれていなかった。仕掛けた側は、そんな驚いている生徒の横で、「おお!良い風だな」と腑抜けたことを言っていた。これは、僕の完敗だった。もう全てにおいて負けた感じが否めない。
「いやー、久々にたくさんイタズラ出来て、私は満足だ。ありがとうな」
「こんな嬉しくないお礼初めてですよ。お気に召しましたか?」
「おお!凄く!」



「部長もだいぶ曲者ですが、山田先生は、それ以上ですね」
「ふふっ。私にとって褒め言葉だな」
「嬉しいんだ・・・。もうホントめちゃくちゃですね。この学校の住民は。常識人がいない」
「疲れるか?」
「はい。毎日疲れています」
「大変か?」
「まぁ、大変だから疲れる訳で」
「じゃあ、中学時代の方が、まだマシか?」
「・・・!」

その問いに即答は、出来なかった。今と昔を比べて見るとどっちが良いかなんて正直よく分からない。分からないが、これだけは、ハッキリ言える。

「退屈はしませんね」

その返答に、山田先生は、満足気に答える。
「そうかそうか。中学時代のお前を知っているからこその質問だったが、不要だったか」
「というか、今更ですよ。あの連中に囲まれて過ごせば、自分の悩みなんて小さく見えます」
「そっか・・・。では、用は済んだし帰るかね」
と言うと、背を向けて、屋上に一つしかない扉に向かっていく。だが、ここで一つ疑問が浮かんだので、質問してみた。
「山田先生は、どうして屋上に居たんですか?」
「ん?私か?実はだなー、」
と言いかけた時だった。

ピンポンパンポーン♪

学校のお知らせをするチャイムが鳴った。そこから声が聞こえる。声の主は、我が部長の桜 愛の声だった。

「えー、テステス。山田先生聞こえますかぁ?聞こえたら大声で『バ◯ス!』って叫んで頂けますかぁ?・・・え?必要ない?・・・・・そんな事より『クリ◯ンの事かぁああ!』の方がいい?もう!どっちよ!確かに友として二人の意見は尊重したいけど、部長としての立場からして両方選ぶのは、了承できないわ!」

一体なんの話をしているんですか?どうでも良い言い合いしてないで早く本題に入って欲しい。というか、バル◯って誰かの目を潰そうとしてますよね?

「え?月見、どうしたの?◯ルスの意味?知っ・・・てるわよ!ええ、知ってるわよ!体に良くて、美容効果をもたらす程の万能な草でしょ!」

それバル◯じゃなくて、バジルじゃね?何と勘違いしてらっしゃる?月見さん修正してやって下さい

「え?合ってるの?ほ、ほらね。私は、部長だからね!当然よ!」

おいコラ、月見さん?何さらっと嘘付いてるの?三人の中で一番常識人なんだからちゃんと言わないと!

「え?何よ柑菜?『クリ◯ンの事かぁああ!』は、知ってるのか?当然よ!」

本当かよ

「フリ◯ザーに、ク◯リンが木っ端微塵にされて、それに怒った悟◯のセリフでしょ?」

何でそっちは、知ってるの!?バジルよりそのネタの方がマニアックな気がしますが!?

「名言ならざる迷言って呼ばれてるわよね」

ドラゴ◯ボールファンに怒られるので、そう言うのやめて貰っていいですかね?

「あ!細田先生!え?何?・・・・・要件を早く言え?もう言ったつもりですが」

だとしたら超無駄な時間を使いました!待っている時間を返せ!

「あっ!はい・・・はい・・・。すいません。ほら皆んなで謝るわよ」

いや、一人で良いですよ。

『すいやせんでした』

真面目に謝れ!反省してないだろ!三人して何してるの!

「菊川も一緒に謝ってくれたかな?」

僕を巻き込むな!関係ない!

「じゃあ真面目に放送します!」

そうして下さい

「まず先に、菊川。ごめんなさい」

え!?僕ですか?



「いつも私の不手際で迷惑をかけていると思うの。その所為で嫌気が指して昨日と今日、部活に来なかったんじゃないかって・・・」

・・・

「私は、アンタがこの部に来てくれて、その、えーと、感謝してるんだ。私だけじゃない。それは、此処にいる月見も柑菜も同じ。アンタのお陰でこの部があると言っても過言じゃないわ!」

・・・言い過ぎでは?

「菊川だけじゃなく、勿論、月見と柑菜にも感謝してる。こんな変人扱いされてる私に、とことん付き合ってくれるんだから!だからこんな楽しい部を捨てたくないし、ちゃんと四人で活動したいなって思ってる。だから・・・、だから・・・、その・・・」

・・・

「菊川。帰って来て」

・・・はぁ。別に逃げた訳ではないんだけど。
でも、了解です!必要とされているならすぐに戻ります!

「・・・え?何々?げっ!?全校舎放送になってる!?ってことは、今の放送・・・・・」

・・・ははは・・・

「恥ずいわ!い、以上!良いわね菊川!明日部室で待ってるから!絶対に来なさいよ!」ガチャ!

何て忙しい放送だよ

「青春だねぇ」
山田先生が、屋上扉を開けて僕が出るのを待っていた。
「そんなんじゃないですよ。あれは、本社から帰社しろって言われているようなものです」
「そもそも支社が存在しないからその例えは、間違っているような?」
「良いんですよ。細かい事気にしなくても!」
山田先生と屋上に続く階段を降りる。丁度階段を降り切った時、ある疑問が浮かんだ。
僕は、息抜きの為屋上でくつろいでいたのだが、じゃあ山田先生は?何で屋上に居たんだろうか?
廊下のT時路に差し掛かった時、気になってしまい再度聞くことにした。

「山田先生は、何で屋上に居たんですか?」

すると一瞬黙り込んだ。ん?聞いちゃまずかったかな?
急に「はぁ・・・」と、小さい溜息を吐き、話始めた。
「あの放送聞いたら察すると思っていたんだがな」
「え?」
「お前はあれか?今時の鈍感主人公か?」
「その例えは、よく分かりませんが・・・、えっとつまり?」
「ラジオ部メンバーにお前を連れ戻せって頼まれたんだよ」
「!」
「最初に頼んで来たのは、桜だったな。結構慌ててたぞ。『菊川が帰って来ない!』ってな」
「そうだったんですか」
「その次に月見、柑菜の順で頼みに来たんだ。探して欲しいってな。あれだけ言われれば私も動かざる得ない」
そっか。皆んなに迷惑かけてたんだな。
「後で、誤っとけよ」
「はい。詫びに何かお菓子でも贈りましょうかね」
「私は、プリンがいい」
「先生には、贈りません。散々僕をからかって遊んだんですから」
「ちっ!やっぱダメか」
・・・この人、教師だよね?生徒に菓子要求するってなんだよ。距離が近すぎるのも問題かもしれない。明日から少し距離を取ろうかな?話を切り上げようとした時、学校のスピーカーから部長の声が再び校舎全体に響いた。


                                   ********
「一つ言うの忘れてたわ!山田先生、菊川見つけて言う事言ったら、ちゃんと職務会議参加して下さいね?ん?どうしたのよ二人共?・・・・・・え?これ言っちゃいけないヤツだったの?まぁ幾ら山田先生でも仕事を放棄する程、非常識な人じゃないでしょ?・・・ちょっと?月見、柑菜?何で私から目を逸らさすのよ?えっ、まさか!?ちょっと菊川、聞こえてる!?」

はい、バリバリ聞こえてますよ

「もし近くに山田先生が居たら参加するように言って!私達も探し回るから!以上!」ガチャ!

部長は、乱暴にスピーカーをOFFにした。えっと、つまり山田先生が屋上に居たのは、会議が嫌だったから?え?そんな、まさかねぇ。
「山田先生?今部長が言っていた事ってー、」
横を見ると、既に山田先生の姿はなくなっていた。背後から足音が聞こえてたので、振り返ると、いつの間にか遠くまで移動している山田先生を発見。そして、僕を見るなり、

「すまん!」

両手を胸の前で、合わせて謝罪。
「!?」
その一言を言った途端、全力疾走で走って逃げて行った。
数刻過ぎ、我に返った僕は、山田先生が走り去って言った方向を見て一言。

「ただのサボりだったんかいぃいいい!」

この日、明日合流する予定だったラジオ部メンバーは、今日合流し、山田先生と校内鬼ごっこをする羽目になった。鬼四体+子が一体と言う理不尽極まりない遊びを。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

処理中です...