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二話:食すラジオ部
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学校の昼放課。それは、学生が自由に過ごせる時間。何者にも縛られない平穏な瞬間だ。
人によって昼放課の使い方は様々。午前中の授業の復習する者。別教室に赴いて、気の合う友人と駄弁る者たち。中には仮眠を取っている人もいる。色んな人の昼放課の使い方を見て取れる。選択肢が多いのが昼放課の良いところではないだろうか。
今回、語り部をしている僕。菊川 光も、そんな昼放課を過ごそうとしていた。
「よぉおおし! 皆んな集まったわね!」
ラジオ部メンバーが集まった、この部室で・・・。
「弁当を食べるわよ。ではいただきます、と」
ラジオ部の部長。桜 愛が両手を合わせ、日本人には馴染み深いフレーズを口にした。それに合わせ、ほかのメンバーも両手を合わせ『いただきます』と口にし、弁当を食べ始めた。
ラジオ部には、変な規則がある。その一つにこんな物が。
【昼放課はメンバーと共に過ごすこと】
ラジオ部が結成された時から存在するルールだそう。誰が作ったんだ? こんなルール。
今まで欠かす事なく実施され、僕たちの代まで続いているから文句は言えないけど。
「(放課後に全員(木崎先輩以外)が集まるわけだし、わざわざ昼放課を使ってまで部室に集まる必要性があるかな?)」
と、一片の疑問を感じながら、僕はカバンからスマホとカロリ◯メイトを取り出す。
箱を開け、一本目を半分くらい食べ掛けた時だった。
「菊川ってさぁ。いっつもそれだけどお腹空かない? 足りる?」
僕が持つ食べ掛けのカ◯リーメイトを、部長が指差して語り掛けてきた。
「え? あぁ・・・。昼はあまりお腹空かないんですよ。だからこれで充分なんですよねぇ」
「そうかもしれないけど、体、保たなさそう」
「でも、今日までこれで一日過ごせてますし、問題はないかと」
部長の質問に答えると、月見さんが「菊くん。でもね」と言って話に加わる。
「そればかり食べている姿を見ている私たちは、ちょっと心配になってくるの」
「大丈夫ですよ。体に異常はないので」
「今は良いけど、時期にって事もあるじゃない。栄養の偏りで具合が悪くなるとか」
「う、うーん・・・。そう・・ですね」
月見さんの訴えに、僕は微妙な反応で返事をした。すると、柑菜ちゃんまでこの話に加わってきた。
「何かあるんすか? カロ◯ーメイトで済ましてしまう理由が」
「まぁ・・ね」
「まさかお金がない、とか?」
「いやいや。そういう訳じゃないよ。まったく別問題」
「別問題?」
「うん。隠す必要ないし正直に言うと。原因は母親にあるんだよね」
「母親っすか?」
「家族の誰よりも早起きして、朝食を張り切って作るんだ」
「良い母じゃないっすか。なんの問題があるんすか?」
「いや、あるんだよこれが。『これでもか!?』って言うくらい、作り過ぎるんだ。その分を家族全員揃ってから食べるんだけどさ。その時の母さん。ニコニコした顔をして楽しそうにこっちを見てくるんだよ。その表情見たら、どうも残せなくて・・・」
「無理して食ってるんすね・・・」
柑菜ちゃんが僕の性格を知っているからか、すぐに察して苦笑した。会話を聞いていた月見さんは、「なんて不器用な子なの、菊くん」と小声で僕を評価していた。
いや、残せないでしょ。折角、作って貰ったんだから・・・。
最後には柑菜ちゃんが「菊川先輩ですもんね。ならしょうがないっす」と言って会話が終わり、再び各自が弁当に箸を進めた。しかし、ここで部長がポツリと呟く。
「それなら自分で作ればいいじゃん・・・」
まぁ、確かにそうなんですけどね。ただ、朝が苦手で早起き出来ないんです僕。
そして、この数分の会話が引き金になり、あんな事態になるとは、この時の僕は想像出来なかった。
※
翌日の昼放課。
「な、なんだと・・・」
昼休み早々、驚きを隠せないでいた。僕は今、非常に動揺している。僕の目の前に置かれた青いプラスチックケース。これだ。これが原因だ。これが原因で変な汗が額から流れ出る。僕はこのケースの持ち主に問い掛けた。
「部長。今なんて言いました?」
「弁当だって言ってるじゃん」
「誰の?」
「だから菊川の」
「!!?」
改めて自分から聞いておきながら驚いてしまった。部長と目の前の弁当箱を交互に2、3度繰り返し見る。そう。中身は弁当。しかも、僕のだと部長が言う。言っておくが、この弁当は僕が持ってきた物ではない。今日、部室に入ったら「はい。これ」と言って、部長が弁当を渡してきたのだ。
「うん?どうしたのよ、世界の破滅を見たような顔して」
「それってどんな顔!? 別に絶望なんてしてませんよ? ではなくてですね。この弁当って」
「あー、それなら大丈夫! 私の分もちゃんと作ってきたからさ」
「そういう心配でもなくて!」
「! もしかして、・・・迷惑・・だった?」
「いやいやいやいや、違う違う。嬉しいですよ。嬉しいですけども・・・、ああもう!」
「?、??」
僕が頭を抱えているのに対して、部長は不思議そうな表情で首を傾げている。どうやら自分がした事の意味がよく分かっていない様子。
なんでこうも察しが悪いんだ? この人。
僕が困っている最中、月見さんが額に手をやり、「はぁ・・・」と嘆息していた。柑菜ちゃんは、「桜先輩、気付いてないんすね」と苦笑。部員に呆れた反応をされても部長のクエッションマークは消えない。それどころか増えていく一方だ。
僕に続き、今度は月見さんが、部長に話し掛けた。
「あのね桜。なんで菊くんが悩んでいるか分かる?」
「全然分かんない」
「でしょうね。その表情からすると」
「逆に聞くけど月見は分かるの? 菊川の動揺の理由が」
「分かるわ。桜が鈍感・・・。いえ、バカなだけよ」
「なんで悪口へ言い直した!? 鈍感でいいじゃん!」
「本当は『大バカ者』と言いたいところだけど、バカで済ましたの。感謝しなさい」
「全然感謝のポイントが分からないよ!」
「分からないの?・・・これだから最近の若者は」
「月見と私、同年齢だよね!? それを言ったら月見も含まれる気がするんですけど!」
「はぁ・・・。オーバーリアクションな上、うるさいわ」
「なんですとぉおお!?」
「・・・話を戻すわ」
月見さんは、部長の怒りをそっちのけで、コホンと咳払いを一つすると、話を無理やり戻す。
「普通に考えれば分かることじゃない。桜、あなたは弁当を菊くんに渡したわよね」
「・・・うん。渡したよ。それが何か問題ある?」
「どうして渡したの?」
「え?どうしてって、言われても・・・。部長として部員の健康を守るために決まってるじゃん」
「けど、桜がそのつもりでも、事情を知らない人から見たらどう見えると思う?」
「?」
ここまで言われても、部長は気付けない。首を傾げていた。
鈍感な人だから、しょうがないとは言え。流石にもう察してもいいのでは?聞いてる僕が恥ずかしい。
「今の状況をよく見て考えなさい。女の子が男の子に無条件で弁当を渡したのよ。男子はどう思うか? ということよ」
「男子・・・?男子ぃ・・・」
部長はそう言いつつ、僕の顔をじっと見つめてきた。それから数刻後、段々と部長の顔が赤く染まっていった。どうやらやっと気付いたようだ。すると、月見さんが「そう言うことよ」と言い、話を続ける。
「桜。軽率な考えで行動してはダメよ。好意を抱いていると勘違いさせてしまうから。まぁ、菊くんだったら思い違いすることは、まずないと思うけど」
「ち、違うわ菊川! 私そんなつもりで弁当を作ってきたんじゃないから! わ、私は! そ、その・・・。う、うぅ・・・」
部長が誤解を解くのに必死な顔になっていた。顔が耳までトマトのように赤くなっている。
こんな部長。初めて見た・・・。とりあえず、部長を落ち着かせる為、助言する。
「大丈夫です。言われなくても分かってます。あれですよね?カロリー◯イトばかり食べている僕を案じての行動・・・なんですよね?」
「う、うん! そだよ! 私、菊川のこと、なんとも思ってないもん!」
さらりと酷いこと言わないでくれます? 僕でも傷付くんですからね?
僕は心の中で訴えた。折れかけた心を修正するかのように無理に笑って答える。
「ははっ! で、ですよね! 分かってますとも! 部長が僕に好意を抱くなんて、天変地異が起きない限り、絶対にありえないって事くらい分かってますから」
(よし! 完璧だ。この言い返しなら部長の動揺も晴れる! いつも通りの部長に戻っている筈だ)
僕は、部長の様子を確認した。すると、
「・・・うん。そだねぇ・・・」
さっきまでの動揺が嘘のようで、焦った表情は消え去っていた。そこまでは良かった。・・・ただ、何故だろう。今度は、僕を見る部長の視線が寒々しい。背筋が凍りそうだ。
そんな死線は、他の方向からも感じていた。
「菊川先輩。あんな言い方するなんて信じられません」
「残念ながら、桜も桜だけど菊くんも菊くんって事ね」
死線の犯人は、柑菜ちゃんと月見さん。呆れと軽蔑を含んだ視線が、更に僕の寒気を一層強めていった。よく分からないが、僕の発言がまずかったらしい。悪寒と冷や汗が止まない。
なんだこれは! このままでは、三人の覇気でやられかねないぞ!
この雰囲気に耐えられなくなった僕は、「で、では! 早速頂きますね!」と言って、逃げるように弁当の箱を開けたのだった。
※
「こ、これはサンドウィッチ?」
「う、うん」
僕の問い掛けに、部長が緊張気味に頷く。
サンドウィッチが弁当箱に横並びで三つ入っていた。先に卵焼きをフィリングとして用いたポピュラーなサンドウィッチ。次にハムとレタスとトマトをパンで挟んだサンドウィッチ。僕は順にそれを食べていく。うん。思ったより不味くない。というか、普通にうまい。
そして、弁当箱には残り一つとなった時、ここで僕は手を止める。
「すぅ~。はぁあああ」
深く深ぁ~く深呼吸した。何故なら、その最後の一つが難問なのだ。とりあえず手に取り、それをジッと観察する。・・・黒い。真っ先に出る感想は、これだ。パンから挟んでいる具まで真っ黒なのだ。なんだこの物体は?
僕は不安になり、部長に語り掛ける。
「部長。これは何ですか?」
「えぇっと。サンド・・ウィッチ?」
部長は僕の質問に目を逸らして冷や汗を流しながら答えた。
おいコラ。こっちを向け! その疑問形の答え方はなんなの? 怪しい! 怪し過ぎるぞ!
部長は『聞くな!』と言わんばかりの態度だが、僕は追求をやめない。
「改めて聞きます。これはサンドウィッチ、なんですよね?」
「うん。そだよー」
部長は顔をこっちを向いて適当に答えるも、視線だけ逸らしている。明らかに何かを隠しているように見える。僕は、更に追求してみることにした。
「ならどうして全体的に真っ黒なんですかね? 僕にはダークマターにしか見えなくて」
「ダークマター・・・。良い表現ね。でも大丈夫よ。安心して。食べても死にはしないから」
「基準おかしくね? 生死が関わっている時点でもう・・・嫌な予感しかしない」
「まぁまぁ。細かいことは気にしないで食べて食べて」
「は、はぁ?」
部長に急かされ、疑問を持ちながらも恐る恐る口に運ぶ。工程が謎でしかないサンドウィッチと僕の口が、拳一個分の距離まで近付けた時だ。部長が何か思い出したのか。「あ、そうだ!」と言い、唐突に口を開いた。
「まったく同じものを食べた私の兄が気絶したけど、菊川なら大丈夫よね?」
それを言われた瞬間、僕の行動は早かった。さっさっと、危険物を弁当箱に仕舞う。そして、視線に触れたくもないので弁当箱の蓋を強めに閉めた。ここまでの一連の行為が数秒足らずで済ませた。あまりにも早い手付きに、部長や柑菜ちゃん、月見さんが同時に『反応早ッ!?』と目を丸くし驚いていた。
そんな三人の反応を気にするより、ボクは部長に怒りを露わにする。
「おいコラ・・・。なんて物を食べさせようとしてるんですか? おぉ?」
「ああ!? 怒ってる! いつも温厚な、あの菊川が怒ってるよ!」
「当たり前だ! むしろこれで怒らない方が無理な話ですよ!」
「で、でも! 菊川なら心配はいらないわ」
「何を持って安全だと判断したし!?」
「菊川って、ほらぁ! 弱々しい見た目に反して丈夫じゃん? だから、菊川が食べたら兄と違ってどんな反応するかな? って」
「このろくでなし部長! 恐ろしい実験コーナー始めようとしてやがった!」
部長は、「くっ! なんでそんな我がままなのよ菊川」と、苦い顔をして文句を言った。・・・いや、誰だってこんな怪しい物が目に入ったら、追求したくなるのが普通でしょうよ。てか、弱々しいとか軽くディスられたよ! まぁ事実ですけどね! 弱いですけどね僕は!
こんなくだらいやり取りを見ていた月見さんが軽く嘆息した後、「桜。ちょっと良い?」と部長を呼んだ。
「まずはその危険物について説明を求めるわ」
「危険物って何よぉ・・・。サンドウィッチって呼びなさいよ」
「それを食べたお兄さんが倒れたのでしょ? なら、危険物と対して変わらないわ。とりあえず、これの正体を教えて」
部長の不満を月見さんが軽く否していた。
あの黒い物体を『サンドウィッチ』と呼ぶ気はないらしい。まぁ、僕も呼ぶ気ないが・・・。部長は納得してなさそうな表情しながら、正体と危険物の作り方を説明する。
「まず先に言っておくけどハンバーグを使ったサンドウィッチね、それ」
『ハンバーグなの(ですか/すか)!?』
正体を聞いて、部員全員が驚きで声を上げる。
だが、部長はその反応を特に気にもせず、話を続ける。
「ハンバーグを焼いたんだけど焦がして真っ黒になっちゃってさ。一応、パンで挟んでみたけど、これまた見栄えが悪くて悪くて・・・。でね? 見栄えをよくする為、何かないか冷蔵庫の中を漁ってたら、ドクロマークの付いたケースを見つけて、中身を見てみたの」
ここまでの説明を聞いた時、柑菜ちゃんが小さな声で僕に「嫌な予感がするっす」と呟いた。
・・・うん。僕も同じ意見だよ。
月見さんは、僕や柑菜ちゃんが思った事を代表して質問した。
「中身はなんだったの?」
「真っ黒だったよ。真っ黒な液体」
「まさかだと思うけど・・・、パンに使っ・・た?」
「うん、浸した後に焼いた! ハンバーグが真っ黒ならパンも真っ黒にすれば解決! これぞ逆転の一手!」
『うわぁ・・・』
部長が笑顔になっているのを皆んなでシラーッと見つめて、自然と気力の抜けた声を上げる。
部長以外、『こいつマジかよ』と思っていただろう。そして、今度は柑菜ちゃんが「ところで」と話を切り出した。
「怪しいと思いませんでしたか?」
「ん? 何が?」
「ドクロマークが描かれている時点で何か感じませんでしたか? って聞いているんす」
「だって、ドクロマークって不可能を可能にするもんじゃないの?」
「そんなDr.ヒル◯クみたいなこと言われましても、こっちが困るっす。なんだが、柑菜たちは今、チョ◯パーを叱咤していた時のDr.く◯はと同じ気分っす。こんな気持ちだったんですね」
「え?」
ここまで言われても部長は首を傾げていた。鈍感すぎないだろうか?
まぁ、性格上の問題だからしょうがないとは言え、流石に心配になってくる。
※
ラジオ部の部長。桜 愛。
好奇心旺盛で、何でも興味を持つ。
興味を持った物には何でも勘でも手を出す習性を持つ。
そして、問題を起こしてしまうのが毎度のこと。
今回は弁当に対して悪影響を起こしてしまった訳だ。
簡単に説明すると・・・。
【目の前に地球破壊爆弾の起動ボタンがあれば、興味本位で躊躇なく押す女】
それが、桜 愛という存在だ。
※
「それが桜先輩・・・ですよねぇ・・・」
「そうね」「だね」
「うん? 私が何か?」
柑菜ちゃんの一言に月見さんと僕が頷いた。相変わらず部長の反応はいつも通り。・・・はぁ。
普通だったら怒るべきなんだろうが、作った本人は別に悪気があった訳ではない。だから、怒ろうにも怒れない。さて、どうしたものか。
僕たちは部長を呆れた顔で見ていた。すると、部長は何か気付いたのか、「あれ?」と言って表情が曇る。
「もしかして、私・・・またやっちゃった?」
「えっとまぁ・・・そう・・なりますね」
僕が部長の質問に答えると、部長の顔が一瞬にして青ざめる。
「あ、あはは。ご、ごめんね。いつも気を付けているつもりなんだけど・・・。そっ、そっか。それで皆んな微妙な反応・・だったんだ」
「・・・」
部長はぎこちない笑顔で謝罪した。何故だろう。悪いのは100%部長だ。なのに、部長の悲しい表情を見た僕は、胸の底に沈んだ漠然たる苦痛を感じた。
「本当にごめん。余計なお世話だったわね」
部長がそういうと危険物だけが残った弁当箱に手を差し伸べる。その手がゆっくりと弁当箱近く。僕の視線は部長の手を自然と追っていた。その分、僕の鼓動が早くなる。
ーこのまま渡して良いのか?ー
僕の頭の中に、そんな疑問が浮かぶ。そして、部長の小さな声が僕の耳に届く。
「あぁあ・・・。私、迷惑かけてばっかりだなぁ・・・」
「・・・!」
それを聞いた瞬間。僕の体にスイッチが入る。
「ちょっ、菊川!?」「菊川先輩!?」「菊くん!?」
部長たちの仰天したような声が聞こえる。部長が弁当箱を取る前に、僕が弁当箱を先に取っていたからだ。
「頂きます! オラァアアア!!」
中身を取り出し、ただただがむしゃらに食べる。
「大丈夫なの菊川!?」
部長の心配そうな声が聞こえる。もちろん大丈夫な訳がない。
舌が痺れるように痛いし、視界が揺れる。明らかに体が拒否反応している。
『すぐに吐き出せ』と体が訴えてくる。確かに、その方が良いに決まっている。
けど、僕は吐きたくない。吐き出したくないのだ。
此処で出してしまうと、後々後悔するような気がしたから。
体だけで判断するな! せめて胃袋まで持って行け! それから判断しても良いだろう!
僕は体にそう強く思うのだった。
※
一体どれ程の時間が経ったのだろう。ひたすらに必死で食べていたから時間の経過など考えていなかった。気付いた時には、机の上には空っぽになった弁当箱だけが残っていた。
「はぁ・・はぁ・・・」
息苦しい。食べ物で苦しいなんて初めての経験だ。なんだこれ?
「だ、大丈夫? 菊川?」
部長が焦った表情で僕に語りかけてくる。
「・・っかた・・です・・」
「え?」
「美味しいかったです! ごちそうさまでした!」
ここまで来ると、もう勢いだ。スカスカになった気力で僕は食事の終わりを告げる。
そうは言っても部長は、まだ動揺気味だ。
「本当に? 美味しいって言う割には顔色悪いわよ菊川」
「気にしないでください! 化粧ですからこれ!」
「どんな化粧よそれ!?」
誤魔化すには無理があったが、いま余裕がないのだ。だからしょうがないのだ。僕は、部長に親指を立てグットサインを向け、一言。
「ありがとう部長!」
「・・・うん!」
部長がいつもの調子に戻り、元気な返事が返って来た。
とりあえず一安心だ。僕はクラクラする頭を必死に耐えて、部長に語りかける。
「部長。頼みがあります。校舎の裏手にある自動販売機でお茶を買ってきてくれませんか?」
「え? 買っくるのは別に構わないけど、いつも水筒にお茶を入れて持って来てるじゃない」
「今日忘れたんですよ。だからお願いします。これは部長にしか頼めない事なんです」
「部長にしか頼めない! 任せなさい!」
「そう言ってくれると思いました。では、どうぞ宜しくお願いします」
部長に200円を渡すと、部長は「行ってくるわ!」と言って部室を飛び出して行った。
※
お腹が痛い。恐らく胃袋が異物と戦っているのだろう。頑張れ胃袋。踏ん張れ胃袋。僕は机に伏せながら胃袋に頭の中で応援していた。
そんな光景を見ながら月見さんがクスクスと笑う。僕は顔を上げ、月見さんを見る。月見さんの両目の端には小粒の涙が溜まっていた。
「校舎の裏手の自動販売機でお茶を買ってきて下さい、ね。ふふっ」
「何かおかしいですかね? 至って普通のことだと思いますが?」
「おかしいわよ。だって菊くんがリクエストした自動販売機って、此処から一番遠い自動販売機だもの」
「ぐ、偶然ですよ。そこしか知らないかったんー、」
「時間稼ぎ? お腹の調子を整えるための」
「うぐっ・・・!」
月見さんにはお見通しのようだ。そうです。時間稼ぎです。あの馬鹿正直な部長には悪いが、こうするしか思い浮かばなかったのだ。図星を突かれた僕は、額から別の意味で冷や汗が流れる。会話を聞いていた柑菜ちゃんは、「時間稼ぎ?」とよく分かっていないようだ。月見さんが柑菜ちゃんに説明する。
「菊くんは桜に心配を掛けまいと、わざと一番遠い自動販売機を指定したのよ」
「な、何ですか?」
「それは決まっているわ。菊くんのお腹が危険物の所為で、危機的状況になっているからよ。桜がこの場にいない今の内に落ち着けようとしているのよね、菊くん?」
「・・・は、はい」
「まさか。無理して食べたんすか? 何でまた・・・」
柑菜ちゃんが戸惑って僕に尋ねる。僕は、お腹を摩りながら体を起こす。さっきまでの状況を思い出しながら答える。
「うーん。なんだろう。・・・部長の悲しそうな顔を見たら自然と体が動いたんだよ。自分でもびっくりしてる。頭の中で『何してんだ僕は!?』って思ってたくらいだし。食べたら大変なことになるって事も分かってた」
「分かってた上で食べたんすか・・・」
「うん。まぁ、ね」
「アホなんすか」
「自覚はしてるよ」
「危険な想いまでして、どうしてそこまで・・・」
「たぶん昔の経験が原因かも」
「昔・・・?」
「母さんの朝飯の話、覚えてる?」
「覚えてるっす。大量に作ってる話っすよね」
「うん。実は一度だけ一口も食べずに学校に登校した時があってさ。その時の母さんの悲しそうな顔が印象的で・・・。部長の悲しい表情が、その時の母さんと重なって見えたんだよね。だからかな。残してはいけないって思ったんだ」
まぁ、一口も食べずに登校した原因は寝坊なんだけどね。
柑菜ちゃんは、「まったく」と言うと深く嘆息する。完全に呆れていた。
「これだからマザコンは」
「断じて違う!」
「でも、ま。菊川先輩ならそうなるか」
表情は呆れているのだが・・・。気のせいだろうか? 少し声のトーンが嬉しそうに聞こえたのは?
すると、今度は月見さんが「ところで」と話を切り出す。
「菊くんの好きな食べ物を聞いても良い?」
「いきなりどうしたんですか?」
「特に深い意味はないわ。で? どうなの?」
「ど、どうっていきなり言われましても。そうですね・・・。 甘い物とか、かな? 饅頭とか」
「饅頭、なるほどね」
「甘い物っすか」
「ん? 月見さん? 柑菜ちゃん?」
一体どうしたのだろうか? 僕が答えると、月見さんはメモを取り出し書き留める。柑菜ちゃんに至っては、「甘い物・・・。ならば、あれを渡す? ならば、あっちの店の方が・・・」などと独り言をブツブツと喋り出す。それも結構、真剣な表情で。
「?」
まぁ僕には関係なさそうなので、そっとして置くことにする。疲労感ヤバいからね、今日の僕。それに喋るのもしんどいし、体力的に結構ギリギリなのだ。今の僕なら指で突かれただけで倒れる自信がある。
※
【その後】
しばらくすると、廊下から元気な足音がやってくる。車のエンジン音を聴いただけで家族の誰かが帰って来たのか、分かるのと同じ要領で部長が戻って来たのが分かった。
「帰って来たわね。お腹の調子は大丈夫、菊くん?」
月見さんが僕の体調を心配してくれた。その問いに僕がぎこちない笑顔で正直に答えた。
「万全ではないです。8割程度ならなんとか」
柑菜が僕の肩に手を置き、「菊川先輩」と呼ぶ。
「今日は月見先輩と柑菜にお任せください! 全力でサポートするんで!」
「うん。ありがとう」
感謝を述べると、その後すぐに部室の一つしかない扉が元気よく開かれた。
「お待たせ! お茶買って来たわよ! あ、一応全員分買って来たんだけど。柑菜、月見。いる?」
部長が人数分のペットボトルのお茶を両手で抱えて持っていた。
『・・・』
その部長を僕たちは無言で凝視した。そんな反応を示せば勿論、部長はー、
「あ、あれ? なんで皆んなして黙ってるの?」
不安な表情を見せる訳で。
けれでも、これ以上部長に不安を抱かせないために、僕たちは、お互い頷き決意を確認し合う。
バッと僕たちは部長を見ると、同時に声を張り上げる。
『部長(桜\桜先輩)!』
「は、はい! な、なんでしょう!」
『お手柔らかにお願い(します\するっす)!』
「え!? 私、スパルタじゃないし酷い事しないわよ? いきなりどうしたの?」
『気にしないでください! 課長!』
「課長!? いきなりランクが上がった!」
「今までこの部が残っているのは、間違いなく部長ー、いや! 課長のお陰ですとも。はい!」
「桜! 例え能無しでも私たちは一生着いて行くわ!」
「尊敬してる風に言ってるけど煽ってるよねそれ!? そして、生涯一緒にいられでも私が困る!」
「馬鹿でも間抜けでも桜先輩は、ダメ課長として良い意味で柑菜たちの見本になってるっす! ありがとうございます!」
「よぉおおし、全員表に出ろ! 私に喧嘩を売ったことを後悔させてやる!」
「部長、言わせて貰いますが、構図的に3VS1です。袋叩きにされるのがオチです」
「冷静な分析しなくてもいいわよ! 何を本気でやろうとしてんの!? やんないから! ていうか、さっきから皆んなおかしいよ! 私が居なかったこの数分の間に何があったのよ、元に戻ってよ!」
『イエッサー!』
「戻せって言ってんでしょおがぁああああ!」
いつもの調子に戻りはしたが、部長の怒りボルテージがマックスに達した。その瞬間。
♪ キーンコーンカーンコーン ♪
ラジオ部の濃い昼放課がチャイムと共に終わりを告げた。
『あ・・・』
チャイムのお陰か。おかしなテンションになった僕たちが急に我に返った。そして、同時に全員が思う。
『(あれ?次の授業、完全に遅刻じゃね?)』と。※遅刻しました。
その後、山田先生から呼び出しをくらい「ふざけるのは別に構わんが、時間は守れ」と学校内で、一番不真面目な人から説教されてしまう始末。メンバーに歯止め役の人材が欲しいと強く思う一日だった。
人によって昼放課の使い方は様々。午前中の授業の復習する者。別教室に赴いて、気の合う友人と駄弁る者たち。中には仮眠を取っている人もいる。色んな人の昼放課の使い方を見て取れる。選択肢が多いのが昼放課の良いところではないだろうか。
今回、語り部をしている僕。菊川 光も、そんな昼放課を過ごそうとしていた。
「よぉおおし! 皆んな集まったわね!」
ラジオ部メンバーが集まった、この部室で・・・。
「弁当を食べるわよ。ではいただきます、と」
ラジオ部の部長。桜 愛が両手を合わせ、日本人には馴染み深いフレーズを口にした。それに合わせ、ほかのメンバーも両手を合わせ『いただきます』と口にし、弁当を食べ始めた。
ラジオ部には、変な規則がある。その一つにこんな物が。
【昼放課はメンバーと共に過ごすこと】
ラジオ部が結成された時から存在するルールだそう。誰が作ったんだ? こんなルール。
今まで欠かす事なく実施され、僕たちの代まで続いているから文句は言えないけど。
「(放課後に全員(木崎先輩以外)が集まるわけだし、わざわざ昼放課を使ってまで部室に集まる必要性があるかな?)」
と、一片の疑問を感じながら、僕はカバンからスマホとカロリ◯メイトを取り出す。
箱を開け、一本目を半分くらい食べ掛けた時だった。
「菊川ってさぁ。いっつもそれだけどお腹空かない? 足りる?」
僕が持つ食べ掛けのカ◯リーメイトを、部長が指差して語り掛けてきた。
「え? あぁ・・・。昼はあまりお腹空かないんですよ。だからこれで充分なんですよねぇ」
「そうかもしれないけど、体、保たなさそう」
「でも、今日までこれで一日過ごせてますし、問題はないかと」
部長の質問に答えると、月見さんが「菊くん。でもね」と言って話に加わる。
「そればかり食べている姿を見ている私たちは、ちょっと心配になってくるの」
「大丈夫ですよ。体に異常はないので」
「今は良いけど、時期にって事もあるじゃない。栄養の偏りで具合が悪くなるとか」
「う、うーん・・・。そう・・ですね」
月見さんの訴えに、僕は微妙な反応で返事をした。すると、柑菜ちゃんまでこの話に加わってきた。
「何かあるんすか? カロ◯ーメイトで済ましてしまう理由が」
「まぁ・・ね」
「まさかお金がない、とか?」
「いやいや。そういう訳じゃないよ。まったく別問題」
「別問題?」
「うん。隠す必要ないし正直に言うと。原因は母親にあるんだよね」
「母親っすか?」
「家族の誰よりも早起きして、朝食を張り切って作るんだ」
「良い母じゃないっすか。なんの問題があるんすか?」
「いや、あるんだよこれが。『これでもか!?』って言うくらい、作り過ぎるんだ。その分を家族全員揃ってから食べるんだけどさ。その時の母さん。ニコニコした顔をして楽しそうにこっちを見てくるんだよ。その表情見たら、どうも残せなくて・・・」
「無理して食ってるんすね・・・」
柑菜ちゃんが僕の性格を知っているからか、すぐに察して苦笑した。会話を聞いていた月見さんは、「なんて不器用な子なの、菊くん」と小声で僕を評価していた。
いや、残せないでしょ。折角、作って貰ったんだから・・・。
最後には柑菜ちゃんが「菊川先輩ですもんね。ならしょうがないっす」と言って会話が終わり、再び各自が弁当に箸を進めた。しかし、ここで部長がポツリと呟く。
「それなら自分で作ればいいじゃん・・・」
まぁ、確かにそうなんですけどね。ただ、朝が苦手で早起き出来ないんです僕。
そして、この数分の会話が引き金になり、あんな事態になるとは、この時の僕は想像出来なかった。
※
翌日の昼放課。
「な、なんだと・・・」
昼休み早々、驚きを隠せないでいた。僕は今、非常に動揺している。僕の目の前に置かれた青いプラスチックケース。これだ。これが原因だ。これが原因で変な汗が額から流れ出る。僕はこのケースの持ち主に問い掛けた。
「部長。今なんて言いました?」
「弁当だって言ってるじゃん」
「誰の?」
「だから菊川の」
「!!?」
改めて自分から聞いておきながら驚いてしまった。部長と目の前の弁当箱を交互に2、3度繰り返し見る。そう。中身は弁当。しかも、僕のだと部長が言う。言っておくが、この弁当は僕が持ってきた物ではない。今日、部室に入ったら「はい。これ」と言って、部長が弁当を渡してきたのだ。
「うん?どうしたのよ、世界の破滅を見たような顔して」
「それってどんな顔!? 別に絶望なんてしてませんよ? ではなくてですね。この弁当って」
「あー、それなら大丈夫! 私の分もちゃんと作ってきたからさ」
「そういう心配でもなくて!」
「! もしかして、・・・迷惑・・だった?」
「いやいやいやいや、違う違う。嬉しいですよ。嬉しいですけども・・・、ああもう!」
「?、??」
僕が頭を抱えているのに対して、部長は不思議そうな表情で首を傾げている。どうやら自分がした事の意味がよく分かっていない様子。
なんでこうも察しが悪いんだ? この人。
僕が困っている最中、月見さんが額に手をやり、「はぁ・・・」と嘆息していた。柑菜ちゃんは、「桜先輩、気付いてないんすね」と苦笑。部員に呆れた反応をされても部長のクエッションマークは消えない。それどころか増えていく一方だ。
僕に続き、今度は月見さんが、部長に話し掛けた。
「あのね桜。なんで菊くんが悩んでいるか分かる?」
「全然分かんない」
「でしょうね。その表情からすると」
「逆に聞くけど月見は分かるの? 菊川の動揺の理由が」
「分かるわ。桜が鈍感・・・。いえ、バカなだけよ」
「なんで悪口へ言い直した!? 鈍感でいいじゃん!」
「本当は『大バカ者』と言いたいところだけど、バカで済ましたの。感謝しなさい」
「全然感謝のポイントが分からないよ!」
「分からないの?・・・これだから最近の若者は」
「月見と私、同年齢だよね!? それを言ったら月見も含まれる気がするんですけど!」
「はぁ・・・。オーバーリアクションな上、うるさいわ」
「なんですとぉおお!?」
「・・・話を戻すわ」
月見さんは、部長の怒りをそっちのけで、コホンと咳払いを一つすると、話を無理やり戻す。
「普通に考えれば分かることじゃない。桜、あなたは弁当を菊くんに渡したわよね」
「・・・うん。渡したよ。それが何か問題ある?」
「どうして渡したの?」
「え?どうしてって、言われても・・・。部長として部員の健康を守るために決まってるじゃん」
「けど、桜がそのつもりでも、事情を知らない人から見たらどう見えると思う?」
「?」
ここまで言われても、部長は気付けない。首を傾げていた。
鈍感な人だから、しょうがないとは言え。流石にもう察してもいいのでは?聞いてる僕が恥ずかしい。
「今の状況をよく見て考えなさい。女の子が男の子に無条件で弁当を渡したのよ。男子はどう思うか? ということよ」
「男子・・・?男子ぃ・・・」
部長はそう言いつつ、僕の顔をじっと見つめてきた。それから数刻後、段々と部長の顔が赤く染まっていった。どうやらやっと気付いたようだ。すると、月見さんが「そう言うことよ」と言い、話を続ける。
「桜。軽率な考えで行動してはダメよ。好意を抱いていると勘違いさせてしまうから。まぁ、菊くんだったら思い違いすることは、まずないと思うけど」
「ち、違うわ菊川! 私そんなつもりで弁当を作ってきたんじゃないから! わ、私は! そ、その・・・。う、うぅ・・・」
部長が誤解を解くのに必死な顔になっていた。顔が耳までトマトのように赤くなっている。
こんな部長。初めて見た・・・。とりあえず、部長を落ち着かせる為、助言する。
「大丈夫です。言われなくても分かってます。あれですよね?カロリー◯イトばかり食べている僕を案じての行動・・・なんですよね?」
「う、うん! そだよ! 私、菊川のこと、なんとも思ってないもん!」
さらりと酷いこと言わないでくれます? 僕でも傷付くんですからね?
僕は心の中で訴えた。折れかけた心を修正するかのように無理に笑って答える。
「ははっ! で、ですよね! 分かってますとも! 部長が僕に好意を抱くなんて、天変地異が起きない限り、絶対にありえないって事くらい分かってますから」
(よし! 完璧だ。この言い返しなら部長の動揺も晴れる! いつも通りの部長に戻っている筈だ)
僕は、部長の様子を確認した。すると、
「・・・うん。そだねぇ・・・」
さっきまでの動揺が嘘のようで、焦った表情は消え去っていた。そこまでは良かった。・・・ただ、何故だろう。今度は、僕を見る部長の視線が寒々しい。背筋が凍りそうだ。
そんな死線は、他の方向からも感じていた。
「菊川先輩。あんな言い方するなんて信じられません」
「残念ながら、桜も桜だけど菊くんも菊くんって事ね」
死線の犯人は、柑菜ちゃんと月見さん。呆れと軽蔑を含んだ視線が、更に僕の寒気を一層強めていった。よく分からないが、僕の発言がまずかったらしい。悪寒と冷や汗が止まない。
なんだこれは! このままでは、三人の覇気でやられかねないぞ!
この雰囲気に耐えられなくなった僕は、「で、では! 早速頂きますね!」と言って、逃げるように弁当の箱を開けたのだった。
※
「こ、これはサンドウィッチ?」
「う、うん」
僕の問い掛けに、部長が緊張気味に頷く。
サンドウィッチが弁当箱に横並びで三つ入っていた。先に卵焼きをフィリングとして用いたポピュラーなサンドウィッチ。次にハムとレタスとトマトをパンで挟んだサンドウィッチ。僕は順にそれを食べていく。うん。思ったより不味くない。というか、普通にうまい。
そして、弁当箱には残り一つとなった時、ここで僕は手を止める。
「すぅ~。はぁあああ」
深く深ぁ~く深呼吸した。何故なら、その最後の一つが難問なのだ。とりあえず手に取り、それをジッと観察する。・・・黒い。真っ先に出る感想は、これだ。パンから挟んでいる具まで真っ黒なのだ。なんだこの物体は?
僕は不安になり、部長に語り掛ける。
「部長。これは何ですか?」
「えぇっと。サンド・・ウィッチ?」
部長は僕の質問に目を逸らして冷や汗を流しながら答えた。
おいコラ。こっちを向け! その疑問形の答え方はなんなの? 怪しい! 怪し過ぎるぞ!
部長は『聞くな!』と言わんばかりの態度だが、僕は追求をやめない。
「改めて聞きます。これはサンドウィッチ、なんですよね?」
「うん。そだよー」
部長は顔をこっちを向いて適当に答えるも、視線だけ逸らしている。明らかに何かを隠しているように見える。僕は、更に追求してみることにした。
「ならどうして全体的に真っ黒なんですかね? 僕にはダークマターにしか見えなくて」
「ダークマター・・・。良い表現ね。でも大丈夫よ。安心して。食べても死にはしないから」
「基準おかしくね? 生死が関わっている時点でもう・・・嫌な予感しかしない」
「まぁまぁ。細かいことは気にしないで食べて食べて」
「は、はぁ?」
部長に急かされ、疑問を持ちながらも恐る恐る口に運ぶ。工程が謎でしかないサンドウィッチと僕の口が、拳一個分の距離まで近付けた時だ。部長が何か思い出したのか。「あ、そうだ!」と言い、唐突に口を開いた。
「まったく同じものを食べた私の兄が気絶したけど、菊川なら大丈夫よね?」
それを言われた瞬間、僕の行動は早かった。さっさっと、危険物を弁当箱に仕舞う。そして、視線に触れたくもないので弁当箱の蓋を強めに閉めた。ここまでの一連の行為が数秒足らずで済ませた。あまりにも早い手付きに、部長や柑菜ちゃん、月見さんが同時に『反応早ッ!?』と目を丸くし驚いていた。
そんな三人の反応を気にするより、ボクは部長に怒りを露わにする。
「おいコラ・・・。なんて物を食べさせようとしてるんですか? おぉ?」
「ああ!? 怒ってる! いつも温厚な、あの菊川が怒ってるよ!」
「当たり前だ! むしろこれで怒らない方が無理な話ですよ!」
「で、でも! 菊川なら心配はいらないわ」
「何を持って安全だと判断したし!?」
「菊川って、ほらぁ! 弱々しい見た目に反して丈夫じゃん? だから、菊川が食べたら兄と違ってどんな反応するかな? って」
「このろくでなし部長! 恐ろしい実験コーナー始めようとしてやがった!」
部長は、「くっ! なんでそんな我がままなのよ菊川」と、苦い顔をして文句を言った。・・・いや、誰だってこんな怪しい物が目に入ったら、追求したくなるのが普通でしょうよ。てか、弱々しいとか軽くディスられたよ! まぁ事実ですけどね! 弱いですけどね僕は!
こんなくだらいやり取りを見ていた月見さんが軽く嘆息した後、「桜。ちょっと良い?」と部長を呼んだ。
「まずはその危険物について説明を求めるわ」
「危険物って何よぉ・・・。サンドウィッチって呼びなさいよ」
「それを食べたお兄さんが倒れたのでしょ? なら、危険物と対して変わらないわ。とりあえず、これの正体を教えて」
部長の不満を月見さんが軽く否していた。
あの黒い物体を『サンドウィッチ』と呼ぶ気はないらしい。まぁ、僕も呼ぶ気ないが・・・。部長は納得してなさそうな表情しながら、正体と危険物の作り方を説明する。
「まず先に言っておくけどハンバーグを使ったサンドウィッチね、それ」
『ハンバーグなの(ですか/すか)!?』
正体を聞いて、部員全員が驚きで声を上げる。
だが、部長はその反応を特に気にもせず、話を続ける。
「ハンバーグを焼いたんだけど焦がして真っ黒になっちゃってさ。一応、パンで挟んでみたけど、これまた見栄えが悪くて悪くて・・・。でね? 見栄えをよくする為、何かないか冷蔵庫の中を漁ってたら、ドクロマークの付いたケースを見つけて、中身を見てみたの」
ここまでの説明を聞いた時、柑菜ちゃんが小さな声で僕に「嫌な予感がするっす」と呟いた。
・・・うん。僕も同じ意見だよ。
月見さんは、僕や柑菜ちゃんが思った事を代表して質問した。
「中身はなんだったの?」
「真っ黒だったよ。真っ黒な液体」
「まさかだと思うけど・・・、パンに使っ・・た?」
「うん、浸した後に焼いた! ハンバーグが真っ黒ならパンも真っ黒にすれば解決! これぞ逆転の一手!」
『うわぁ・・・』
部長が笑顔になっているのを皆んなでシラーッと見つめて、自然と気力の抜けた声を上げる。
部長以外、『こいつマジかよ』と思っていただろう。そして、今度は柑菜ちゃんが「ところで」と話を切り出した。
「怪しいと思いませんでしたか?」
「ん? 何が?」
「ドクロマークが描かれている時点で何か感じませんでしたか? って聞いているんす」
「だって、ドクロマークって不可能を可能にするもんじゃないの?」
「そんなDr.ヒル◯クみたいなこと言われましても、こっちが困るっす。なんだが、柑菜たちは今、チョ◯パーを叱咤していた時のDr.く◯はと同じ気分っす。こんな気持ちだったんですね」
「え?」
ここまで言われても部長は首を傾げていた。鈍感すぎないだろうか?
まぁ、性格上の問題だからしょうがないとは言え、流石に心配になってくる。
※
ラジオ部の部長。桜 愛。
好奇心旺盛で、何でも興味を持つ。
興味を持った物には何でも勘でも手を出す習性を持つ。
そして、問題を起こしてしまうのが毎度のこと。
今回は弁当に対して悪影響を起こしてしまった訳だ。
簡単に説明すると・・・。
【目の前に地球破壊爆弾の起動ボタンがあれば、興味本位で躊躇なく押す女】
それが、桜 愛という存在だ。
※
「それが桜先輩・・・ですよねぇ・・・」
「そうね」「だね」
「うん? 私が何か?」
柑菜ちゃんの一言に月見さんと僕が頷いた。相変わらず部長の反応はいつも通り。・・・はぁ。
普通だったら怒るべきなんだろうが、作った本人は別に悪気があった訳ではない。だから、怒ろうにも怒れない。さて、どうしたものか。
僕たちは部長を呆れた顔で見ていた。すると、部長は何か気付いたのか、「あれ?」と言って表情が曇る。
「もしかして、私・・・またやっちゃった?」
「えっとまぁ・・・そう・・なりますね」
僕が部長の質問に答えると、部長の顔が一瞬にして青ざめる。
「あ、あはは。ご、ごめんね。いつも気を付けているつもりなんだけど・・・。そっ、そっか。それで皆んな微妙な反応・・だったんだ」
「・・・」
部長はぎこちない笑顔で謝罪した。何故だろう。悪いのは100%部長だ。なのに、部長の悲しい表情を見た僕は、胸の底に沈んだ漠然たる苦痛を感じた。
「本当にごめん。余計なお世話だったわね」
部長がそういうと危険物だけが残った弁当箱に手を差し伸べる。その手がゆっくりと弁当箱近く。僕の視線は部長の手を自然と追っていた。その分、僕の鼓動が早くなる。
ーこのまま渡して良いのか?ー
僕の頭の中に、そんな疑問が浮かぶ。そして、部長の小さな声が僕の耳に届く。
「あぁあ・・・。私、迷惑かけてばっかりだなぁ・・・」
「・・・!」
それを聞いた瞬間。僕の体にスイッチが入る。
「ちょっ、菊川!?」「菊川先輩!?」「菊くん!?」
部長たちの仰天したような声が聞こえる。部長が弁当箱を取る前に、僕が弁当箱を先に取っていたからだ。
「頂きます! オラァアアア!!」
中身を取り出し、ただただがむしゃらに食べる。
「大丈夫なの菊川!?」
部長の心配そうな声が聞こえる。もちろん大丈夫な訳がない。
舌が痺れるように痛いし、視界が揺れる。明らかに体が拒否反応している。
『すぐに吐き出せ』と体が訴えてくる。確かに、その方が良いに決まっている。
けど、僕は吐きたくない。吐き出したくないのだ。
此処で出してしまうと、後々後悔するような気がしたから。
体だけで判断するな! せめて胃袋まで持って行け! それから判断しても良いだろう!
僕は体にそう強く思うのだった。
※
一体どれ程の時間が経ったのだろう。ひたすらに必死で食べていたから時間の経過など考えていなかった。気付いた時には、机の上には空っぽになった弁当箱だけが残っていた。
「はぁ・・はぁ・・・」
息苦しい。食べ物で苦しいなんて初めての経験だ。なんだこれ?
「だ、大丈夫? 菊川?」
部長が焦った表情で僕に語りかけてくる。
「・・っかた・・です・・」
「え?」
「美味しいかったです! ごちそうさまでした!」
ここまで来ると、もう勢いだ。スカスカになった気力で僕は食事の終わりを告げる。
そうは言っても部長は、まだ動揺気味だ。
「本当に? 美味しいって言う割には顔色悪いわよ菊川」
「気にしないでください! 化粧ですからこれ!」
「どんな化粧よそれ!?」
誤魔化すには無理があったが、いま余裕がないのだ。だからしょうがないのだ。僕は、部長に親指を立てグットサインを向け、一言。
「ありがとう部長!」
「・・・うん!」
部長がいつもの調子に戻り、元気な返事が返って来た。
とりあえず一安心だ。僕はクラクラする頭を必死に耐えて、部長に語りかける。
「部長。頼みがあります。校舎の裏手にある自動販売機でお茶を買ってきてくれませんか?」
「え? 買っくるのは別に構わないけど、いつも水筒にお茶を入れて持って来てるじゃない」
「今日忘れたんですよ。だからお願いします。これは部長にしか頼めない事なんです」
「部長にしか頼めない! 任せなさい!」
「そう言ってくれると思いました。では、どうぞ宜しくお願いします」
部長に200円を渡すと、部長は「行ってくるわ!」と言って部室を飛び出して行った。
※
お腹が痛い。恐らく胃袋が異物と戦っているのだろう。頑張れ胃袋。踏ん張れ胃袋。僕は机に伏せながら胃袋に頭の中で応援していた。
そんな光景を見ながら月見さんがクスクスと笑う。僕は顔を上げ、月見さんを見る。月見さんの両目の端には小粒の涙が溜まっていた。
「校舎の裏手の自動販売機でお茶を買ってきて下さい、ね。ふふっ」
「何かおかしいですかね? 至って普通のことだと思いますが?」
「おかしいわよ。だって菊くんがリクエストした自動販売機って、此処から一番遠い自動販売機だもの」
「ぐ、偶然ですよ。そこしか知らないかったんー、」
「時間稼ぎ? お腹の調子を整えるための」
「うぐっ・・・!」
月見さんにはお見通しのようだ。そうです。時間稼ぎです。あの馬鹿正直な部長には悪いが、こうするしか思い浮かばなかったのだ。図星を突かれた僕は、額から別の意味で冷や汗が流れる。会話を聞いていた柑菜ちゃんは、「時間稼ぎ?」とよく分かっていないようだ。月見さんが柑菜ちゃんに説明する。
「菊くんは桜に心配を掛けまいと、わざと一番遠い自動販売機を指定したのよ」
「な、何ですか?」
「それは決まっているわ。菊くんのお腹が危険物の所為で、危機的状況になっているからよ。桜がこの場にいない今の内に落ち着けようとしているのよね、菊くん?」
「・・・は、はい」
「まさか。無理して食べたんすか? 何でまた・・・」
柑菜ちゃんが戸惑って僕に尋ねる。僕は、お腹を摩りながら体を起こす。さっきまでの状況を思い出しながら答える。
「うーん。なんだろう。・・・部長の悲しそうな顔を見たら自然と体が動いたんだよ。自分でもびっくりしてる。頭の中で『何してんだ僕は!?』って思ってたくらいだし。食べたら大変なことになるって事も分かってた」
「分かってた上で食べたんすか・・・」
「うん。まぁ、ね」
「アホなんすか」
「自覚はしてるよ」
「危険な想いまでして、どうしてそこまで・・・」
「たぶん昔の経験が原因かも」
「昔・・・?」
「母さんの朝飯の話、覚えてる?」
「覚えてるっす。大量に作ってる話っすよね」
「うん。実は一度だけ一口も食べずに学校に登校した時があってさ。その時の母さんの悲しそうな顔が印象的で・・・。部長の悲しい表情が、その時の母さんと重なって見えたんだよね。だからかな。残してはいけないって思ったんだ」
まぁ、一口も食べずに登校した原因は寝坊なんだけどね。
柑菜ちゃんは、「まったく」と言うと深く嘆息する。完全に呆れていた。
「これだからマザコンは」
「断じて違う!」
「でも、ま。菊川先輩ならそうなるか」
表情は呆れているのだが・・・。気のせいだろうか? 少し声のトーンが嬉しそうに聞こえたのは?
すると、今度は月見さんが「ところで」と話を切り出す。
「菊くんの好きな食べ物を聞いても良い?」
「いきなりどうしたんですか?」
「特に深い意味はないわ。で? どうなの?」
「ど、どうっていきなり言われましても。そうですね・・・。 甘い物とか、かな? 饅頭とか」
「饅頭、なるほどね」
「甘い物っすか」
「ん? 月見さん? 柑菜ちゃん?」
一体どうしたのだろうか? 僕が答えると、月見さんはメモを取り出し書き留める。柑菜ちゃんに至っては、「甘い物・・・。ならば、あれを渡す? ならば、あっちの店の方が・・・」などと独り言をブツブツと喋り出す。それも結構、真剣な表情で。
「?」
まぁ僕には関係なさそうなので、そっとして置くことにする。疲労感ヤバいからね、今日の僕。それに喋るのもしんどいし、体力的に結構ギリギリなのだ。今の僕なら指で突かれただけで倒れる自信がある。
※
【その後】
しばらくすると、廊下から元気な足音がやってくる。車のエンジン音を聴いただけで家族の誰かが帰って来たのか、分かるのと同じ要領で部長が戻って来たのが分かった。
「帰って来たわね。お腹の調子は大丈夫、菊くん?」
月見さんが僕の体調を心配してくれた。その問いに僕がぎこちない笑顔で正直に答えた。
「万全ではないです。8割程度ならなんとか」
柑菜が僕の肩に手を置き、「菊川先輩」と呼ぶ。
「今日は月見先輩と柑菜にお任せください! 全力でサポートするんで!」
「うん。ありがとう」
感謝を述べると、その後すぐに部室の一つしかない扉が元気よく開かれた。
「お待たせ! お茶買って来たわよ! あ、一応全員分買って来たんだけど。柑菜、月見。いる?」
部長が人数分のペットボトルのお茶を両手で抱えて持っていた。
『・・・』
その部長を僕たちは無言で凝視した。そんな反応を示せば勿論、部長はー、
「あ、あれ? なんで皆んなして黙ってるの?」
不安な表情を見せる訳で。
けれでも、これ以上部長に不安を抱かせないために、僕たちは、お互い頷き決意を確認し合う。
バッと僕たちは部長を見ると、同時に声を張り上げる。
『部長(桜\桜先輩)!』
「は、はい! な、なんでしょう!」
『お手柔らかにお願い(します\するっす)!』
「え!? 私、スパルタじゃないし酷い事しないわよ? いきなりどうしたの?」
『気にしないでください! 課長!』
「課長!? いきなりランクが上がった!」
「今までこの部が残っているのは、間違いなく部長ー、いや! 課長のお陰ですとも。はい!」
「桜! 例え能無しでも私たちは一生着いて行くわ!」
「尊敬してる風に言ってるけど煽ってるよねそれ!? そして、生涯一緒にいられでも私が困る!」
「馬鹿でも間抜けでも桜先輩は、ダメ課長として良い意味で柑菜たちの見本になってるっす! ありがとうございます!」
「よぉおおし、全員表に出ろ! 私に喧嘩を売ったことを後悔させてやる!」
「部長、言わせて貰いますが、構図的に3VS1です。袋叩きにされるのがオチです」
「冷静な分析しなくてもいいわよ! 何を本気でやろうとしてんの!? やんないから! ていうか、さっきから皆んなおかしいよ! 私が居なかったこの数分の間に何があったのよ、元に戻ってよ!」
『イエッサー!』
「戻せって言ってんでしょおがぁああああ!」
いつもの調子に戻りはしたが、部長の怒りボルテージがマックスに達した。その瞬間。
♪ キーンコーンカーンコーン ♪
ラジオ部の濃い昼放課がチャイムと共に終わりを告げた。
『あ・・・』
チャイムのお陰か。おかしなテンションになった僕たちが急に我に返った。そして、同時に全員が思う。
『(あれ?次の授業、完全に遅刻じゃね?)』と。※遅刻しました。
その後、山田先生から呼び出しをくらい「ふざけるのは別に構わんが、時間は守れ」と学校内で、一番不真面目な人から説教されてしまう始末。メンバーに歯止め役の人材が欲しいと強く思う一日だった。
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