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「……!!…、!……!…」
本来の姿に戻った彼女は勢いよく身体を揺すり彼女の身体に着いた汚れを落とそうとした
よく見ると本来は白く輝く滑らかな背中はうっすらと土で汚れていて小さな草や木の葉が毛に絡みついていた
彼女はバニエアラ邸を囲む高い塀を余裕で飛び越えたがそこには一つ誤算があった
彼女は塀に仕掛けられていた罠を大したことはないと判断した
せいぜいが身体に汚れが少し付く程度の物だろうと思っていたのに実際にはとても気持ちの悪い代物だった
薄い魔力の膜のようなものを通り抜け塀を飛び越えて
無事にバニエアラ邸の庭の端に着地すると罠の作用による魔力の残滓が身体に纏わりついていた
ここまでは予想していた事だった
うっすらとした魔力の膜は強い作用など有る筈はなく問題ないと考えていた自分の力に対する自信があった
だが、身体に纏わりいたその魔力は張り付いた毛の間で小さな泡が弾けるような反応を起こした
結果、まるで彼女の素晴らしい白毛の中で小さな虫が入り込んだ様な感覚が起こりざわりとした不快感をもたらした
思わず背中を地面で擦る様に転げた
目についた木の幹に身体をこすり付けながらぐるぐると回り
細い枝葉の繁みの間をわざわざ何度も通り抜けた
真実に虫が付いていたならそれで取り除けたかも知れないが魔力による作用であったために不快感の元は取れなかった
ふと気が付けば身体に着いた土汚れや葉っぱ…
白い毛並みはそれらの汚れを際立たせて無惨な姿に成っていた
「………!」
あり得ない事だった
こんな姿で御方の御前に出るのか!と水に映る自身の姿と向き合い愕然とした
身体を捻り頭や背中、尻尾に付いたゴミを取り除き
何度も勢いを着けて身体を振るってみたが満足のいく結果にはならなかった
頭を上げて辺りの匂いを嗅ぎ、耳を澄ませば…もう少し先に進んだ所に数人の人の気配が感じられた
それは自分のよく知る者と知らない者達…
その知らない匂いと気配の中にこそ探す方がいると確信のような物があった
このみすぼらしい姿で御前に出るのか?
それともこの御方に近しい場所で汚れを落とすためとはいえ粗相をするか?
葛藤の末…彼女はその身に風を纏った
小さな竜巻は彼女の身体と周りのゴミを巻き上げてブワリと纏めて吹き飛ばした…
「何だ!?」
前方で樹木を揺らした魔力の奔流はおそらくは低級の風の魔法だった
しかし、今、この屋敷に自分以外の魔法使いなど居ない筈だった
亡くなった夫人に仕えていた者達は既に辞して居らず今のバニエアラ家の使用人は警備のために雇われた自分を含めた三人を除けば平民の出の者達ばかりだった
「まさか…さっきの…魔道具を仕込んでたのか?」
白い光は魔力を帯びていないという印だった筈だが
低級の魔道具なら魔力無しという反応もあり得た
荒事は自分の本分ではない…分かっている
だからこそ楽な仕事をコネを最大限に使って手に入れた
それなのにとうんざりしながらスクロールに魔力を流し、いつでも撃てるようにした
本来ならあちこちで仕事をしている筈の庭師達は今は居なかった広い庭園は静かで閑散としていた
自分の下手な魔法に巻き込む者は居ない
その事を確認しながら足を早めて進むと鳥を飼うために建てられたという温室に続く道に出た
温室の方には進まず右手側へと走り出した
その小路の先には芝生の植えられた広場があった
そのゆるくカーブした道の先に小さな人影を認めて彼は眉をひそめた
本来の姿に戻った彼女は勢いよく身体を揺すり彼女の身体に着いた汚れを落とそうとした
よく見ると本来は白く輝く滑らかな背中はうっすらと土で汚れていて小さな草や木の葉が毛に絡みついていた
彼女はバニエアラ邸を囲む高い塀を余裕で飛び越えたがそこには一つ誤算があった
彼女は塀に仕掛けられていた罠を大したことはないと判断した
せいぜいが身体に汚れが少し付く程度の物だろうと思っていたのに実際にはとても気持ちの悪い代物だった
薄い魔力の膜のようなものを通り抜け塀を飛び越えて
無事にバニエアラ邸の庭の端に着地すると罠の作用による魔力の残滓が身体に纏わりついていた
ここまでは予想していた事だった
うっすらとした魔力の膜は強い作用など有る筈はなく問題ないと考えていた自分の力に対する自信があった
だが、身体に纏わりいたその魔力は張り付いた毛の間で小さな泡が弾けるような反応を起こした
結果、まるで彼女の素晴らしい白毛の中で小さな虫が入り込んだ様な感覚が起こりざわりとした不快感をもたらした
思わず背中を地面で擦る様に転げた
目についた木の幹に身体をこすり付けながらぐるぐると回り
細い枝葉の繁みの間をわざわざ何度も通り抜けた
真実に虫が付いていたならそれで取り除けたかも知れないが魔力による作用であったために不快感の元は取れなかった
ふと気が付けば身体に着いた土汚れや葉っぱ…
白い毛並みはそれらの汚れを際立たせて無惨な姿に成っていた
「………!」
あり得ない事だった
こんな姿で御方の御前に出るのか!と水に映る自身の姿と向き合い愕然とした
身体を捻り頭や背中、尻尾に付いたゴミを取り除き
何度も勢いを着けて身体を振るってみたが満足のいく結果にはならなかった
頭を上げて辺りの匂いを嗅ぎ、耳を澄ませば…もう少し先に進んだ所に数人の人の気配が感じられた
それは自分のよく知る者と知らない者達…
その知らない匂いと気配の中にこそ探す方がいると確信のような物があった
このみすぼらしい姿で御前に出るのか?
それともこの御方に近しい場所で汚れを落とすためとはいえ粗相をするか?
葛藤の末…彼女はその身に風を纏った
小さな竜巻は彼女の身体と周りのゴミを巻き上げてブワリと纏めて吹き飛ばした…
「何だ!?」
前方で樹木を揺らした魔力の奔流はおそらくは低級の風の魔法だった
しかし、今、この屋敷に自分以外の魔法使いなど居ない筈だった
亡くなった夫人に仕えていた者達は既に辞して居らず今のバニエアラ家の使用人は警備のために雇われた自分を含めた三人を除けば平民の出の者達ばかりだった
「まさか…さっきの…魔道具を仕込んでたのか?」
白い光は魔力を帯びていないという印だった筈だが
低級の魔道具なら魔力無しという反応もあり得た
荒事は自分の本分ではない…分かっている
だからこそ楽な仕事をコネを最大限に使って手に入れた
それなのにとうんざりしながらスクロールに魔力を流し、いつでも撃てるようにした
本来ならあちこちで仕事をしている筈の庭師達は今は居なかった広い庭園は静かで閑散としていた
自分の下手な魔法に巻き込む者は居ない
その事を確認しながら足を早めて進むと鳥を飼うために建てられたという温室に続く道に出た
温室の方には進まず右手側へと走り出した
その小路の先には芝生の植えられた広場があった
そのゆるくカーブした道の先に小さな人影を認めて彼は眉をひそめた
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