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空気を払拭したくて、僕は口を開く。
「あの、そろそろ食べ終わったし、行かない?」
「……君、本当そればっかだね」
少し拗ねたような声音。責めているというより、甘えるような調子。なんでそんな言い方するんだろう。
「……嫌なら…」
「嫌じゃないよ。たださ、そんなに言われたら俺の体しか好きじゃないのかって思うからさ」
頬杖をついてジト目でこちらを見上げる。その仕草が子どもみたいで……正直、ちょっと可愛い。
――この人、初対面ではミステリアスな遊び人にしか見えなかったのに。
言っている内容はセフレとしては訳分からない。でも、その不思議なギャップに気が緩んでしまう。
「い、いや、そういうわけじゃ…その……上手だったから…」
慌ててフォローすると、彼はすぐに機嫌を直したように口元を緩めた。
「ふふふ。褒められるのは嬉しいな。俺たち相性抜群だからね。……ねえ」
頬に触れる指先は優しいのに、そこに込められた意志は強い。僕を縛るみたいに。
「俺以外の人間に触らせないでね」
――よほど性病を恐れてるのか? 何かあったのだろうか?一瞬そう思ったけれど、彼の瞳の奥に滲むのは、それだけじゃない執着に見えてしまう。
「わ、分かった、できるだけ頑張る」
「うん、よろしくね。あとは週5で会おう。大学同じだし。メッセージにはできるだけ早く返信して。俺も早めに返信するから。あと極力周りの人とは話さないで。微笑まないで。それが無理なら俺の前では特別会話して微笑んで。それと卒業したら一緒に住もう」
……重!?
思わず頭の中で叫ぶ。セフレどころか、恋人でも重すぎて引かれるだろう。
でも、一つひとつに突っ込むのも面倒くさい。
「あー……できる限り頑張る」
「ふふふ。約束だからね」
彼の微笑みはやっぱり優しいのに、どこか逃げ道を塞がれるような圧を感じて、僕は小さく息を呑んだ。
この後ホテルに行って何回戦もした。
ベッドに横たわる僕の隣で、拓人はそっと身体を寄せてきた。
軽く肩を重ねるだけなのに、心臓がドキドキする。どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
「海くん、今日はもう動かないでいいよ」
拓人は僕の腕を包み込み、ぎゅっと引き寄せる。僕は思わず笑ってしまった。
「え、そんなに俺を抱きしめて…」
「うん、だって可愛いから。寝てる時も、俺だけのものにしておきたいんだ」
その言葉に、僕の頬が熱くなる。――でも不思議と嫌じゃない。
拓人は僕の髪を指で撫で、耳元で囁く。
「俺がそばにいる限り、他の誰にも触らせない。わかった?」
「……は、はい」
素直に答えてしまう自分に、少し呆れる。
けれど、彼は満足そうに微笑んで、僕の手を握りながら軽く舌先で触れてくる。
「触れるだけでこんなにドキドキするなんて、俺、海くんに夢中だ」
僕はちょっと意地悪く、挑発してみる。
「うーん、そんなに夢中なら寝かせてほしいんだけど」
「ふふ、寝かせるわけないじゃん」
拓人は僕の手を握ったまま、軽く身体をくねらせて、僕をもっと近くに引き寄せる。
「これからもずっと、俺のそばにいてね」
僕は思わず笑ってしまう。彼の柔らかくて温かい体に包まれていると、安心もする。
「……まあ、いいか。」
拓人はそれを聞くと、満足そうに僕の髪を撫で、耳元で低く囁いた。
「ふふ、いい子だね。よし、じゃあ今日はずっと抱きしめててあげる」
そのまま僕は、拓人の腕の中でゆっくりと目を閉じる。
甘い気配に包まれながら、僕は少しだけ心を緩めた。
「……怖くない、かも」
拓人は笑って僕の額に軽くキスを落とし、囁く。
「ずっと、俺だけの海くんだよ」
そして夜は、拓人の腕に包まれたまま過ぎていった。
「あの、そろそろ食べ終わったし、行かない?」
「……君、本当そればっかだね」
少し拗ねたような声音。責めているというより、甘えるような調子。なんでそんな言い方するんだろう。
「……嫌なら…」
「嫌じゃないよ。たださ、そんなに言われたら俺の体しか好きじゃないのかって思うからさ」
頬杖をついてジト目でこちらを見上げる。その仕草が子どもみたいで……正直、ちょっと可愛い。
――この人、初対面ではミステリアスな遊び人にしか見えなかったのに。
言っている内容はセフレとしては訳分からない。でも、その不思議なギャップに気が緩んでしまう。
「い、いや、そういうわけじゃ…その……上手だったから…」
慌ててフォローすると、彼はすぐに機嫌を直したように口元を緩めた。
「ふふふ。褒められるのは嬉しいな。俺たち相性抜群だからね。……ねえ」
頬に触れる指先は優しいのに、そこに込められた意志は強い。僕を縛るみたいに。
「俺以外の人間に触らせないでね」
――よほど性病を恐れてるのか? 何かあったのだろうか?一瞬そう思ったけれど、彼の瞳の奥に滲むのは、それだけじゃない執着に見えてしまう。
「わ、分かった、できるだけ頑張る」
「うん、よろしくね。あとは週5で会おう。大学同じだし。メッセージにはできるだけ早く返信して。俺も早めに返信するから。あと極力周りの人とは話さないで。微笑まないで。それが無理なら俺の前では特別会話して微笑んで。それと卒業したら一緒に住もう」
……重!?
思わず頭の中で叫ぶ。セフレどころか、恋人でも重すぎて引かれるだろう。
でも、一つひとつに突っ込むのも面倒くさい。
「あー……できる限り頑張る」
「ふふふ。約束だからね」
彼の微笑みはやっぱり優しいのに、どこか逃げ道を塞がれるような圧を感じて、僕は小さく息を呑んだ。
この後ホテルに行って何回戦もした。
ベッドに横たわる僕の隣で、拓人はそっと身体を寄せてきた。
軽く肩を重ねるだけなのに、心臓がドキドキする。どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
「海くん、今日はもう動かないでいいよ」
拓人は僕の腕を包み込み、ぎゅっと引き寄せる。僕は思わず笑ってしまった。
「え、そんなに俺を抱きしめて…」
「うん、だって可愛いから。寝てる時も、俺だけのものにしておきたいんだ」
その言葉に、僕の頬が熱くなる。――でも不思議と嫌じゃない。
拓人は僕の髪を指で撫で、耳元で囁く。
「俺がそばにいる限り、他の誰にも触らせない。わかった?」
「……は、はい」
素直に答えてしまう自分に、少し呆れる。
けれど、彼は満足そうに微笑んで、僕の手を握りながら軽く舌先で触れてくる。
「触れるだけでこんなにドキドキするなんて、俺、海くんに夢中だ」
僕はちょっと意地悪く、挑発してみる。
「うーん、そんなに夢中なら寝かせてほしいんだけど」
「ふふ、寝かせるわけないじゃん」
拓人は僕の手を握ったまま、軽く身体をくねらせて、僕をもっと近くに引き寄せる。
「これからもずっと、俺のそばにいてね」
僕は思わず笑ってしまう。彼の柔らかくて温かい体に包まれていると、安心もする。
「……まあ、いいか。」
拓人はそれを聞くと、満足そうに僕の髪を撫で、耳元で低く囁いた。
「ふふ、いい子だね。よし、じゃあ今日はずっと抱きしめててあげる」
そのまま僕は、拓人の腕の中でゆっくりと目を閉じる。
甘い気配に包まれながら、僕は少しだけ心を緩めた。
「……怖くない、かも」
拓人は笑って僕の額に軽くキスを落とし、囁く。
「ずっと、俺だけの海くんだよ」
そして夜は、拓人の腕に包まれたまま過ぎていった。
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