ワンナイトのセフレかと思ったら彼氏でした

あと

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………どうしよう。

あれから1週間。僕は、正直拓人に惹かれていた。

……いやだって!!拓人って完璧だもん!!ちょっと重いけど、いつもさりげなくエスコートしてくれるし、会計は当然のように全部持ってくれる。会えば必ず「好きだよ」とか「可愛い」って言ってくれる!!
あんなイケメンにあんなこと言われて、好きにならない方がおかしい。むしろ、普通の人間ならとっくに落ちてるはずだ。

なのに僕は机に突っ伏し、両手で髪をぐしゃぐしゃにかき回して悩んでいた。

……セフレに本気になるなんて、馬鹿げてる。
それに僕は「別れる」のが怖くて誰とも付き合えない人間だ。恋愛に踏み込めず、傷つく未来を勝手に想像して、逃げてばかりきた。

でも彼は違う。拓人は元カノとちゃんと付き合って、そして別れた。つまり「始められるし、終わらせられる」人間だ。僕とは根本的に違う。そんな相手に惹かれて、本気になって……その先どうなる? 別れ話なんて、きっと僕には耐えられない。

「……どうしよう」

胸の奥で言葉が何度も繰り返される。苦しい。どうしようもなく苦しい。

だから僕は、強引に自分を納得させるために口に出した。

「……そうだ」

他の男の人と関係を持てばいいんだ。
そうすれば拓人に向いてしまった気持ちを、強制的に散らせる。……そう、自分に言い聞かせる。だってセフレだし、気持ちなんて本来関係ないんだから。

僕はすぐに拓人と出会ったマッチングアプリを開いた。消さなくてよかった、と思う。

「ああもう、誰でもいいや……」

そう思い、適当に条件を絞らずにボタンを押す。清潔感があればいい。連絡はおざなりでいい。とにかく、彼への想いを忘れるために、抱かれたいだけだから。

会う日がやってきた。今日は久々に拓人と会わない日。

「うみくんだよね?」

そう言って現れたのは、写真詐欺男。やっぱり拓人みたいなイケメンはそう簡単にいない。僕はため息交じりに返答した。

「……そうです」

「じゃあ行こうか」

そのままホテルに向かおうとする彼。拓人と比べて、即物的で、空虚な感じがする。でも好都合だ。僕は覚悟を決めて、ついていこうとしたその瞬間、腕を掴まれた。

「……何してるの?」

声は低く、静かに怒っている。振り返ると、そこには拓人が立っていた。

「お、お前は……何だ?」

相手も怪訝そうに見つめる。

「……先客が入っているので、今日のところはお帰りください」

拓人は冷たく言い放つ。まるで、全てを遮断するかのように。

「チッ!わかったよ」

写真詐欺男は悔しそうに舌打ちをして、去っていく。

「…………」

僕たちはお互い無言だった。ただ、手を握られた重みと視線の熱だけが伝わってくる。

「行こうか」

拓人が口を開く。声は柔らかいのに、芯の強さと独占欲が滲んでいた。

「ど、どこへ……?」

「俺の家」

言葉少なに、無言で手を握られる。そのまま僕はおずおずと着いていくしかなかった。
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