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第九話
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「と、盗聴して、隠し撮りして、何がしたかったんだよ……?」
声が震える。疑問というより、恐怖と混乱が混じった叫びに近かった。
颯は、こちらの動揺など意に介さないかのように、薄く笑った。
「ああ、それ? 好きな人のこと、ぜーんぶ知りたいからに決まってるじゃん。見て、聞いて、記録して、全部覚えたよ。明の一瞬一瞬を、誰よりも大切にしてきたんだ。安心するんだよね、こうして見てると。息してるのも、笑ってるのも、泣いてるのも、全部、俺のものみたいでさ」
言いながら、颯に肩を竦めた。
その目は、笑っているのにどこか底が見えない暗さを帯びている。
「バレた時は流石にビビったけどね。まあ……あのストーカーに押し付ければいいかって思ってたし。だから、俺が事前に調べてたことも、全部“今推理した”みたいに演じたんだ」
だが颯は、ケロリとした調子で話す。
「お、お前!いつも俺に塩対応だったじゃん。女の子の予定優先するし」
言いながら、胸の奥がじわりと熱くなる。
そうだ。こいつはいつも女の子に囲まれていた。
俺がストーカーの相談をしたときだって、「ゆきちゃんが」「あやかちゃんが」なんて、名前を並べていた。
普通、好きならもっと優しくするだろう。俺の話を真剣に聞くはずだろう。
「……バレたくなかったから。俺の気持ち。」
颯が、息を吐くみたいにぼそりとつぶやく。
その声音は、かすかに震えていた。
「そ、それに!俺のこと好きなら、普通にアプローチすればいいだろ……!」
自分でも声が上ずっているのがわかる。
途端に真面目な顔になり、颯は質問を重ねる。
「じゃあさ、俺が普通に告白してたら、好きになってくれたの?」
俺は黙り込む。胸の奥で何かがざわついた。
もちろん、俺は颯のことが嫌いじゃない。むしろ好きだ。
だが、好みのタイプかと問われると、答えは揺らいでしまう。
颯は、俺の沈黙に満足げに微笑んだ。
その笑顔は、かつて見たどんな笑顔よりも、どこか壊れかけている。
「明って女の子大好きじゃん。そんな明に、男の俺が『好き』って言ったって、付き合ってくれた? むしろぎこちなくなって、嫌われるだけじゃん。そんなの絶対に嫌。俺はね、明のことが大大大好きなんだよ。愛してる。世界中の誰より、何より、明だけを見てる。ずっと一緒にいたい。明が俺のそばからいなくなったら、俺、自分が何するかわからない。だから明の笑顔にために、俺、我慢してたんだ。」
颯は、淡々とした声で、吐き出す。
「……どうして、俺のことそんなに好きなんだよ…?」
言葉に詰まる。理由がわからない。顔は良い、頭もいい、スタイルだって抜群だ。外面は完璧、誰が見ても羨ましいような颯が、どうしてここまで――そんなふうに俺を執着するのか、理解できなかった。
声が震える。疑問というより、恐怖と混乱が混じった叫びに近かった。
颯は、こちらの動揺など意に介さないかのように、薄く笑った。
「ああ、それ? 好きな人のこと、ぜーんぶ知りたいからに決まってるじゃん。見て、聞いて、記録して、全部覚えたよ。明の一瞬一瞬を、誰よりも大切にしてきたんだ。安心するんだよね、こうして見てると。息してるのも、笑ってるのも、泣いてるのも、全部、俺のものみたいでさ」
言いながら、颯に肩を竦めた。
その目は、笑っているのにどこか底が見えない暗さを帯びている。
「バレた時は流石にビビったけどね。まあ……あのストーカーに押し付ければいいかって思ってたし。だから、俺が事前に調べてたことも、全部“今推理した”みたいに演じたんだ」
だが颯は、ケロリとした調子で話す。
「お、お前!いつも俺に塩対応だったじゃん。女の子の予定優先するし」
言いながら、胸の奥がじわりと熱くなる。
そうだ。こいつはいつも女の子に囲まれていた。
俺がストーカーの相談をしたときだって、「ゆきちゃんが」「あやかちゃんが」なんて、名前を並べていた。
普通、好きならもっと優しくするだろう。俺の話を真剣に聞くはずだろう。
「……バレたくなかったから。俺の気持ち。」
颯が、息を吐くみたいにぼそりとつぶやく。
その声音は、かすかに震えていた。
「そ、それに!俺のこと好きなら、普通にアプローチすればいいだろ……!」
自分でも声が上ずっているのがわかる。
途端に真面目な顔になり、颯は質問を重ねる。
「じゃあさ、俺が普通に告白してたら、好きになってくれたの?」
俺は黙り込む。胸の奥で何かがざわついた。
もちろん、俺は颯のことが嫌いじゃない。むしろ好きだ。
だが、好みのタイプかと問われると、答えは揺らいでしまう。
颯は、俺の沈黙に満足げに微笑んだ。
その笑顔は、かつて見たどんな笑顔よりも、どこか壊れかけている。
「明って女の子大好きじゃん。そんな明に、男の俺が『好き』って言ったって、付き合ってくれた? むしろぎこちなくなって、嫌われるだけじゃん。そんなの絶対に嫌。俺はね、明のことが大大大好きなんだよ。愛してる。世界中の誰より、何より、明だけを見てる。ずっと一緒にいたい。明が俺のそばからいなくなったら、俺、自分が何するかわからない。だから明の笑顔にために、俺、我慢してたんだ。」
颯は、淡々とした声で、吐き出す。
「……どうして、俺のことそんなに好きなんだよ…?」
言葉に詰まる。理由がわからない。顔は良い、頭もいい、スタイルだって抜群だ。外面は完璧、誰が見ても羨ましいような颯が、どうしてここまで――そんなふうに俺を執着するのか、理解できなかった。
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