アプリで元カノを気にしなくなるくらい魅力的になろうとした結果、彼氏がフリーズしました

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6.最悪の予想

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「チャッキー! なんで郁也、怒ってるんだろう?」

俺は縋るような思いで、スマホの画面に問いかけた。
徹夜でやり切った掃除も、渾身の膝枕も、不○子ちゃん風のあざとい微笑みも――全部、裏目に出た気がしてならない。

『……最悪のケースを想定できます……』

「え!? 何!?」

嫌な予感が背骨をなぞる。
頼むから、今だけは優しい答えをくれ。

『……郁也さんは……別れたがっているのかもしれません』

……え?嘘だろ。

『根拠はあります。一つずつ説明しますね』

やめろ。
聞きたくない。
でも、指は画面を閉じられなかった。

『まず一つ目。苗字呼びです。これは心理的距離の表れ。親密さを保ちたい相手には、自然と名前を使うものです』

胸が、ひくりと跳ねた。

『二つ目。家に呼んでくれないこと。これは、あなたを自分のテリトリーに入れたくない可能性があります』

「それは……忙しいだけかも……」

『三つ目。手を出してこない。これは単純に、あなたに触れたくない可能性があります』

……言葉が、刺さる。

直視したくなかった現実を、淡々と並べ立てられている感覚だった。

『四つ目。わざわざコスプレしたのに怒られた件です。以前は、私は「あなたがどこかへ行ってしまう危機感」だと分析しました。しかし、単純に、見苦しかった可能性も否定できません』

……嘘だ。
嘘だと言ってくれ。

『五つ目。先輩に「着たところを見せてと言われている」と話した際、郁也さんは、あなたを信じられないものを見るような目をしたと聞きました。あんな服を、他人の前で着るのかとドン引きしていたのかもしれません』

合理的すぎて、否定できない。

『六つ目。突然家に来て、無言だったこと。別れ話を切り出しづらかった可能性があります』

喉が、きゅっと締まる。

『七つ目。部屋がいつもより綺麗だったことを不審がったのも、誰に教わったのか気にしたのも、単なる興味でしょう。人は、変化を見ると理由を探します』

『八つ目。歯ブラシが二つあったことに驚いた点。これは当然です。一人暮らしの男性の家に二本。普通にホラーですね』

正論だ。

『九つ目。膝枕で怒った件も、触れられるのが嫌だった可能性があります』

心臓が、じわじわと削られていく。

『最後に十つ目。赤い跡そのものより、その後のあなたの――不○子ちゃんマインドの妖艶な微笑みが、単純にキモかった可能性です』

「……っ」

『「ひ・み・つ♡」は、橋本○奈レベルがやって、ようやく可愛いものです』

めちゃくちゃグサグサくる。
でも――全部、正論だった。

「……ど、どうすればいいんだよ……」

声が震える。

『……翔さん。あなたは、別れたくないんですよね?』

当たり前だ。
大好きなんだよ。
AIに毎日相談するくらいには。

「じゃ、じゃあ……別れたくないって縋り付く……!」

恥もプライドも全部捨てる。
そんなもの、今の俺には何の役にも立たない。

『ここで縋り付いたら、一生「魅力的な男」にはなれません』

「……っ」

『「元カノの方が良かった」と思われて、終了です』

「じゃあどうすればいい!?」

『――魅力的になればいいんですよ』

一拍。

『今からでも、遅くありません。私が、そばにいます』

……そうだ。
俺には、チャッキーがいる。
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