陰キャ幼馴染がミスターコン代表に選ばれたので、俺が世界一イケメンにしてやります

あと

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後日談

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「いや~君たち、すごかったね~!」

衝撃のミス&ミスターコンの舞台裏。
何故か“関係者じゃない俺”まで裏方に連れて来られ、悠里と話していたところ、話しかけてきたのは、経済学部の王子・佐藤。今回の2位だ。

「正直、悔しいけどさ。あんなの見せられたら応援するしかないじゃん。
まあ、一番かっこいいのは俺だけど。」

何という自信。
だが、一周回って嫌味がない。陽キャにのみ許される才能。

「まったく……ミスターコンの風紀が乱れるだろうが……」

そうぼやくのは法学部の眼鏡イケメン・東。
真面目で固い性格で有名だが、実は意外と乗せられやすいタイプで、今回も周囲におだてられて参加したらしい。

「元々風紀も何もないじゃん~。ていうかさ、すごかったね。
“Love is in the air~!”って感じだった。」

飴を口に放り込みながら近づいてきたのは国際学部のレイ。
アメリカ人とのハーフで、軽いノリだが憎めない。

「SNSでもバズりまくってる~!エモすぎっしょ!」

「わっかる~!俺のギターが霞んだわ。」

経済×国際の陽キャコンビが勝手に盛り上がっている。

俺と悠里はというと、端っこでひっそり話していた。

「ふふ。すごかったですね。まさに小説の世界。
あ、僕の次回作の題材にしてもいいですか?」

声をかけてきたのは文学部の南野。
柔らかな笑顔と和装が似合う、百人一首を丸暗記して朗読した強者だ。

「い、いいけど……恥ずかしいな……」

悠里が耳まで赤くして答える。

「もっと恥ずかしいことしたじゃん!」

現れたのは農学部の下村。素朴な青年で、今回、高年齢層にバカ受けだった。

「おっ、全員集合じゃん!写真でも撮る?」

佐藤が言った。

「いいねー!僕、自撮り棒持ってるよ。」

どこから出したのか、自撮り棒を取り出すレイ。

「みんなー!集まってー!」

レイの掛け声で全員が集まる。

「ちょっとちょっとー!君もだよ。」

なぜか“参加者じゃない俺”まで呼ばれた。

「……え?なんで?」

「だって君が逸見をここまで変えたんだろ?」

佐藤が悪戯っぽく笑う。

「なら、君も参加者みたいなもんだろ!アハハ!」

下村が太陽みたいな笑顔で背中を叩いた。

「ふふ。僕も賛成ですよ。」

南野まで乗り気だ。

「……まあ、いいだろう。」

東まで肯定するとは。もう逃げ道がない。

「わ、わかったよ……」

我が大学の誇る絶世のイケメンたちに囲まれるこの状況、かなり居心地が悪い。

「はい!チーズ!」

カシャッ。

「よし!!この後飲みに行くぞ!!」

佐藤が肩を組んで言った。

「悪いけど…」

悠里が俺の腕を引っ張って、そのまま片手で抱きしめてきた。

「今は、二人でいたいかも。」

「「「「「………………」」」」」

全員が一瞬で無になった。悠里、お前今日キャラ変しすぎじゃない?

「ふふふ…これが俗に言う“ばかっぷる”ですね。」

南野が微笑む。

「ははは!君たち面白すぎ~!今度演劇部の公演、特等席で見せてあげるよ。」

レイが肩を揺らして笑った。

「……では僕たちは退散しますが、羽目を外しすぎないように。」

東が眼鏡を押し上げ、全員がそれぞれの方向へ歩き出した。

昨日はライバル、今日は仲間。なんだか不思議な光景だ。

「……なあ、悠里…」

二人きりになった瞬間、聞きたいことが胸にせり上がってきた。

「あのさ、いつから俺のこと好きだったの?」

「……わかんないけど、多分、ずっと前から。」

こっちを見つめる瞳が真っ直ぐすぎて、逃げ場がない。

「そういう歩は?」

顔が近い。反則だ。

「……幼稚園の、運動会。」

「………え?」

「笑顔が…かっこよくて。」

あまりにも黒歴史すぎる告白に、顔が燃える。

けど次の瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。

「……あはは。そんな前から、ずっと両想いだったんだね。」

その声がくすぐったくて、胸がじんわり温かくなる。

学園祭を二人で回った。焼きそば、お化け屋敷、クラス展示。どこへ行っても声をかけられ、祝福され、茶化され、笑われ……ずっと横に悠里がいて、それが妙に自然だった。

帰り道、夕暮れに染まる校舎を背に、悠里が小さな声で言った。

「……ねえ、今日、僕の家来る?」

「……???」

「ご、ごめん!!なんでもない!」

「……何もしないなら…」

「しないしない!!」

「ほんとかぁ~?」

「もう!歩ったら!」

笑い合いながら歩く帰り道は、たぶん今日のどの瞬間より、胸がいっぱいだった。
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