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異世界生活:グリーデン編
スキルを奪うスキル
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朝日とともに目覚め。
畑に水を撒いてからグリーデンへ向かう。
桜と向日葵、ユグドラシルと調合師の3人はバスケットに揺られての移動。
蓮とリルは、風魔法で空を駆け抜けながら、魔物を見つけては狩りをしている。
ウマドリ、ホーンブル、ライトニングタイガー。
今日はいつにも増して魔物が多い。
初めは苦戦したライトニングタイガーも、今は敵ではない。
新しく作った刀の切れ味は抜群。
何の抵抗も無く、魔物を両断してゆく。
あまりの性能の高さに怖くて魔力や闘気を流すことを躊躇ってしまうほどだ。
「蓮兄。魔力や闘気は使わないの?」
狩りの様子を見て桜が気が付いた。
フェンたちとクエストに出た時の話しもそうだったが、観察眼が鋭い。
蓮は『切れ味が良すぎて怖いんだ』と空の道を走りながら答えた。
蓮とザディオが作り出した神剣・竜狼蓮華。
基本的な攻撃力は5100。
そこに加えて魔力と闘気の伝導率が1500%。
これはMP、またはSPを大量に消費する代わりに、最大15倍まで攻撃力を高められるということだ。
そこに加えて滅魔や斬撃強化の特殊効果。
人数値だけで言えば、外級の蓮の筋力に、76500以上に高められた斬撃が上乗せされる計算だ。
試しに、ほんの少し闘気を込めて切り付けると、獲物の後方の木まで斬撃が飛び、切り倒してしまった。
「あ、ほんとだ。後ろの木まで斬れてる」
斬撃が飛ぶこと自体は問題ではない。
どちらかと言うと、遠距離攻撃ができて利点ですらある。
問題は、意図的に飛ばしている訳ではないということだ。
剣術スキルを最大にし、他のスキルと統合された戦闘神というスキルを有していても、扱い切れないほどの性能。
加減を必要としない強敵が現れるまでは、夜間にひっそりと闘気を流し込む練習だけにしておこうと決めた。
「全く。ちゃんと使いこなしなさいよ」
少し不満な表情を浮かべ、ドラコが指摘する。
体の一部を提供してくれたドラコとリルに面目が立たない。
「ごめんね。いっぱい練習するよ」
蓮はヘソを曲げずに、前向きに努力を継続することを約束した。
その言葉を聞いて、ドラコはそっぽを向いた。
心なしか赤黒い鱗の赤みが増すが、蓮は気づいていない。
フローネが『無自覚って怖いですね』と言うと、気がついている者は全員頷いたが、蓮には届かなかった。
蓮は、そんな話しをしているとは梅雨知らず。
空を走り続け、2度目の鐘が鳴る前にグリーデンに到着した。
「お!おお!!!あんた!大変なんだ!すぐにギルドに向かってくれ!」
グリーデンの北側で降り、北門に向かうと、斧の男が慌てた様子で蓮に声をかけた。
「急ごうか」
予知スキルで嫌な予測が脳内を巡る。
蓮は調合師の3人には、用事を済ませて4度目の鐘が鳴る頃に冒険者ギルドへ来るように指示を出してから、急いで冒険者ギルドへ向かった。
中に入ると、殺伐とした空気が流れている。
受付に向かうとアニィとミミィが居た。
「レン様!お待ちしておりました!」
蓮を見つけると、アニィは立ち上がり奥の部屋へと案内した。
「今日はグランさん居ないんですね」
桜がグランが居ないことを珍しく思い聞くと、アニィは『その事なのですが……』と話し始めた。
聞けばグランは緊急事態でイースト村に向かっているそうだ。
「イースト村って確か……」
「はい。白狼の爪牙が向かった村です」
元々は不屈の剣というCランクパーティが、イースト村近辺でのゴブリンの討伐クエストに当たっていた。
そこでゴブリンの活性化が報告され、討伐兼調査隊を編成することとなった。
それに選ばれたのがフェン達だ。
「白狼の爪牙がクエストに向かう2日前に、再びゴブリン討伐に向かった不屈の剣が戻らないんです」
不屈の剣は、大剣使いのブレイド。ナイフ使いのレベッカ。支援魔法を使うバッツ。そして剣と大盾を使うハングの4人で構成されている。
かなりバランスが取れたパーティのため、ゴブリン如きには遅れを取らないそうだ。
しかし、ゴブリンジェネラルを倒せるほどの実力はない。
もし上位種が居なくても、大型のゴブリンの集落ができていれば数に負けてしまうことはあるだろう。
そこでグランは救助の可能性も考えて、フェン達の出発を早めたのだ。
白狼の爪牙であれば問題なくクエストを達成できる。
そう思っていた。
「今朝早くにイースト村の者が来て、助けを求めてきたのです」
イースト村から息も絶え絶えといった様子で1人の男性が冒険者ギルドに駆け込んだ。
その者は『殺奪が出た!』と言い、ギルドへ増援の依頼に来たそうだ。
「殺奪って……」
「はい。ご察しの通りで 特別指定討伐対象です」
以前に王都で大規模な討伐隊が編成され、討伐を試みたが討伐隊は壊滅。
その時の生存者の証言を繋ぎ合わせ、スキルを奪うスキルを有していると結論付けられたゴブリンキングの特殊個体。
それも奪われるのは決まって、最もレベルの高いスキルだそうだ。
才能、加護、寿命の問題で、リル達のように複数の攻撃系スキルが高レベルに立ったする者は少ない。
己の最大の攻撃手段をいきなり奪われるのだ。
束になっても敵わないのも頷ける。
「そしてスキルを奪った状態で本人を殺せば、奪ったままの状態になります」
「それってつまり……」
蓮の疑念は、悪い方に的中。
十数年前に討伐失敗。
その後、討伐に参加し、戦死した者のスキルを使用しているという目撃情報が出ているそうだ。
それも1つや2つではない。
大規模討伐隊のため、その分、魔法を使う者も多く参加していた。
そこで奪ったものであろう数多くの支援魔法と攻撃魔法を使用しているらしい。
近づけばスキルを奪われる。
殺されればスキルは奪われたまま。
「今ギルドマスターはその討伐に向かってます。どうかお力添え頂けないでしょうか?」
前回の 特別指定討伐対象との戦いでは死にかけた。
その事もあり、桜に心配をかけたくはない。
しかし、異世界にきて初めてできた友人達を見殺しにするわけにはいかない。
蓮は頷き、必ず助けると誓い向かうことにした。
畑に水を撒いてからグリーデンへ向かう。
桜と向日葵、ユグドラシルと調合師の3人はバスケットに揺られての移動。
蓮とリルは、風魔法で空を駆け抜けながら、魔物を見つけては狩りをしている。
ウマドリ、ホーンブル、ライトニングタイガー。
今日はいつにも増して魔物が多い。
初めは苦戦したライトニングタイガーも、今は敵ではない。
新しく作った刀の切れ味は抜群。
何の抵抗も無く、魔物を両断してゆく。
あまりの性能の高さに怖くて魔力や闘気を流すことを躊躇ってしまうほどだ。
「蓮兄。魔力や闘気は使わないの?」
狩りの様子を見て桜が気が付いた。
フェンたちとクエストに出た時の話しもそうだったが、観察眼が鋭い。
蓮は『切れ味が良すぎて怖いんだ』と空の道を走りながら答えた。
蓮とザディオが作り出した神剣・竜狼蓮華。
基本的な攻撃力は5100。
そこに加えて魔力と闘気の伝導率が1500%。
これはMP、またはSPを大量に消費する代わりに、最大15倍まで攻撃力を高められるということだ。
そこに加えて滅魔や斬撃強化の特殊効果。
人数値だけで言えば、外級の蓮の筋力に、76500以上に高められた斬撃が上乗せされる計算だ。
試しに、ほんの少し闘気を込めて切り付けると、獲物の後方の木まで斬撃が飛び、切り倒してしまった。
「あ、ほんとだ。後ろの木まで斬れてる」
斬撃が飛ぶこと自体は問題ではない。
どちらかと言うと、遠距離攻撃ができて利点ですらある。
問題は、意図的に飛ばしている訳ではないということだ。
剣術スキルを最大にし、他のスキルと統合された戦闘神というスキルを有していても、扱い切れないほどの性能。
加減を必要としない強敵が現れるまでは、夜間にひっそりと闘気を流し込む練習だけにしておこうと決めた。
「全く。ちゃんと使いこなしなさいよ」
少し不満な表情を浮かべ、ドラコが指摘する。
体の一部を提供してくれたドラコとリルに面目が立たない。
「ごめんね。いっぱい練習するよ」
蓮はヘソを曲げずに、前向きに努力を継続することを約束した。
その言葉を聞いて、ドラコはそっぽを向いた。
心なしか赤黒い鱗の赤みが増すが、蓮は気づいていない。
フローネが『無自覚って怖いですね』と言うと、気がついている者は全員頷いたが、蓮には届かなかった。
蓮は、そんな話しをしているとは梅雨知らず。
空を走り続け、2度目の鐘が鳴る前にグリーデンに到着した。
「お!おお!!!あんた!大変なんだ!すぐにギルドに向かってくれ!」
グリーデンの北側で降り、北門に向かうと、斧の男が慌てた様子で蓮に声をかけた。
「急ごうか」
予知スキルで嫌な予測が脳内を巡る。
蓮は調合師の3人には、用事を済ませて4度目の鐘が鳴る頃に冒険者ギルドへ来るように指示を出してから、急いで冒険者ギルドへ向かった。
中に入ると、殺伐とした空気が流れている。
受付に向かうとアニィとミミィが居た。
「レン様!お待ちしておりました!」
蓮を見つけると、アニィは立ち上がり奥の部屋へと案内した。
「今日はグランさん居ないんですね」
桜がグランが居ないことを珍しく思い聞くと、アニィは『その事なのですが……』と話し始めた。
聞けばグランは緊急事態でイースト村に向かっているそうだ。
「イースト村って確か……」
「はい。白狼の爪牙が向かった村です」
元々は不屈の剣というCランクパーティが、イースト村近辺でのゴブリンの討伐クエストに当たっていた。
そこでゴブリンの活性化が報告され、討伐兼調査隊を編成することとなった。
それに選ばれたのがフェン達だ。
「白狼の爪牙がクエストに向かう2日前に、再びゴブリン討伐に向かった不屈の剣が戻らないんです」
不屈の剣は、大剣使いのブレイド。ナイフ使いのレベッカ。支援魔法を使うバッツ。そして剣と大盾を使うハングの4人で構成されている。
かなりバランスが取れたパーティのため、ゴブリン如きには遅れを取らないそうだ。
しかし、ゴブリンジェネラルを倒せるほどの実力はない。
もし上位種が居なくても、大型のゴブリンの集落ができていれば数に負けてしまうことはあるだろう。
そこでグランは救助の可能性も考えて、フェン達の出発を早めたのだ。
白狼の爪牙であれば問題なくクエストを達成できる。
そう思っていた。
「今朝早くにイースト村の者が来て、助けを求めてきたのです」
イースト村から息も絶え絶えといった様子で1人の男性が冒険者ギルドに駆け込んだ。
その者は『殺奪が出た!』と言い、ギルドへ増援の依頼に来たそうだ。
「殺奪って……」
「はい。ご察しの通りで 特別指定討伐対象です」
以前に王都で大規模な討伐隊が編成され、討伐を試みたが討伐隊は壊滅。
その時の生存者の証言を繋ぎ合わせ、スキルを奪うスキルを有していると結論付けられたゴブリンキングの特殊個体。
それも奪われるのは決まって、最もレベルの高いスキルだそうだ。
才能、加護、寿命の問題で、リル達のように複数の攻撃系スキルが高レベルに立ったする者は少ない。
己の最大の攻撃手段をいきなり奪われるのだ。
束になっても敵わないのも頷ける。
「そしてスキルを奪った状態で本人を殺せば、奪ったままの状態になります」
「それってつまり……」
蓮の疑念は、悪い方に的中。
十数年前に討伐失敗。
その後、討伐に参加し、戦死した者のスキルを使用しているという目撃情報が出ているそうだ。
それも1つや2つではない。
大規模討伐隊のため、その分、魔法を使う者も多く参加していた。
そこで奪ったものであろう数多くの支援魔法と攻撃魔法を使用しているらしい。
近づけばスキルを奪われる。
殺されればスキルは奪われたまま。
「今ギルドマスターはその討伐に向かってます。どうかお力添え頂けないでしょうか?」
前回の 特別指定討伐対象との戦いでは死にかけた。
その事もあり、桜に心配をかけたくはない。
しかし、異世界にきて初めてできた友人達を見殺しにするわけにはいかない。
蓮は頷き、必ず助けると誓い向かうことにした。
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