異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー

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異世界生活:王都レグナム編

Sランク冒険者

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ゲイルが倒れ、医務室に運ばれた後は、平穏な食事会。
王妃が早くに他界して以降、国王として父親としてどう接すれば良いのかと言う葛藤があったこと。
ソフィリアには友人と呼べる存在が少なく、どうしたものかと悩んだことがあった。
そのため、蓮が妹達のために同年代の者と関わる場を作りたいと考えていることにウォルスタッド王は深く理解を示した。

「ふむ。いつにも増して幸福な味じゃった」

王はゴルジアスと桜に感謝を伝え、晩餐会は終了。

「レン殿には少し話しがあるゆえ、後で時間をくれ」

冒険者のランクをSランクに引き上げる事と、向日葵の王族関係者用の入国カードを受け取る事。
そして、グリーデン同様にポーションや素材を販売するにあたっての話し合いがしたいそうだ。

解散し、蓮たちは客室に戻った。
蓮が王のところへ行く準備をしていると桜が緊張した様子で口を開いた。

「あ、あのね。私もソフィリアたちと話してきて良いかな?」

晩餐会後に何か話をしているとは思ったが、どうやら夜に話しをしないかと誘われたそうだ。

「アクアさんと、ガーネットさんとココさんも来てくれるみたいで……」

先ほどのゲイルへの大激怒を見られた後のため、人間関係が今後上手くいくか心配していたが問題ないようだ。

「うん。楽しんでおいで。ひまちゃんのことだけお願いして大丈夫かな?」

ウォルスタッド王には色々と聞きたいことがある。
そのため、向日葵を連れて行く事はできない。
かといってユグドラシルやドラコに向日葵を任せて、桜だけをソフィリアのところへ行かせる事は不安だ。

「うん。大丈夫」

蓮が王のところに出ている間に、この客室にソフィリアたちが来て、少し話すくらいの予定らしい。
しかし、せっかくの機会なので、可能な限り楽しんで欲しい。

「ユグドラシルさん。ひまちゃんが寝たら遮音系の魔法をかけてあげてください」

桜達がうるさくても向日葵が寝られるようにしてほしいことを伝えると、ユグドラシルは頷いた。

「僕は戻らないようにするから、寝不足に気をつけて楽しんでね」

「戻らないって……どうする気?」

蓮は女子会を楽しみ夜更かしができるように気を利かせたつもりだったが、桜には良からぬ場所に行くのかと鬼の形相で疑われたため、別室を用意してもらうだけだと慌てて答えた。

「フェリクスさんにお茶菓子でも届けるように伝えておくよ」

その言葉を聞いて向日葵は『おかし!おかし!』と謎の踊りをしている。

「ひまちゃんも、失礼ないようにね」

無駄に凛々しい表情と返事をする向日葵。
桜には遅くなりすぎないように寝かせるようにだけ伝え、ユグドラシルとドラコに2人のことを頼み、リルを連れて部屋を後にした。

「すみません。フェリクスさんは今どちらに?」

蓮が部屋前の兵士に尋ねるとフェリクスは訓練場へと向かったそうだ。
聞けば、蓮たちの案内をしており、鍛練の時間が確保できていないため、自主的に鍛錬に向かったそうだ。
やることなすこと全てがかっこいい。

蓮は兵士に、ソフィリアたちが来ることを説明したが、兵士には話しが通っていたようで驚かれなかった。

「お茶菓子や飲み物を用意してあげて欲しいです」

蓮がそう伝えると、片方の兵士がゴルジアスに依頼してくれることとなった。

蓮が王の元へ向かおうとすると、迷うことを想定して兵士から案内を申し出られたが、気配探知を広げれば問題なく王を捕捉できたため、断った。

リルを連れ、通路を歩き、たどり着いた厳格な大きな扉のある部屋。

フェリクスと同じような鎧と剣を身につけた騎士が扉の両側に3人ずつ。
立ち居振る舞いで客室前の兵士よりも格段に強いことが分かる。
おそらく王を守るための精鋭部隊なのだろう。

蓮が近づくと、騎士達は同時に一礼をし、扉を開いた。
どうやら王からそう命じられていたようだ。

「おお。よく来た。こっちに来て座ってくれ」

小さなテーブルとそれを囲むソファ。
部屋に入ると王と見知らぬ人族の男性が座っていた。

鋭い眼光に隙がない重心の位置。
左目を眼帯で覆っており、グランよりも少し背が高く体格も良い。
風貌からして強そうだ。

蓮を見るとその男は立ち上がり、互いに強さを探るように視線を逸らさずに会釈してから席に着く。

王と男が並んでソファに座り、リルは蓮の座るソファの後ろに伏した。

「この者は、レグナムの冒険者ギルドの本部の最高責任者じゃ」

「シリウス・クリーガーだ。よろしく頼む」

蓮も名乗り挨拶をすると、グランから受けている報告に相違ないかの確認が行われた。
闇病あんびょうのマンティコア。
殺奪さつだつのゴブリンキング。
傀儡かいらいのゴブリンロード。

それぞれ状況や経緯などを簡単に説明。
概ねグランとの報告と一致したため、問題なく話は進み、既存のカードと引き換えに、蓮と桜用のSランクと記された冒険者ギルドカードを受け取った。

世界で数名程度しかおらず、その強さはAランクとは別格にして別次元。
Sランク冒険者はグランやシリウスと同等。
なかには四魔帝テトラゴーノンに匹敵るする者もいるそうだ。

戦争や魔物の襲撃など緊急時には国の助力にならなくてはならない。
その代わりに、騎士団長と同等かそれ以上の発言権を与えられているそうだ。

「そして、こっちがヒマワリ殿用の身分証じゃ」

冒険者ギルドのカードと同じ大きさだが、竜の模様の焼き印が施されており王家の名前が記されている。

「我が名の庇護下ひごかにあることを示すものじゃ」

王が招いた他国の王族や上級貴族などにのみ発行される特例中の特例の身分証。
それを向日葵が冒険者ギルドに登録して身分証を手に入れるまで使用可能にしてくれるそうだ。

「先ほど伝えたが、揉め事を防いだり、ヒマワリ殿を守るためのもので、懐柔するためのものではない」

蓮はその言葉を信じ受け取った。

「ふむ。あとはポーションに関してじゃな」

王がそういうと、シリウスは現在、ポーションの契約内容をグランに確認している最中であると説明。
書類が整い次第、契約を交わすこととなった。

「ふむ。では話しはここまで。レン殿に少し聞きたいことがあるのじゃが……」

話しが終わり、部屋を出れるのかと思ったがどうやら他にも何かあるようだ。
王の表情は真剣。
取り入るためのコミュニケーションか。
それとも何かの勧誘か。
はたまた個人的な取引か。

蓮は元居た世界で、両親が事故死した時の保険金目当ての親戚や銀行から様々な話しを持ち掛けられたことを思い出し身構えた。
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