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異世界生活:王都レグナム編
フェリクス・エアハルト
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王とシリウスとの話が終わり、部屋を後にした蓮。
蓮たちが王に初めに当てがわれた部屋は今夜女子会に使われる。
そのため王が別室を用意してくれた。
自主訓練をしている存在が格好良いフェリクスの様子を見に行くことにした。
「ねぇリル。リルから見てフェリクスさんってどう?」
蓮はまだフェリクスを鑑定していない。
王の話では、世界大会での戦歴は良くない。
しかし、グランやシリウスほどの強さは感じなかったが、蓮には、フェリクスが人族の中ではかなり強い部類に見えた。
「まだわからぬが、覚悟の差はありそうじゃな」
リルが言うには、グランやシリウスからは死ぬ覚悟と相手を殺す覚悟が感じられたそうだ。
グランであれば街を守るため。シリウスであれば王を守るため。
フェリクスからもそれが感じられるところはあったが、グランやシリウスと比べると、どこか覚悟が弱い気がしたそうだ。
「リルは凄いね」
いつも蓮に教えているように、数値で判断するのではなく、佇まいや振る舞いから弱さを見抜いている。
「リル先生。頼みましたよ」
蓮がそういうとリルは『な、なんじゃ気持ち悪い』と蓮の態度に気持ち悪そうにした。
しかし、尾がブンブンと大きく揺れているため悪い気はしていないようだ。
「ぼ、僕の時よりも優しくね!」
蓮はリルが鍛える時にやりすぎることを見越して軽く注意を促すと、リルは不適な笑みを浮かべ言葉にはしなかった。
登場初日。
この世界に来て最もイケメンのキャラクター。
妹の友人であり王女でもあるソフィリアが想いを寄せる騎士団長。
絶対に死なせるわけにはいかない。
「ぼ、僕が教えてみるよ!」
蓮はフェリクスを守るために、まずは自分が指導すると伝え、歩みを進めた。
「やっと着いたね」
昼に一度訪れた騎士団の訓練場。
蓮たちが最初に当てがわれたから最も遠い場所。
昼は綺麗な空が広がっていたが、今は宝石を散りばめたような星々が見える。
観覧席から、訓練場を見下ろすと、フェリクスが剣を振っているのが見えた。
あちこちに輝き草があり、夜でも明るく照らされているため、良く見える。
「お疲れ様です」
「レ、レン殿!?」
蓮とリルが訓練場におりて声をかけると、気配を察知できていなかったフェリクスが驚き振り返った。
驚く表情すらもイケメンだ。
「何やら必死みたいだね」
蓮がそう言うとフェリクスは3ヶ月先にある世界大会で結果を出すために、自主訓練をしていると答えた。
その表情からは、必死さや焦り、不安など様々な感情が読み取れた。
「王からフェリクスさんを鍛えるように言われたんだけど、差し支えなければ明日から稽古をつけましょうか?」
王の依頼とはいえ、本人が望まなければ意味がない。
蓮は騎士団長としてのプライドに配慮しながら尋ねると、フェリクスは待ち望んだかのように『ぜひお願いします!』と間髪入れずに答えた。
ゲイルとは違い、無用なプライドを持ち合わせていない。
蓮は迷いのなさに好感を抱いた。
そして、同時に必ず優勝させようと決めた。
「失礼ですが、鑑定しても良いですか?」
蓮がそう言うとフェリクスは鑑定のスキルを有することへ驚いた後、ゆっくりと頷いた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【フェリクス・エアハルト Level:98 人族♂ 20歳】
HP:13425 / 13425
MP:2011 / 2011
SP:8253 / 9086
筋力:1524 攻撃力:2324
耐久:1568 防御力:2268
知力:1026 魔力:1176
抵抗:1398 抵抗力:1898
敏捷:1161
器用:565
幸運:631
【スキル】
剣術Lv6、武術Lv4、体術Lv5、剣技Lv2、闘気制御Lv2、魔力強化Lv2、身体強化Lv5、迷心Lv3、危険察知Lv3、気配察知Lv2、
水魔法Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv3、氷魔法Lv1、雷魔法Lv3、光魔法Lv3、支援魔法Lv2
【属性】
水Lv1、火Lv1、風Lv4、氷Lv2、雷Lv4、光Lv3 、支援Lv3
【状態】
迷心Lv3
【装備】
名剣グラム、騎士団長の鎧、体力の首飾り
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
蓮はステータスを確認して驚いた。
剣聖級と言われた蓮の初期ステータスと同等程度の数値が並んでいる。
初めてみる【状態】という項目。
おそらく今の思い詰めている状態を示しているのだろう。
しかし、最も衝撃的だったのは年齢だ。
「20歳なの!?少し上くらいと思ってたんだけど!?」
日本人に比べるとこの世界の住人は大人びている。
蓮はグリーデンでグランの年齢詐欺にあって時のことを思い出した。
フェリクスから逆算するとソフィリアは16歳から17歳。
桜と同じ年齢であることへの安心と、あまりにも下だったフェリクスの年齢への驚きで騒がしい脳内を落ち着かせ、蓮は話を進めた。
「フェリクスさんの世界大会での戦績をお伺いしても?」
蓮の問いにフェリクスは言いにくそうに、悔しそうに答えた。
「3回出場し、初戦敗退が2回、二回戦敗退が1回です……』
出場者は各地域ごとで2人。
合計12人でのトーナメント。
昨年の4位以上のものがシード枠。
それ以下の者が初戦を戦い、勝てば二回戦でシード枠と当たる。
「敗因は?」
蓮が尋ねると、フェリクスは言い訳のせずに言葉短く『実力不足です』とだけ答えた。
しかし、蓮にはどうもそれだけには思えなかった。
リルの言葉を思い出し、視線を移すと、リルの顔には『さっさと戦え』と書いてある。
蓮がやらなければ、リルがフェリクスを鍛えることになる。
それはおそらく、死に直結するといっても過言ではないだろう。
「とりあえず、戦ってみましょうか」
蓮は、にこやかな表情のまま闘気を滲み出し、フェリクスの気を引き締めさせた。
蓮からすると意図的に気持ちを高ぶらせた程度だが、フェリクスには十分すぎる脅威となり息をのませた。
優しいフェリクスであれば、けがを心配し、木剣を用意するところだが、圧倒的な戦力差を察知。
自身が蓮に配慮の言葉をかけることすらおこがましいと判断。
「胸をお借りします」
フェリクスはそう言い、腰に携えていた名剣グラムを抜き、構えた。
隙のない良い構え。
一転に集中せずに全体をぼんやりと見るような視線。
どの方向へも瞬時に移動できる重心の位置。
落ち着いた呼吸。
総合的に見て、かなりの腕だ。
蓮が総合評価を終えると同時に、フェリクスは真正面へと踏み込み、右から左へと剣を薙ぎ払った。
通常であれば瞬きをするほどの刹那の時。
しかし、人外級のステータスを有し、複数の特別指定討伐対象を屠った蓮にはスローモーションのように見えた。
回避のしにくい横の薙ぎ払い。
狙いは良い。
ぎりぎりまで引き付けて躱そうかな。
ん?なんだか遅くなった?
力を抜いている……いや、躊躇っている?
これが迷心の症状なのかも。
それなら……。
蓮はフェリクスの踏み込みから剣が到達するまでの1秒程度の間に観察と対処法を考え終えた。
視線も姿勢も崩さないまま、剣道で身に着けた察知のされにくい歩法で滑るように前方へと移動。
フェリクスが薙ぎ払おうとしている剣の柄を握り、捻りを咥えながら奪い、弧を描くように剣先を走らせてフェリクスの首へと添えた。
あまりの速さに何が起きたか分からないまま、フェリクスは『ま、参りました』と言葉にした。
蓮たちが王に初めに当てがわれた部屋は今夜女子会に使われる。
そのため王が別室を用意してくれた。
自主訓練をしている存在が格好良いフェリクスの様子を見に行くことにした。
「ねぇリル。リルから見てフェリクスさんってどう?」
蓮はまだフェリクスを鑑定していない。
王の話では、世界大会での戦歴は良くない。
しかし、グランやシリウスほどの強さは感じなかったが、蓮には、フェリクスが人族の中ではかなり強い部類に見えた。
「まだわからぬが、覚悟の差はありそうじゃな」
リルが言うには、グランやシリウスからは死ぬ覚悟と相手を殺す覚悟が感じられたそうだ。
グランであれば街を守るため。シリウスであれば王を守るため。
フェリクスからもそれが感じられるところはあったが、グランやシリウスと比べると、どこか覚悟が弱い気がしたそうだ。
「リルは凄いね」
いつも蓮に教えているように、数値で判断するのではなく、佇まいや振る舞いから弱さを見抜いている。
「リル先生。頼みましたよ」
蓮がそういうとリルは『な、なんじゃ気持ち悪い』と蓮の態度に気持ち悪そうにした。
しかし、尾がブンブンと大きく揺れているため悪い気はしていないようだ。
「ぼ、僕の時よりも優しくね!」
蓮はリルが鍛える時にやりすぎることを見越して軽く注意を促すと、リルは不適な笑みを浮かべ言葉にはしなかった。
登場初日。
この世界に来て最もイケメンのキャラクター。
妹の友人であり王女でもあるソフィリアが想いを寄せる騎士団長。
絶対に死なせるわけにはいかない。
「ぼ、僕が教えてみるよ!」
蓮はフェリクスを守るために、まずは自分が指導すると伝え、歩みを進めた。
「やっと着いたね」
昼に一度訪れた騎士団の訓練場。
蓮たちが最初に当てがわれたから最も遠い場所。
昼は綺麗な空が広がっていたが、今は宝石を散りばめたような星々が見える。
観覧席から、訓練場を見下ろすと、フェリクスが剣を振っているのが見えた。
あちこちに輝き草があり、夜でも明るく照らされているため、良く見える。
「お疲れ様です」
「レ、レン殿!?」
蓮とリルが訓練場におりて声をかけると、気配を察知できていなかったフェリクスが驚き振り返った。
驚く表情すらもイケメンだ。
「何やら必死みたいだね」
蓮がそう言うとフェリクスは3ヶ月先にある世界大会で結果を出すために、自主訓練をしていると答えた。
その表情からは、必死さや焦り、不安など様々な感情が読み取れた。
「王からフェリクスさんを鍛えるように言われたんだけど、差し支えなければ明日から稽古をつけましょうか?」
王の依頼とはいえ、本人が望まなければ意味がない。
蓮は騎士団長としてのプライドに配慮しながら尋ねると、フェリクスは待ち望んだかのように『ぜひお願いします!』と間髪入れずに答えた。
ゲイルとは違い、無用なプライドを持ち合わせていない。
蓮は迷いのなさに好感を抱いた。
そして、同時に必ず優勝させようと決めた。
「失礼ですが、鑑定しても良いですか?」
蓮がそう言うとフェリクスは鑑定のスキルを有することへ驚いた後、ゆっくりと頷いた。
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【フェリクス・エアハルト Level:98 人族♂ 20歳】
HP:13425 / 13425
MP:2011 / 2011
SP:8253 / 9086
筋力:1524 攻撃力:2324
耐久:1568 防御力:2268
知力:1026 魔力:1176
抵抗:1398 抵抗力:1898
敏捷:1161
器用:565
幸運:631
【スキル】
剣術Lv6、武術Lv4、体術Lv5、剣技Lv2、闘気制御Lv2、魔力強化Lv2、身体強化Lv5、迷心Lv3、危険察知Lv3、気配察知Lv2、
水魔法Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv3、氷魔法Lv1、雷魔法Lv3、光魔法Lv3、支援魔法Lv2
【属性】
水Lv1、火Lv1、風Lv4、氷Lv2、雷Lv4、光Lv3 、支援Lv3
【状態】
迷心Lv3
【装備】
名剣グラム、騎士団長の鎧、体力の首飾り
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蓮はステータスを確認して驚いた。
剣聖級と言われた蓮の初期ステータスと同等程度の数値が並んでいる。
初めてみる【状態】という項目。
おそらく今の思い詰めている状態を示しているのだろう。
しかし、最も衝撃的だったのは年齢だ。
「20歳なの!?少し上くらいと思ってたんだけど!?」
日本人に比べるとこの世界の住人は大人びている。
蓮はグリーデンでグランの年齢詐欺にあって時のことを思い出した。
フェリクスから逆算するとソフィリアは16歳から17歳。
桜と同じ年齢であることへの安心と、あまりにも下だったフェリクスの年齢への驚きで騒がしい脳内を落ち着かせ、蓮は話を進めた。
「フェリクスさんの世界大会での戦績をお伺いしても?」
蓮の問いにフェリクスは言いにくそうに、悔しそうに答えた。
「3回出場し、初戦敗退が2回、二回戦敗退が1回です……』
出場者は各地域ごとで2人。
合計12人でのトーナメント。
昨年の4位以上のものがシード枠。
それ以下の者が初戦を戦い、勝てば二回戦でシード枠と当たる。
「敗因は?」
蓮が尋ねると、フェリクスは言い訳のせずに言葉短く『実力不足です』とだけ答えた。
しかし、蓮にはどうもそれだけには思えなかった。
リルの言葉を思い出し、視線を移すと、リルの顔には『さっさと戦え』と書いてある。
蓮がやらなければ、リルがフェリクスを鍛えることになる。
それはおそらく、死に直結するといっても過言ではないだろう。
「とりあえず、戦ってみましょうか」
蓮は、にこやかな表情のまま闘気を滲み出し、フェリクスの気を引き締めさせた。
蓮からすると意図的に気持ちを高ぶらせた程度だが、フェリクスには十分すぎる脅威となり息をのませた。
優しいフェリクスであれば、けがを心配し、木剣を用意するところだが、圧倒的な戦力差を察知。
自身が蓮に配慮の言葉をかけることすらおこがましいと判断。
「胸をお借りします」
フェリクスはそう言い、腰に携えていた名剣グラムを抜き、構えた。
隙のない良い構え。
一転に集中せずに全体をぼんやりと見るような視線。
どの方向へも瞬時に移動できる重心の位置。
落ち着いた呼吸。
総合的に見て、かなりの腕だ。
蓮が総合評価を終えると同時に、フェリクスは真正面へと踏み込み、右から左へと剣を薙ぎ払った。
通常であれば瞬きをするほどの刹那の時。
しかし、人外級のステータスを有し、複数の特別指定討伐対象を屠った蓮にはスローモーションのように見えた。
回避のしにくい横の薙ぎ払い。
狙いは良い。
ぎりぎりまで引き付けて躱そうかな。
ん?なんだか遅くなった?
力を抜いている……いや、躊躇っている?
これが迷心の症状なのかも。
それなら……。
蓮はフェリクスの踏み込みから剣が到達するまでの1秒程度の間に観察と対処法を考え終えた。
視線も姿勢も崩さないまま、剣道で身に着けた察知のされにくい歩法で滑るように前方へと移動。
フェリクスが薙ぎ払おうとしている剣の柄を握り、捻りを咥えながら奪い、弧を描くように剣先を走らせてフェリクスの首へと添えた。
あまりの速さに何が起きたか分からないまま、フェリクスは『ま、参りました』と言葉にした。
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◇
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よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
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