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異世界生活:王都レグナム編
自殻の突破:エクステスタ②
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それぞれの訓練を終え、しばしの休憩。
支度を整えて食事のために大広間へとやってきた。
昨晩とほぼ同様の並び。
昨晩同様に豪華な食事。
しかし、雰囲気は異なる。
礼儀正しくなったゲイル。
訓練での昂りが冷めぬのか言葉数の多いソフィリア。
ソフィリアとフェリクスの関係を気にしているのか、フェリクスにやや当たりのきついウォルスタッド王。
なんとも気まずい食卓だ。
「ユグちゃん!あれも!」
そんなことを気にせず、向日葵は食べてはユグドラシルに新しい料理を取り分けるように言う。
「あれもじゃなくて、あれ取ってくださいって言おうね」
聞いていた蓮は言葉遣いを丁寧にするように伝える。
ユグドラシルは全く気にせず、微笑みを浮かべたままローストビーフのように調理された魔物肉を向日葵のさらに取り分けた。
「ありがとごじゃまふ」
向日葵はよほど空腹だったのか、ユグドラシルに感謝を伝える途中に食べ始めた。
その愛らしい光景にユグドラシルの表情はより一層緩んだ。
「いっぱい食べて偉いね」
桜が向日葵の頭を撫でると向日葵は『ひぃちゃんね。ゴリジロウさんのおりょうりすき』と言いながらゴルジアスに親指を立てた。
見ていたゴルジアスは親指を立てて『しっかり食えよ』と答え、副料理長で妻のカロリーネに『失礼だろ!』と怒られた。
「ゴルジアスさんね。ゴルジアスさん。あと、親指立てないの。ペコってしときな。ぺこって」
「ぺこぉ」
蓮の指摘を聞き、向日葵がゴルジアスを見てにこやかに会釈をする。
言葉にはしなくて良いのだが、それを見ていたゴルジアスの表情はデレデレと崩れたため、良しとしよう。
その横で蓮も謝罪を口して会釈をすると、カロリーネはまるで推しに向けるかのような明るい笑顔で『お気になさらないでください』と答えた。
どうやら朝食を桜たちがいる部屋へと運ばせたことで、かなり気に入られたようだ。
カロリーネの横でゴルジアスの表情が見る間に怒りと憎しみに染まってゆき、とても怖い。
気まずくなり話しを逸らそうと蓮が周囲を見ると、ほかの者は別のことが気になり食事が止まっている。
精霊に指示を出す幼女。
幸せそうに指示を聞く精霊。
旺盛な食欲をそのままに食べ続けているフェンリルと人型の竜。
昨晩も目にしたが、なんとも異様な光景だ。
王が咳払いをしてから話し、時を動かす。
「それにしても今日は凄かったのう。レン殿にもユグドラシル様にもなんと感謝をお伝えすれば良いか」
王は訓練を振り返り、賞賛と感謝を口にした。
それを聞き、皆一様に会釈で感謝を示した。
そして王は、明日以降も空き時間に訓練をつけてほしいことや、それぞれの改善点を指導してほしいと言葉を続けた。
「時間が合う時で良ければ」
蓮は、冒険者ギルドや武器屋、教会や出店など行きたいところがあることを説明した。
「指南代として、観光時の買い物は全て国が負担しよう」
そう言い王がフェリクスを見ると、フェリクスは『はっ!』と短く答えた。
おそらく、支払いと案内人の命を察したのだろう。
「それは国民からの血税でしょ?国民が納得しないのでは?」
蓮の言葉に王は目を丸くした。
「昨晩の話しでも気になったが、レン殿は政治の知識もあるのだな」
自身が的外れなことを言っているのではないかと不安やっていると、王が驚いた理由を口にした。
「政治の知識ってほどではないですが、僕のいた国では悪政が横行していて国民は怒り心頭だったので、少し気になっただけです」
そして蓮は『還元のない搾取では、愛国心は生まれませんからね』と出身国での経験を語った。
「また話したいことが増えてしもうたな」
今まで王のやることに異を唱える者は皆無。
聞けば提案をしてくるのが関の山。
王は何をすれば国民が潤うのか、どうすれば国が八連するのか。
今の制度や組織体系などを日々考えるが、改善に向けての名案はなかなか生まれなかった。
蓮は政治に深く関わると碌なことがないと考えているため『それも、時間が会う時であれば』と濁す。
「お父様。食事の席で小難しい話しはしない約束では?」
「う、うむ。そうじゃったな。すまぬ」
純粋に会食を楽しみたいソフィリアが話を切る。
ふいに訪れた沈黙。
空気を変えるべく口を開いたのは意外にもシュバルツ。
「おい、フェリクス。もうステータスは確認したのか?」
「いえ、まだです。後ほど確認しようと思っていました」
シュバルツは、フェリクスの自殻の突破後のステータスが気になり、誰かの鑑定や識別玉などでステータスを確認したのかを聞いた。
まだ未確認のようだ。
「かなり上がってることは見んでもわかるがな」
シュバルツ越しにノームがフェリクスに言う。
その言葉にアクアと蓮は頷いた。
「フェリクスよ。食事後にこの場で確認してはどうじゃ?」
「はっ!問題ありません!」
ウォルスタッド王自身も変化が気になることと、ほかにも気にしているものが多くいることを察しての提案。
ドラコとリルは、そんな話しを気にすることもなく旺盛な食欲をそのままに食べ続けた。
スピー……。
スピー……。
食後。
向日葵は昼寝をしていなかったことと、満腹になったことでリルに包まれながら寝てしまった。
愛らしい寝息をBGMに、フェリクスの変化についてを確認する。
テーブルに用意された識別玉にフェリクスが魔素を流し込むとステータスが浮かび上がった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【フェリクス・エアハルト Level:127 人族♂ 20歳】
HP:21232 / 21232
MP:6530 / 6530
SP:13205 / 13205
筋力:2242 攻撃力:3042
耐久:2198 防御力:2348
知力:1336 魔力:1486
抵抗:1799 抵抗力:1949
敏捷:1941
器用:996
幸運:631
【スキル】
剣術Lv8、武術Lv5、体術Lv6、剣技Lv4、闘気制御Lv5、魔力強化Lv3、身体強化Lv8、危険察知Lv5、気配察知Lv4
水魔法Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv3、氷魔法Lv1、雷魔法Lv3、光魔法Lv3、支援魔法Lv3
【属性】
水Lv1、火Lv1、風Lv4、氷Lv2、雷Lv4、光Lv3 、支援Lv3
【装備】
名剣グラム、正装、体力の首飾り
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フェリクスのステータスを見て、王やソフィリアなど苦悩を知る者は喜び、フェリクスに祝福の言葉を送った。
同格の騎士団長たちは気持ちがよく、悔しがりながらも、同様に祝福を送る。
四魔帝は急成長に危機感を覚えながら、自身らの魔法能力の高さに縋るように、まだ負けてはいないと自己肯定の念を込めながら、これからも励むように伝えた。
「迷心が消えてる……。それで急成長したのかな」
蓮は昨晩はあった状態という項目とそこに書かれた迷心Lv3が消えていることに気が付いた。
「でもなんで消えたんだろう……」
「そんなこともあるんだね」
蓮が考えながら訓練場での出来事を思い返した。
「あっ!」
蓮と桜は同時に言葉にし、リルに包まれている向日葵を見た。
向日葵の癒しLv10が炸裂したのではないか。
二人の考えは一致した。
おそらくリルの言葉が響き、迷心を和らげ、向日葵の癒しLv10が吹き飛ばしたのだろう。
「ん?何か思い当たることでもあったのか?」
蓮と桜の反応を見て、王も向日葵へと視線を向けようとする。
しかし、向日葵が面倒ごとに巻き込まれることを懸念し、蓮と桜は『きっとリルの言葉が響いたんです』と言葉にした。
「た、たしかに。あの時、頂いた言葉が頭の中で何度も響き渡り、迷いが晴れていくのを感じました」
「ほう。これはまた凄いことも起きるものじゃな。さすがは伝説のフェンリルたるリル殿の言葉じゃ」
向日葵から意識が逸れるのを感じ、蓮は申し訳なさを胸にダメ押しの言葉を発した。
「そ、そうですね!リルは本当にすごいなぁ!後は大切な王女様の声援の効果かな!」
蓮の言葉でソフィリアは耳まで赤くなり、下を向いた。
フェリクスは恥ずかしさのあまり否定しそうになるが、愛するソフィリアの声援を否定するわけにもいかないため、黙り込んでしまった。
その二人の雰囲気に耐えかねたウォルスタッドは『レン殿。今後はもっと過激な訓練を頼む』と父親として未熟な気持ちを言葉にした。
支度を整えて食事のために大広間へとやってきた。
昨晩とほぼ同様の並び。
昨晩同様に豪華な食事。
しかし、雰囲気は異なる。
礼儀正しくなったゲイル。
訓練での昂りが冷めぬのか言葉数の多いソフィリア。
ソフィリアとフェリクスの関係を気にしているのか、フェリクスにやや当たりのきついウォルスタッド王。
なんとも気まずい食卓だ。
「ユグちゃん!あれも!」
そんなことを気にせず、向日葵は食べてはユグドラシルに新しい料理を取り分けるように言う。
「あれもじゃなくて、あれ取ってくださいって言おうね」
聞いていた蓮は言葉遣いを丁寧にするように伝える。
ユグドラシルは全く気にせず、微笑みを浮かべたままローストビーフのように調理された魔物肉を向日葵のさらに取り分けた。
「ありがとごじゃまふ」
向日葵はよほど空腹だったのか、ユグドラシルに感謝を伝える途中に食べ始めた。
その愛らしい光景にユグドラシルの表情はより一層緩んだ。
「いっぱい食べて偉いね」
桜が向日葵の頭を撫でると向日葵は『ひぃちゃんね。ゴリジロウさんのおりょうりすき』と言いながらゴルジアスに親指を立てた。
見ていたゴルジアスは親指を立てて『しっかり食えよ』と答え、副料理長で妻のカロリーネに『失礼だろ!』と怒られた。
「ゴルジアスさんね。ゴルジアスさん。あと、親指立てないの。ペコってしときな。ぺこって」
「ぺこぉ」
蓮の指摘を聞き、向日葵がゴルジアスを見てにこやかに会釈をする。
言葉にはしなくて良いのだが、それを見ていたゴルジアスの表情はデレデレと崩れたため、良しとしよう。
その横で蓮も謝罪を口して会釈をすると、カロリーネはまるで推しに向けるかのような明るい笑顔で『お気になさらないでください』と答えた。
どうやら朝食を桜たちがいる部屋へと運ばせたことで、かなり気に入られたようだ。
カロリーネの横でゴルジアスの表情が見る間に怒りと憎しみに染まってゆき、とても怖い。
気まずくなり話しを逸らそうと蓮が周囲を見ると、ほかの者は別のことが気になり食事が止まっている。
精霊に指示を出す幼女。
幸せそうに指示を聞く精霊。
旺盛な食欲をそのままに食べ続けているフェンリルと人型の竜。
昨晩も目にしたが、なんとも異様な光景だ。
王が咳払いをしてから話し、時を動かす。
「それにしても今日は凄かったのう。レン殿にもユグドラシル様にもなんと感謝をお伝えすれば良いか」
王は訓練を振り返り、賞賛と感謝を口にした。
それを聞き、皆一様に会釈で感謝を示した。
そして王は、明日以降も空き時間に訓練をつけてほしいことや、それぞれの改善点を指導してほしいと言葉を続けた。
「時間が合う時で良ければ」
蓮は、冒険者ギルドや武器屋、教会や出店など行きたいところがあることを説明した。
「指南代として、観光時の買い物は全て国が負担しよう」
そう言い王がフェリクスを見ると、フェリクスは『はっ!』と短く答えた。
おそらく、支払いと案内人の命を察したのだろう。
「それは国民からの血税でしょ?国民が納得しないのでは?」
蓮の言葉に王は目を丸くした。
「昨晩の話しでも気になったが、レン殿は政治の知識もあるのだな」
自身が的外れなことを言っているのではないかと不安やっていると、王が驚いた理由を口にした。
「政治の知識ってほどではないですが、僕のいた国では悪政が横行していて国民は怒り心頭だったので、少し気になっただけです」
そして蓮は『還元のない搾取では、愛国心は生まれませんからね』と出身国での経験を語った。
「また話したいことが増えてしもうたな」
今まで王のやることに異を唱える者は皆無。
聞けば提案をしてくるのが関の山。
王は何をすれば国民が潤うのか、どうすれば国が八連するのか。
今の制度や組織体系などを日々考えるが、改善に向けての名案はなかなか生まれなかった。
蓮は政治に深く関わると碌なことがないと考えているため『それも、時間が会う時であれば』と濁す。
「お父様。食事の席で小難しい話しはしない約束では?」
「う、うむ。そうじゃったな。すまぬ」
純粋に会食を楽しみたいソフィリアが話を切る。
ふいに訪れた沈黙。
空気を変えるべく口を開いたのは意外にもシュバルツ。
「おい、フェリクス。もうステータスは確認したのか?」
「いえ、まだです。後ほど確認しようと思っていました」
シュバルツは、フェリクスの自殻の突破後のステータスが気になり、誰かの鑑定や識別玉などでステータスを確認したのかを聞いた。
まだ未確認のようだ。
「かなり上がってることは見んでもわかるがな」
シュバルツ越しにノームがフェリクスに言う。
その言葉にアクアと蓮は頷いた。
「フェリクスよ。食事後にこの場で確認してはどうじゃ?」
「はっ!問題ありません!」
ウォルスタッド王自身も変化が気になることと、ほかにも気にしているものが多くいることを察しての提案。
ドラコとリルは、そんな話しを気にすることもなく旺盛な食欲をそのままに食べ続けた。
スピー……。
スピー……。
食後。
向日葵は昼寝をしていなかったことと、満腹になったことでリルに包まれながら寝てしまった。
愛らしい寝息をBGMに、フェリクスの変化についてを確認する。
テーブルに用意された識別玉にフェリクスが魔素を流し込むとステータスが浮かび上がった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【フェリクス・エアハルト Level:127 人族♂ 20歳】
HP:21232 / 21232
MP:6530 / 6530
SP:13205 / 13205
筋力:2242 攻撃力:3042
耐久:2198 防御力:2348
知力:1336 魔力:1486
抵抗:1799 抵抗力:1949
敏捷:1941
器用:996
幸運:631
【スキル】
剣術Lv8、武術Lv5、体術Lv6、剣技Lv4、闘気制御Lv5、魔力強化Lv3、身体強化Lv8、危険察知Lv5、気配察知Lv4
水魔法Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv3、氷魔法Lv1、雷魔法Lv3、光魔法Lv3、支援魔法Lv3
【属性】
水Lv1、火Lv1、風Lv4、氷Lv2、雷Lv4、光Lv3 、支援Lv3
【装備】
名剣グラム、正装、体力の首飾り
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フェリクスのステータスを見て、王やソフィリアなど苦悩を知る者は喜び、フェリクスに祝福の言葉を送った。
同格の騎士団長たちは気持ちがよく、悔しがりながらも、同様に祝福を送る。
四魔帝は急成長に危機感を覚えながら、自身らの魔法能力の高さに縋るように、まだ負けてはいないと自己肯定の念を込めながら、これからも励むように伝えた。
「迷心が消えてる……。それで急成長したのかな」
蓮は昨晩はあった状態という項目とそこに書かれた迷心Lv3が消えていることに気が付いた。
「でもなんで消えたんだろう……」
「そんなこともあるんだね」
蓮が考えながら訓練場での出来事を思い返した。
「あっ!」
蓮と桜は同時に言葉にし、リルに包まれている向日葵を見た。
向日葵の癒しLv10が炸裂したのではないか。
二人の考えは一致した。
おそらくリルの言葉が響き、迷心を和らげ、向日葵の癒しLv10が吹き飛ばしたのだろう。
「ん?何か思い当たることでもあったのか?」
蓮と桜の反応を見て、王も向日葵へと視線を向けようとする。
しかし、向日葵が面倒ごとに巻き込まれることを懸念し、蓮と桜は『きっとリルの言葉が響いたんです』と言葉にした。
「た、たしかに。あの時、頂いた言葉が頭の中で何度も響き渡り、迷いが晴れていくのを感じました」
「ほう。これはまた凄いことも起きるものじゃな。さすがは伝説のフェンリルたるリル殿の言葉じゃ」
向日葵から意識が逸れるのを感じ、蓮は申し訳なさを胸にダメ押しの言葉を発した。
「そ、そうですね!リルは本当にすごいなぁ!後は大切な王女様の声援の効果かな!」
蓮の言葉でソフィリアは耳まで赤くなり、下を向いた。
フェリクスは恥ずかしさのあまり否定しそうになるが、愛するソフィリアの声援を否定するわけにもいかないため、黙り込んでしまった。
その二人の雰囲気に耐えかねたウォルスタッドは『レン殿。今後はもっと過激な訓練を頼む』と父親として未熟な気持ちを言葉にした。
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