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Ⅰ ヒロイン、俺。
005: ヒロイン、俺。
しおりを挟む「魔王復活‥敵は相当強そうですね。でもお二人なら倒せるのではないですか?なにせお二人とも相当にお強いですから」
俺のセリフに二人がびくんと反応した。強いという自覚はあるようだ。褒められて心なしか嬉しそう?俺のセリフだから尚更だろう。その自尊心にたたみかける。一気に落としに行くぞ!
「お二人が力を合わせれば倒せない敵はいません!今こそ魔王討伐に旅立つ時です!俺の住むこの世界救ってください!」
そして非戦闘員の俺は留守番だ。とてもじゃないがゴリラのようなこいつらと一緒に戦うとか無理だし。俺は安全な王都から二人の戦いを高みの見物だ。
そんな俺の醸し出す空気を読まない二人が俺に粘着してきた。
「いやだが!お前を置いて行けない!心配で討伐どころじゃないだろ?!」
「ルキアス様のおそばを離れるなんて考えられませんわ!」
「でしたら急いで倒してきてください。お二人ならすぐですよ」
そして俺はその間に身の振り方を考える!王子•聖女ルート消失!第三のルート、就活だ!
冗談じゃないがこんな怪物二人を相手になんてしてられるか!!
「ならばお前も一緒に来い!怖いことはない!お前のことは必ず守ってやる!俺の強さをお前にも見せてやれる!」
「そうですわ!ルキアス様が一緒でしたら安心して魔王軍を殲滅できましてよ!是非ご一緒に!」
いやいや?そんなん見たくないし?殲滅って?
3K(キツい!怖い!危険!)は嫌なんだよ!
もう俺のことはほっといてくれ!
「いえ、俺は全く!少しも!戦えません!お二人の足手纏いになるにちが」
「一緒に行ってくれるか!よし!そうとなればすぐに出立しよう!お前がいれば俺も安心だ!」
「いえ違います!ですから」
「ルキアス様嬉しい!張り切って参りましょう!」
俺の話を聞けよ難聴ども!!
この話の筋でどうしてそうなるんだよ!!
仕方ない。これは言いたくなかったが‥‥
言えば即クビな案件。だが戦場に行くこの二人のコバンザメはもはや無理だ。ならばここが暴露時だ。腹を括った俺はふぅとため息をついた。
「すみません‥‥お二人のお気持ちは嬉しいのですが‥‥俺には応えられません。これは誰にも言っていなかったのですが‥実は俺には心に決めた人がいます」
俺の発言に勇者と聖女が目をひん剥いて息を呑んでいる。「ルキアス」は女性関係に気を付けていたからそういう相手はいない。でも俺にとってはこれはデマカセでもない。
そう!俺には心に決めた嫁がもういる!
今朝出会った!自宅の姿見の中で!
初めて見た時にもう恋に落ちた。一目惚れだ!
俺(男)の容姿は超絶美形、神がかった神話級美少女なのだ。ほんのりピンクローズがかったゆるふわウェーブの長い白銀の髪に抜けるような青色燃焼の大きな瞳。ぷるんと潤った唇と愛らしい頬。小柄で華奢な体。化粧装飾なし!で無操作に後で髪を束ねて男子制服を着ていてもこの可憐さ!奇跡だ!マジ奇跡!
聖女も美少女ではあるが正直俺の足元にも及ばない。段違い!レベルが違う!次元が違う!俺の方がダントツ可愛い!そんな俺が聖女に落ちるはずもない!
俺のヒロイン、俺!俺の嫁、俺!
お前らもまあまあ美形だがその程度如きが俺の相手なんぞおこがましいわッ おとといきやがれこのヤローッ!俺は俺のもんだ!!
一応言っておくが、俺はナルシストではない。だってこの顔は俺の顔じゃない。この顔はきっと誰かのコピー、なぜこんなことになってるかわからんがそれだけはわかる。だからこの顔を持った美少女がこの世に存在する。その子が俺の真のヒロインだ!!
俺の激白をよそに部屋の中央に歩み寄った王子がいきなり抜刀した。げッ いきなり俺手打ちか?!と思ったがそうではないらしい。青白い光を放つ剣先は聖女に向けられている。一方聖女もいつの間にか杖のようなものを両手に持っていた。杖から白いオーラが見えた。
んんん?なんだこの展開?
「え?えええ?一体何を?」
「すぐに決着をつけるからそこで待っていろ」
「は?」
「どちらか強い方がルキアス様のお相手になれるわけですわね。絶対負けませんわ!」
「ええええええぇぇぇ?!」
は?誰が?いつ?そんなこと言った?
俺の話を聞けよ難聴ども!!(2回目)
この話の筋でどうしてそうなるんだよ!!(2回目)
と、さっきから気になっていたことを俺は王子に確認する。事実誤認があってはならない。
「あの‥一応確認ですが。俺男ですが殿下はよろしいのでしょうか?」
「全然構わない!ありのままのルキアスがいい!そんなことで俺の愛は失われないぞ!」
おおぅ!変態王子!懐が深いですがそこは気にして欲しかった!一方の聖女はにっこり微笑んでいる。この笑顔がどうも引っかかる。性格はおいといて、俺(男)に聖女(女)と問題がないはずなんだがどうも‥‥。本能がこの笑顔を拒絶する。出会った時と同じ悪寒が再び走った。
あれ?そういやさっき逆上した聖女が口走ってなかったっけ?
男なんて大嫌い‥的なことを?え?まさか?
その可能性に行き着いて俺が再び聖女を見やれば笑顔が黒く見えた。目が笑っていない。間違いない!俺の背中に再びぞわりと悪寒が走っている。俺の本能はこの聖女に出会った時からこいつの正体に気がついていたんだ!
この聖女!百合か!しかも面食いだ!そういや聖女の取り巻きって美少女ばっかりだったな!神話級美少女の俺には敵わないけど!!
この聖女は王子よりおそらく器が小さい。きっと聖女に寝返ったが最後、俺はずっと女装、更に最悪の展開も有り得る。冗談じゃないぞ!
学園モテモテ→BL→乙女ゲーム→ファンタジーで!ここに来て百合+中国宦官モノが出てくるとか!フラグ乱立!マルチエンディングか?もっと普通の!まともなルートないのかよ?!この世界、どんだけ引き出しがあんだ?!流石にもうないよな!!
俺を取り合っている王子と聖女がどっちも変態。
俺終わった。
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