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Ⅱ メガミ、俺。
014: メガミ、俺。
しおりを挟むいきなりなんだ?!強くなれ?とは?いわゆるレベルアップ?
「いやいや、ちょっと待って。強くなれってなんで?魔王って言われてるけど俺めちゃくちゃ弱いし?ホントに俺は魔王?」
『貴方は魔王で間違いないわ。私が貴方を魔王に選帝した』
「でも!」
『詳細は割愛するけど、ある‥‥‥事故のせいで貴方の能力は封じらた。今は一般の人族と同等の能力よ』
封じられた?魔王の俺が?
でもその封じが解ければ俺、強いんじゃないの?
「その封じは解けませんか?ダメ?そもそもその事故ってどんな?そこもっと詳しく」
『じ!じじ時間がないから!そこはおいおい記憶が戻るでしょ?!自分で思い出しなさいよ!でもその事故のせいで女神たる私は貴方に取り込まれたわけで』
「はぁぁ?!」
『今私は貴方の器の中にいるのよ』
嫁は俺の体中にいた。だから鏡越しで話ができるんだ。
だが俺の中に女神様がいる?取り込まれた?それって———
「え?それは‥‥‥俺が‥‥‥女神様を食ったと」
『神殺し』、魔王が神を殺した。英雄たちはそう言っていた。つまりはそういうことだ。青ざめる俺に鏡の美少女は頭を振った。
『違うわ。私の器は生きているけど精神体はここに封じられた。私の姿が貴方に表れているのがその証拠』
女神様が俺の体の中心を、心臓を指差した。
『でも貴方は私を取り込んだことで魔王が封じられた。女神の力が大きすぎるせい、この封で魔王の能力も器もリセットされた』
「リセット?俺リセット?!」
『今のその弱い器では取り込んだ私のスキルを使いこなすこともできないわね』
うーんと、つまり?要約すると?
俺、なんらかの事故で女神様取り込み→女神様の力が強過ぎて魔王封印の上初期化→色々弱体化で能力低過ぎて女神様のスキル使えず→結果ただの人。
うっわ、多重事故!運悪すぎる!女神様と魔王、俺の中に二人もいるのに最弱。最悪じゃん!
記憶喪失はこの封印のせい?
なんてこった。俺、魔王で女神様だった。なんかすげぇな。
『女神の力を使うには貴方が強くなる必要があるの。器も耐えられずこのままでは女神である私を切り離すこともできないわ』
「き?切り離す?」
『事故で貴方の器と私の精神が同一化したから。分離するには貴方の器の強化が必須なのよ』
強化?強くなれ?え?ええ?
ロープレでやるレベリングを俺もやれって?チキンな俺に無茶振りじゃん!これはゲームじゃないんだから!
大体俺、どんだけ弱いんだ?
「ち?ちなみに?俺のレベルは?」
『レベル、とは?』
「俺の強さを数字でいうことです。こっちにそういうのないのかな?あ、ひょっとしてあれできるかも?!出るかな?出るといいな!出ろ!ステータスオープン!」
‥‥‥‥‥‥‥‥
鼻息荒い俺に対し何も起こらない。部屋の静寂が痛い。女神様が残念そうにため息をついてポメが不思議そうに俺を見ている。
やってみたかったんだからいいじゃん!
そんな目で俺を見るのはやめろ!
『数字で表せと言うのなら、今の貴方は1ね』
女神様は無慈悲だった。現実突きつけてきたよ!
だよねーとほほー
俺、こんなにすごいのに!鬼畜のレベル1スタートかい!
「えー、ちなみに魔王だった頃の俺は?」
『4852』
「げ?!数字でか!あのー、差し支えなければ女神様の強さは」
『5128』
1と4852と5128。魔王と女神様の強さは近いってこと?でも数字がインフレしすぎて強さがよくわからない。指標が欲しいな。
「えーと、じゃあ勇者と聖女のレベルは?」
英雄二人の名を出してみたが女神様の反応は渋かった。
『勇者と聖女?誰それ?』
「人族で相当に強いやつです」
『人族で強い?居たかしら?あぁ、ひょっとして貴方を取り合ってたウザいあいつらのこと?302と297』
‥‥‥‥。よわ。
いやいや、一般人が一桁なんだから。三桁ってだけでも相当に強い。あいつら、俺比でゴリラみたいだったじゃないか!だが魔王と女神様の後だとへなちょこにしか聞こえない。魔王と女神様がバケモンなんだって!まあそのバケモン二人が封じられたレベル1の俺が言えた口じゃないんだが。
二人足したら9980なんだけどなー
なんか語呂いいな。特売みたいだ。
俺ホントにレベル1なん?
『基礎能力は高いままだから少し鍛えれば強くなるでしょう。耐性値、魔力能力値はそのままのようね』
「強くなれと言うのは具体的には‥」
『武力を上げるのが手っ取り早いわ。ひとまずどこかでモンスターでも倒してらっしゃい』
やはりバトルか。
レベル1の俺に結構鬼畜なことをおっしゃるなぁ
「えー、魔王の俺が魔族を倒すのはどうなんでしょうかねぇ?」
『貴方は魔王をなんだと思っていて?』
「はい?」
魔王とは?魔族の王様でしょ?
「魔王は‥‥魔族の王で人族の敵?人族を滅ぼそうとしているし」
『だいぶ違うわね。魔王は女神の代行者よ』
そして女神は俺に謳うように語った。
『魔王は女神が選帝する。選ばれし魔王は女神の命を受け女神の代わりに大地へ降り立ちこの魔の世界を安寧へと導く。人族はこの世界の一部に過ぎないわ』
魔族も人族も同じ世界に等しく生息する生命体。
それらを統べるのが魔の世界の王。ナルホド。
「つまり魔王は人族の敵ではない?」
『人族や魔族ではそう誤解されているようだけどそうではないわ。魔王はあくまでも中立。人族は成長が著しいため他族を殺め自然を破壊する。その勢いを弱め他魔族とのバランスを取るのが魔王の役割。必要とあれば魔王は人族の勢いを削るべく刃を向けるけど殺戮行為ではないわ。魔王の治める世界は自然と文明、両方が発展した調和の世界だから』
確かに。女神様に任命された魔王を倒そうとする人族の方が罰当たりなんじゃん?あれ?じゃあ俺、悪役じゃないのか。
だが魔王に課されたノルマは相当に難しいんですがね。人族含めた世界の安寧?この弱肉強食の世界で?無理無理、無茶言うよ。だが納得もいった。
女神の代行者、だから魔王は神の器を有している。
ポメが言っていたこととも一致している。
『魔族だから殺していい、人族だから守られる、そういうことはないわ。理に反するものは魔王によって等しく罰が下される。それが人族にとって理不尽なものであろうとも。もっと話したかったけどそろそろ時間切れね』
「え?時間切れ?!そんな!」
やっと会えたのに!動揺する俺をなだめるように女神様は微笑んだ。多分初めての、俺ではない彼女の笑みだ。
『大丈夫、また会えるわ。それまでに強くなって』
「待って!もっと話を!俺はどうすれば」
『全てはこの世界の理の元に、魔王である貴方が判断なさい』
そう言い残し、女神様は鏡の中から消えた。
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