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021:大精霊食育プロジェクト②
しおりを挟む大精霊たちの食育、それは表の意図。実はもう一つ朔弥には裏の意図があった。
自分で作った新鮮採れたての野菜の味を朔弥が覚える。そうすれば天地創造で作られる食材は全てそれになるんじゃね?という朔弥の煩悩まみれの策略だ。
料理の手法で旨くなるのは限界がある。さらにアップグレードするなら食材だろう。それならばまずは野菜だ。
だが畑の大規模化は望んでいない。手に負える範囲を超えている。
「ん?じゃあここだけを耕すんだな。楽勝じゃね?」
ニクスが話しながら一歩も動かずに片手でくわをぞんざいに振っている。地面が弾けて一面の土が耕されていく。最後に地面がふわふわと盛り上がって綺麗なうねができた。向きも南向きである。
「こんなもん?水田はいいのか?」
「‥‥‥‥米はまた今度」
「あそ。次!種蒔くぞ!」
「え?肥料は?土壌改良は?」
「あぁ?なんだそれ?いらねぇだろ。大地の恵みを信じろ!ファウナ!種もってこい!」
ニクスがバッサリ言い捨てる。今日は耕すだけで終わるだろうと種を準備していなかった。朔弥が慌てて種を作り出そうとしていたところでニクスがファウナを呼んで目を瞠った。樹木の大精霊ファウナがしずしずと歩み寄ってきた。
「陛下、どのような野菜をお望みでしょうか?」
「えっと?夏野菜ってわかる?」
「ナツ‥今まで料理に使われた野菜を中心に種を生成いたします。よろしいでしょうか?」
「あ、ああ、いいよ」
ファウナの全身が光を放った。手のひらに種の小山ができるたびにニクスが用意した黒い袋に種を入れていく。じゃがいもは小玉の種芋だ。
「トマト、レタス、きゅうり、なす、とうもろこし、枝豆、にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、大根、ほうれん草。他にございますか?」
「‥‥‥いや、こんなもんで」
朔弥が意図した夏野菜は含まれているが全体的には植える時期も収穫時期もバラバラだ。そこをニクスがぞんざいに言い放った。
「とりあえず全部蒔いてみるか」
「全部?!」
「別に地面空いてるし問題ねぇだろ?ルキナにヒカル、こっちこい。種蒔くぞ」
「おいおい、雑に撒くなよ?相性もあるだろうし?」
種まきはうねに対してばらつきなく間を開けてと本にはあったと記憶している。混在も不可だ。駆け寄ってきたちびっ子二人にニクスがニッと笑ってみせる。
「種まきはガキの仕事だ。これを持って走ってこい」
種が入っているであろう黒い袋からニクスが黒い紐を引っ張り出した。紐には細かく種がついていた。ちょうどいい間隔で紐に種がついてるのが見える。紐を持ったヒカルがうね沿いに走っていく。
「ニクス式種まきだ。便利だろ?紐は埋めれば闇に溶ける。これなら誰でも均等に種まきできる。ロスもない。これ、ガキどもに大人気だったんだぜ?トマトとバジルは交互に植えるのがいいんだ。そういうのもできるしな。あ、ファウナ、バジルのタネもくれ」
「‥‥‥‥」
朔弥はそれを知っている。見たことがあった。
「‥‥‥‥シーダーテープ」
「あ?なんだそれ?」
「いや、なんでもない」
思いの外闇の大精霊が農業に手慣れていた。場を仕切る監督ぶりも堂に入っている。アイディアも合理的でいい。あれは相当やりこんでいるとわかる。
クイーンオブ守護精霊‥なるほど上手いこと言うな。
ニクスがくわで地面を一突きすると、うねに這わされた紐に土がかぶさった。紐を這わす、土をかぶせる。それを繰り返せば種蒔き完了。
「次!水!ってヴァルナいなかったな。じゃあサクヤ!水!」
「おい!無茶言うなよ!」
「なんかやればできそうなんだがなぁ。ハンデで小精霊使っていいぜ?」
「小精霊を使う?」
ひどい無茶振りだ。朔弥がただそう思っただけ。呼んでさえいないのに秒で小精霊たちが駆けつけてきた。小精霊の大群の襲来。もう毎度おなじみの展開だ。
「水以外いらねって!」
「俺は属性指定で精霊呼べないんだよ!水の!集まれ!ハイ集合!」
朔弥が手を叩いて水の小精霊を整列されるも水以外の小精霊からブーイングが出た。最近水ばっかり使っているせいで不満が溜まっているようだ。
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