【完結】R18 オオカミ王子はウサギ姫をご所望です。

ユリーカ

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第一章 ウサギの攻防編

第十一話 ※※ それは聞いてない。

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「‥‥ノワ‥」

 袖のボタンを外しながら私の上に馬乗りになるアウル様がうっとりとした微笑みで私を見下ろしてきた。そのなんとも言えない色香にぞくりと背筋に震えが走る。

 今まで耳をいじられる度にアウル様に散々組み敷かれていたけど、今日はなんだか感じが違う。アウル様が私を見つめる視線が肉食獣か猛禽類のそれに思えた。

 上着を脱ぎ捨てたアウル様の上半身に目が奪われ、思わず息を呑んだ。初めて見た裸体は隈なくしなやかに筋肉がついていて腹筋は見事に割れている。けれども過剰な筋肉はどこにもない。
 獲物を追い詰めて狩るために纏う筋肉。力ではなく瞬発のためのそれとわかった。リーネントの絶壁を登り野山を駆け回った体だ。

 ああ、これはカッチカチなわけだわ。
 ふとそんなことを思った。

 アウル様が私のガウンの腰帯を解く。前を静かに開かれて初めて自分の格好に意識がいって顔に熱が一気に集まった。

 侍女たちに風呂の後に着させられた夜着はよりによって薄く透けるような柔らかいものだった。
 透けているのに柔らかい素材が故に体の凹凸に沿っている。夜着を着ているのにうっすらベールを纏った裸体のようだ。レースも縫い付けられていたが肝心なところは隠されていない。ショーツも透け透けのレース編みだ。

 普段はリネンのシャツパジャマを着るのに今日に限ってこれを着させられた。寝るだけだし面倒だったからいいかとされるがままだったが、この格好ではこの行為を期待して準備していたみたいだ。そんな思いから両手で体を覆い隠した。

「‥‥えっとこれは‥その‥‥」
「隠すな。よく似合ってる」

 私の全身に視線を這わせながら陶然とアウル様が呟いた。ひどい羞恥でその視線がいたたまれない。私は喘いで顔をアウル様から逸らした。
 アウル様が横を向いた私の髪に手をかけ、優しく払うと長い耳が晒された。それを愛おしげに指先でツツと撫でられて私は快感を堪えるように目を瞑る。パタパタと動く耳にアウル様は笑みをこぼした。

「ホントに‥お前は可愛いなぁ‥」

 寝室に灯りはないが続き間の光が差し込んでアウル様の表情が闇の中に浮かび上がる。
 笑う口元に光る犬歯が今日は妙に鋭く見えた。



 ざっくりな行為は知っている。その目的も。
 男性の子種を身に受けて子を孕む。これでも一応王族の端くれ、閨教育もされていた。だが未経験にとってはその行為は恐ろしく感じられた。
 
 胸の前で手を合わせ震えていればアウル様が耳の側でそっと囁く。耳に息がかかり勝手に体がおののいた。

「怖いか?」
「怖いかと聞かれれば‥‥怖いです」
「正直だな。まぁそうだよなぁ。体ん中にこんなもんが入るんだからな。だがすぐ善くなる」
「‥‥だといいですが‥‥」
「怯えるな。男と女はそうなるように体ができている。そして子を成すために気持ち良くなるようになっている。大丈夫だ。なるべく優しくする。今まで酷いことはしなかっただろ?」
「それは耳のことですよね?!」

 頬を染めてぶすりと反論すればアウル様がとろりと相好を崩した。その笑みは私の一番好きな笑顔だった。

「そう煽るなよ。そうだな。お前は気楽にただ感じていればいい。今日お前は初めて本当の快楽を知るんだからな」

 そう囁かれ深く口づけられた。貪るように舌を差し込まれ口内を弄られる。呼吸もままならない。それが堪らなく気持ちよくて息苦しくて目から涙が溢れ出した。
 深く深く口づけられながら夜着の上から体を弄られて鼻から喘ぎ声が抜けた。自分の声じゃないみたいだ。
 首元のリボンが解かれ夜着を剥がされ素肌に直接アウル様の手が這う。

 ああ、今私はアウル様に愛されている。

 そう思えば興奮して我慢できずに口から喘ぎ声がこぼれてしまう。

「夜着も触り心地良かったがやはり直がいいな。俺のウサギはすべすべだな。美味ウマそうだ」

 そう言ってアウル様の口と舌が体中を這い出した。アウル様の長めの金髪が私の肌を掠めるとくすぐったくて身をすくめてしまう。初めて両手で胸を揉まれ頂に親指が掠めただけで体が勝手にビクビクと跳ねた。

「気持ちいいか?」

 意識は霞がかかったように茫然としている。浅い息継ぎでもう声が出ない。アウル様の問いに目をぎゅっと閉じてこくんと頷いた。

「お前の胸は大きさも柔らかさも俺にちょうどいいな。手に馴染む。ずっと触っていられそうだ」

 謎の感想と共に大きな手で散々胸を揉みしだかれた後、頂を舌でねぶられキツく吸われ歯も立てられて、その度に恥ずかしくて気持ちよくて、堪えていてもあられもない声が出てしまう。

「あぁッ ハァ‥‥」
「あぁ、大事なものを忘れてたな」

 胸から戻ってきたアウル様がそう言って嬉しそうに耳にしゃぶりついた。歯を耳たぶに這わされる。甘噛みだったが、その瞬間呼吸が止まり驚愕で私の口から悲鳴のような嬌声が迸った。全身が一斉に逆立つ感覚だ。

「ひゃあん!ぃゃぁぁぁああ!!」
「お、いい声出たな?さすが俺のウサギだ」
「舐め‥‥耳‥メ‥‥ダ‥‥」
「そう言われると攻めたくなるだろ」

 呼吸もままならずガクガクと震え、たどたどしくダメだと伝えてもやめてくれない。耳は本当に敏感でダメなのに!!

 アウル様は嬉々として耳たぶに舌や歯を這わせながら私の尖った耳先を口に含む。口内で耳を舌で転がされれば体をゾクゾクとした何かが駆け抜けて身震いが出る。反対の耳たぶも指でくすぐるように擦られた。
 泣き叫びもがきながら体をよじり力の限り逃げようとするが、硬い体に押さえ込まれ逃げられない。その間アウル様にいいように耳を舐られまくった。

 獣の舐める様に舌が耳をぬるりと這う感覚。それに加えてぴちゃぴちゃという音が耳朶に響き、脳が、思考が直接ドロドロに侵され甲高い喘ぎ声が止まらない。その度に体の奥が疼いて何か熱いものがどろりと溢れ出した。

「いやァッ ダッ‥‥ホント‥ダメッヤぁッ」
「お前のココはホントにイイなぁ。そんなに悶えて善がってダメとかないだろ?気持ちイイんだろ?舐めて善くしてやるからもっといい声出せ」
「耳!目的語!耳って言ってください!!‥もうやめてぇ‥‥!!耳フェチじゃないって言ったのに!!」

 泣き叫ぶ私にアウル様が目を細めて嫣然と微笑んだ。

「うん、そうだと思っていた。だがな、お前の耳がいいとずっと言い続けてたろ?そうしたら本当に良いと思えるようになってきた。これは自己暗示だろうか」
「え?!!!!」

 げ。うそ。それは聞いてない。

「もしこれをフェチというならお前の耳限定のフェチだな。俺をこんな風にした責任を取ってもらわないと。耳攻めだけでこんなに善がるんだもんな。もうクセになりそうだ」
「ヤダ!知らない!違います!それはアウル様の性癖でしょ?!私のせいじゃないです!!」

 私の反論にご不満だったのだろうか、アウル様が私の耳孔に舌を強引にねじ込んできた。耳の中にぬるりと舌を這わされて脳内の思考は瞬時に蒸発する。
 脳が真っ白に塗りたくられる。その刺激で呼吸さえ、心臓さえ止まりそうだ。

「ャぁア————ッ!!」

 悲鳴のような嬌声を上げて涙を流し息を浅くする私を、堪えきれずヒクヒク動くその耳を見下ろし、アウル様がすまなそうに微笑んだ。よく通る声が薄暗い寝室に響く。

「ああ、すまない。俺も加減が利かないな。ココを舐めるのは初めてだったからつい興奮した。ホント可愛いなぁ、こんなに震えてさぁ。泣いてヒクつかせて、そんなに気持ちよかったか?好きなだけねぶって存分に泣かせてやるよ」

 アウル様が低い声で嫣然と微笑む。もう色気ダダ漏れだ。アウル様のその嗜虐的なヤル気が恐ろしく背筋がゾッと凍る。


 あれ?あれれ?アウル様、普段優しいのにもしかして性的にソッチキャラ?!その上耳フェチだし?!

 うえーん!やっぱり変態王子だ!!


 アウル様が全身を使って暴れる私を押さえ込む。手も足も動かない。全然びくともしない。

 ホントに硬い!普段は蹴り飛ばせるのに!!なんでなの?!


 そこで初めて理解する。
 これは逃げられない。
 いや、今まではわざと逃されていたんだ。

 アウル様はここぞというところでは屈強になった。
 今もそう。絶対逃さないと硬い体に私を閉じ込める。いつでも閉じ込められたのに私を油断させるために私をわざと逃す。それは綿密に計画された罠だ。

 私はいつでも逃げられると思ってその体の中に入る。
 それが一度閉じ込められれば脱走不可能なオリと知らずに。

 そう、これは檻だ。

 愕然とする。
 もう入り口は閉じている。
 ウサギはこの王子オリから逃げられない。
 最後まで食い尽くされるまで。
 

 アウル様は右手で私に頭を押さえつつ口で耳を攻めながら、左手は再び体を撫で回す。胸の頂を弄られ擦られれば別の快感で体が弓なりに反った。

 まさかの同時攻め?!鬼畜か?!
 それはホントダメ!!死んじゃう!!

 耳を甘噛みされ舐められしゃぶられて。耳孔への甘い攻め苦に、むさぼられる音に、声を我慢できるはずがない。胸と耳を同時に攻められ続けて抵抗も封じられて声が枯れるほどに泣き叫んだ。そして体の奥がむずむずと疼いて辛い。

 だからだろうか。アウル様の手が私の体の中心に触れるまでその動きに気が付かなかった。下穿きドロワーズの中を弄り、愛蜜を纏った指が誰にも触られていなかった場所をするりと撫で、さらに指が一本私の中に入ってきた。侵入するその衝撃で私は言葉を呑んで目を剥いてしまった。

「大丈夫だ。力を抜け」
「‥‥無理で‥‥体が‥勝手に‥‥」

 膣内の指を私の意思に反して体が締め上げる。
 それに抗わないようにか、指が膣内を探り、ゆっくり浅く出し入れされる感覚に体が勝手にビクビクと震える。下の指の動きはそのままにアウル様が再び耳を貪り出した。
 耳孔を舌で、膣内を指で侵される。そして指を入れている手の親指が何かを探り、そこを優しく潰した。

「ヒッ アアァッ」

 今まで経験したことがないその快楽の衝撃に、喉の奥から甲高い声が出る。そこがスイッチだったように全身を甘い痺れが貫いた。閨教育でもこんなもの聞いたことがなかった。

「さぁノワ、俺の手の中でイけ。ココは気持ちいいだろう?」

 イク?イクって?

 訳もわからない。耳をしゃぶられながら指で蜜口を浅く擦られ親指でそこを優しく転がされ、ただただその激流に翻弄される。

 その悦楽に高く押し上げられて体を震わせ悶えて、私は未知の快楽の限界に耐えられずそのまま意識を飛ばしてしまった。



 
 

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