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異世界転生!?
異世界転生!? ー2ー
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「ありがとう」
そのイケメンは俺を見ると、少し驚いたように目を開いた。
「珍しい色だね」
「へ?」
「髪と眼」
「…お前も俺を売るのか?」
失礼だ。
助けてくれたのになんてことを言うんだ。
「ごめっ」
「怖かったな、すまん」
謝る前に謝られてしまった。
そして頭の上に手を置かれる。
「俺の名前はイバン・ニコラウスだ、王都で騎士団の団長をやっている」
なっ、騎士団長。
響きがかっこいい。
自然な流れで手を俺の頭に置く仕草も男前にしかできないものだ。
「君は?」
「…照」
「テラ?変わった名前だね」
こっちからしたらイバンの方が聞いた事ないが。
どう考えてもこの世界で異質はこっちなので言わなかった。
「あともうちょっとで他の団員も追いつくはずだから、それまで話を聞いてもいいかい?」
イバンが俺を伺うように覗き込む。
「あぁ」
そりゃこんな格好の者が現れたら不審がるのは当たり前だ。
これは前世でいう職質みたいなものだろう。
「ありがとう、じゃあまず君はどこから来たのかな?」
そうだ。さっきもあのおじさんに聞かれたのに考えていなかった。
「えっと…」
考えろ、今この場で怪しまれない嘘を、
まさか異世界から来ました!などとは言えない。
「……答えたくないことは無理に答えなくていいよ」
「あぁ、すまん」
怪しまれている気がするが、ここは優しさに甘えておこう。
だが、この調子だとどんな質問にも答えれそうにないので、こちらから話そう。
「俺は、何故か目覚めたらこの町にいたんだ」
「どうやって来たかは覚えてるかい?」
「いや、覚えてない」
イバンは少し考えるような表情をした後
「家族はいるの?」
「いたがこの世界には多分…いないな」
間違ってないはずだ。
俺はそのままの姿のまま転生している。
つまりこの世界に俺の身寄りはいない。
「!…そうか、ごめんね、嫌な質問だったね」
何故か謝られた。
もう両親と会えないことを思っているのか、
多分俺が死んでもあの人たちは何も思わないだろうと俺は思う。
そんなことは、言えないが。
「後は…、君の固有ステータスは何だい?」
「固有ステータス?」
その名前を口にした瞬間、俺の頭の中で誰かの声が聞こえた。
『固有ステータス、大橋 照、感覚集中』
まるでスマホのAIみたいな声だ。
なんかこんなの漫画とかでよくあるな…
漫画では電子パッドみたいなものが出てくるが、現実では頭の中にある感じなのか、と変に納得する。
『感覚集中ってなんだ?』
頭の中に問いかけてみる、と、
『感覚集中、身体のひとつの部位に感覚を集中させ、能力値をあげることが出来ます』
なるほど。
さっき馬車での会話が聞こえたのはこの能力のおかげか。
「俺の能力は、感覚集中、らしい」
「今まで知らなかったのか?」
イバンは信じられないという顔をする。
それほどこの世界では一般的なものなのか。
「悪いが、固有ステータスとはなんだ?」
「…固有ステータスというのはね、個人がそれぞれ潜在的にもつ能力の事だよ」
「なるほど、イバンはどんな能力なんだ?」
「俺は、千里眼だ」
千里眼。
この人はどこまでも格好いいな。
「テラのはどんなことが出来るのかな」
「俺は、体の一部の能力を大きくあげることができるみたいだ」
とそんな話をしていたら
パカッパカッパカッ
と大量の馬の足音が聞こえた。
「やっと来たか」
どうやらイバンの騎士団の仲間らしい。
「団長!急に道を逸れるので焦りましたよ!」
「いつも勝手よね~」
「一声かけて下さればついて行きますのに」
どうやら団長は、部下からたいそう慕われているらしい。
彼らの仲の良さが単純に羨ましい。
「あらぁ、その子はどうしたの?黒髪黒眼なんて見たことないわ」
団員の目線が一気に俺に向く。
その子って…。俺はもう18だぞ。
…だがここにいる人は騎士だからかみんな身長が高い。
彼らに比べれば、俺が小さく見えるのは当然だろう。
この世界ではそんなに黒髪黒眼がいないのか…。
「この町でこいつが奴隷商人に襲われているのが見えたから駆けつけたんだ」
「奴隷商人!?奴隷商なんてもうとっくに廃止になっているのに…まだいるのですね」
!廃止になっていたのか、
異世界だから当然のようにいると思っていたが、そんなことは無いのか。
「それに…恐らく…」
「…!なるほど」
「可哀想に…」
イバンが団員に耳打ちしている。
聞こうと思えばさっきの馬車でように、聞こえるのだろうが、そんな悪趣味なことはしない。
「テラ!しばらく君をうちの団で保護することになった」
!
「いいのか?」
「あぁ、とりあえず王都まで行かないと分からないことだらけだしな」
よかった、あの町に誰もいないとわかった時は、本当に死ぬかと思った。
いやもう一度は死んでいるんだけど…笑
「とりあえず俺たちが今日泊まる宿まで行く、テラは俺の後ろに乗って」
そう言ってくれたのはイバンではなく、別の団員だった。
金髪で、蒼い瞳、整った目鼻立ち。
イバンとはまた違うタイプのイケメンだ。
この団体はイケメンしかいないのか?と思ってしまう。
「俺は副団長のアスタ・ローナスだ、よろしくな」
なんと副団長様であった。
そのイケメンは俺を見ると、少し驚いたように目を開いた。
「珍しい色だね」
「へ?」
「髪と眼」
「…お前も俺を売るのか?」
失礼だ。
助けてくれたのになんてことを言うんだ。
「ごめっ」
「怖かったな、すまん」
謝る前に謝られてしまった。
そして頭の上に手を置かれる。
「俺の名前はイバン・ニコラウスだ、王都で騎士団の団長をやっている」
なっ、騎士団長。
響きがかっこいい。
自然な流れで手を俺の頭に置く仕草も男前にしかできないものだ。
「君は?」
「…照」
「テラ?変わった名前だね」
こっちからしたらイバンの方が聞いた事ないが。
どう考えてもこの世界で異質はこっちなので言わなかった。
「あともうちょっとで他の団員も追いつくはずだから、それまで話を聞いてもいいかい?」
イバンが俺を伺うように覗き込む。
「あぁ」
そりゃこんな格好の者が現れたら不審がるのは当たり前だ。
これは前世でいう職質みたいなものだろう。
「ありがとう、じゃあまず君はどこから来たのかな?」
そうだ。さっきもあのおじさんに聞かれたのに考えていなかった。
「えっと…」
考えろ、今この場で怪しまれない嘘を、
まさか異世界から来ました!などとは言えない。
「……答えたくないことは無理に答えなくていいよ」
「あぁ、すまん」
怪しまれている気がするが、ここは優しさに甘えておこう。
だが、この調子だとどんな質問にも答えれそうにないので、こちらから話そう。
「俺は、何故か目覚めたらこの町にいたんだ」
「どうやって来たかは覚えてるかい?」
「いや、覚えてない」
イバンは少し考えるような表情をした後
「家族はいるの?」
「いたがこの世界には多分…いないな」
間違ってないはずだ。
俺はそのままの姿のまま転生している。
つまりこの世界に俺の身寄りはいない。
「!…そうか、ごめんね、嫌な質問だったね」
何故か謝られた。
もう両親と会えないことを思っているのか、
多分俺が死んでもあの人たちは何も思わないだろうと俺は思う。
そんなことは、言えないが。
「後は…、君の固有ステータスは何だい?」
「固有ステータス?」
その名前を口にした瞬間、俺の頭の中で誰かの声が聞こえた。
『固有ステータス、大橋 照、感覚集中』
まるでスマホのAIみたいな声だ。
なんかこんなの漫画とかでよくあるな…
漫画では電子パッドみたいなものが出てくるが、現実では頭の中にある感じなのか、と変に納得する。
『感覚集中ってなんだ?』
頭の中に問いかけてみる、と、
『感覚集中、身体のひとつの部位に感覚を集中させ、能力値をあげることが出来ます』
なるほど。
さっき馬車での会話が聞こえたのはこの能力のおかげか。
「俺の能力は、感覚集中、らしい」
「今まで知らなかったのか?」
イバンは信じられないという顔をする。
それほどこの世界では一般的なものなのか。
「悪いが、固有ステータスとはなんだ?」
「…固有ステータスというのはね、個人がそれぞれ潜在的にもつ能力の事だよ」
「なるほど、イバンはどんな能力なんだ?」
「俺は、千里眼だ」
千里眼。
この人はどこまでも格好いいな。
「テラのはどんなことが出来るのかな」
「俺は、体の一部の能力を大きくあげることができるみたいだ」
とそんな話をしていたら
パカッパカッパカッ
と大量の馬の足音が聞こえた。
「やっと来たか」
どうやらイバンの騎士団の仲間らしい。
「団長!急に道を逸れるので焦りましたよ!」
「いつも勝手よね~」
「一声かけて下さればついて行きますのに」
どうやら団長は、部下からたいそう慕われているらしい。
彼らの仲の良さが単純に羨ましい。
「あらぁ、その子はどうしたの?黒髪黒眼なんて見たことないわ」
団員の目線が一気に俺に向く。
その子って…。俺はもう18だぞ。
…だがここにいる人は騎士だからかみんな身長が高い。
彼らに比べれば、俺が小さく見えるのは当然だろう。
この世界ではそんなに黒髪黒眼がいないのか…。
「この町でこいつが奴隷商人に襲われているのが見えたから駆けつけたんだ」
「奴隷商人!?奴隷商なんてもうとっくに廃止になっているのに…まだいるのですね」
!廃止になっていたのか、
異世界だから当然のようにいると思っていたが、そんなことは無いのか。
「それに…恐らく…」
「…!なるほど」
「可哀想に…」
イバンが団員に耳打ちしている。
聞こうと思えばさっきの馬車でように、聞こえるのだろうが、そんな悪趣味なことはしない。
「テラ!しばらく君をうちの団で保護することになった」
!
「いいのか?」
「あぁ、とりあえず王都まで行かないと分からないことだらけだしな」
よかった、あの町に誰もいないとわかった時は、本当に死ぬかと思った。
いやもう一度は死んでいるんだけど…笑
「とりあえず俺たちが今日泊まる宿まで行く、テラは俺の後ろに乗って」
そう言ってくれたのはイバンではなく、別の団員だった。
金髪で、蒼い瞳、整った目鼻立ち。
イバンとはまた違うタイプのイケメンだ。
この団体はイケメンしかいないのか?と思ってしまう。
「俺は副団長のアスタ・ローナスだ、よろしくな」
なんと副団長様であった。
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