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異世界転生!?
異世界転生!? ー3ー
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「俺は照だ、よろしく」
「テラ、か珍しい名前だな、だが綺麗なお前によく似合っている」
「綺麗、なんて初めて言われたぞ」
「本当か?」
と言うと、アスタは俺の頭を撫でる。
確かに身長差はあるが幼い扱いをされてるみたいで少し悔しい。
パカッパカッパカッパカッ
前世で馬など乗る機会がなかったので、いい機会、と思えれば良かったのだが、普通に怖いな。
落ちるのが怖いから前にいるアスタの腰に必死にしがみついている。
「役得だな」
とアスタが笑う。
俺が必要以上に怖がるから和ましてくれているのだろう。
「すまない」
と恥ずかしいので小さく呟いた。
約2時間ほど馬に乗っていると、今日泊まる予定だという宿に着いた。
もうすぐ陽が沈むであろうという頃合なので、4時くらいだろうか。
宿と言うより大きさ的には前世でいうホテルだ。
「よくぞいらっしゃいました」
宿の人が親切に表に出て、騎士団の大所帯を迎え入れる。大所帯といっても、ここにいる騎士団員は30人ほどしかいないが、王都に駐在している騎士を合わせると100人近くいるらしい。
「俺たちが予約していた部屋以外に部屋は空いているか?」
「ええと…申し訳ありません、本日お部屋に空きがございませんでして」
「うむ、ありがとう」
イバンが俺の部屋があるか聞いてくれたが、ないらしい。
「俺は野宿でも構わないぞ」
既にかなり面倒を見てもらっているので申し訳ないと思い、本心で言うと、顔を顰められた。
「そんなことさせるわけないでしょう」
「そうだぞ、お前に何かあったら困るからな」
今日出会ったばかりなのに、親身になってくれる彼らの優しさに驚いた。
国を護る騎士達なだけあって、人間性も素晴らしいのか。
しばらく宿のロビーでイバンが団員たちと話し込んで、
「テラの部屋、うちの団員と相部屋でもいいかい?」
と言ってきた。
「それは悪いだろう、元々一人用の部屋なのに俺が入ったら邪魔じゃないか」
「大丈夫、この宿の部屋は一人部屋と言ってもかなり大きいから」
「むぅ」
かなり遠慮してくれているな。やっぱり野宿の方がいいんじゃないか。
「だから、誰の部屋が良いかテラが選んでくれな」
なんかその言い方おかしい気がするが…
それに初対面でまだ知らない団員もいっぱいいる。だから…
「俺は、俺を泊めてやってもいいと思ってくれる人なら誰でもいいぞ」
「テラ!もっと自分を大事にしないとダメだ!」
何故だ…怒りの感情を見せるアスタにクエスチョンマークしか浮かばない。
『自分を大事に』の部分が特に分からない。
ま、まぁ誰でもいいなら…
今後のことを考えると団長であるイバンと仲良くなっていた方がいいだろうな。
「じゃあ、イバンで、いいか?」
「もちろんいいですよ」
とイバンは嬉しそうに頷いたので安心したが、周りの団員からは
「くそ~」「団長には敵わないな」
などと聞こえてくる。
何を悔しがっているのだろう。
「そんなことよりもテラは早く着替えなさい」
騎士団で見た限り唯一の女性、ミランダが言う。
「今のカッコじゃあ宿の人たちも目のやり場に困ってるよ」
そうか、さすがにこんな布切れ一枚で横に歩かれたら騎士団自体の評判にも関わるだろうな。
「着替えたいんだが、俺は着替えを持っていないんだ」
「俺のを着る?」
とイバンが言ってくるが、サイズが違いすぎるだろう。悔しいが。
「団長のは大きすぎますよ、俺のを着てくれ、テラ」
とアスタは言うが、
…イバンが185だとすれば、アスタも180近くはあるではないか。
対する俺は170…嘘だ。168しかない。
しまいには団員皆が自分の服を俺に渡そうとして収拾がつかなくなってしまったので、ため息をついたミランダが宿近くの店に買いに行ってくれることになった。
少しホテルのロビーで団員達の話を聞いていると、ミランダが帰ってきた。
ミランダが買ってきてくれた服は皆と同じようなデザインで、生地はかなりしっかりしていた。
「これはいくらくらいしたんだ?」
と聞いたが、ミランダは値段を見て買わない主義らしく、
「知らないね」
と言われた。やっぱり、騎士は給金がいいのかな。
給金で思い出したが、
この世界の通過は何なんだろう。
というか
俺はこれからどうやって生きていこう。
騎士団が保護してくれるとイバン入ってくれたが、そんな長い期間保護はしてくれないだろう。
俺はこの世界のことなど未だ何も知らないのに定職など見つかるのだろうか。
まぁその辺は今考えても分からないから後でイバンに聞くか。
「テラ?」
悩んでいることを悟られてしまったのか不安そうにイバンが覗き込んできたので大丈夫だということを示すために、下から見返すと、
なぜかイバンの顔は赤くなった。
ミランダが帰ってきて、すぐに晩飯が始まった。
その時に団員の皆から様々な話を聞いた。
今日は大規模なモンスター集団の討伐であったこと。(この世界にはやはりモンスターがいるらしい)
その帰りにイバンが、たまたま俺を発見したこと。
俺を捕まえようとした奴隷商人がたまたまレッドリスト(犯罪者リスト)に乗っていて、捉えることが出来て良かったとのこと。
「だから、お前の手柄だぞテラ」
ただ襲われてただけなのだが…
補足 イバン 24歳
アスタ 23歳
ミランダ 38歳
「テラ、か珍しい名前だな、だが綺麗なお前によく似合っている」
「綺麗、なんて初めて言われたぞ」
「本当か?」
と言うと、アスタは俺の頭を撫でる。
確かに身長差はあるが幼い扱いをされてるみたいで少し悔しい。
パカッパカッパカッパカッ
前世で馬など乗る機会がなかったので、いい機会、と思えれば良かったのだが、普通に怖いな。
落ちるのが怖いから前にいるアスタの腰に必死にしがみついている。
「役得だな」
とアスタが笑う。
俺が必要以上に怖がるから和ましてくれているのだろう。
「すまない」
と恥ずかしいので小さく呟いた。
約2時間ほど馬に乗っていると、今日泊まる予定だという宿に着いた。
もうすぐ陽が沈むであろうという頃合なので、4時くらいだろうか。
宿と言うより大きさ的には前世でいうホテルだ。
「よくぞいらっしゃいました」
宿の人が親切に表に出て、騎士団の大所帯を迎え入れる。大所帯といっても、ここにいる騎士団員は30人ほどしかいないが、王都に駐在している騎士を合わせると100人近くいるらしい。
「俺たちが予約していた部屋以外に部屋は空いているか?」
「ええと…申し訳ありません、本日お部屋に空きがございませんでして」
「うむ、ありがとう」
イバンが俺の部屋があるか聞いてくれたが、ないらしい。
「俺は野宿でも構わないぞ」
既にかなり面倒を見てもらっているので申し訳ないと思い、本心で言うと、顔を顰められた。
「そんなことさせるわけないでしょう」
「そうだぞ、お前に何かあったら困るからな」
今日出会ったばかりなのに、親身になってくれる彼らの優しさに驚いた。
国を護る騎士達なだけあって、人間性も素晴らしいのか。
しばらく宿のロビーでイバンが団員たちと話し込んで、
「テラの部屋、うちの団員と相部屋でもいいかい?」
と言ってきた。
「それは悪いだろう、元々一人用の部屋なのに俺が入ったら邪魔じゃないか」
「大丈夫、この宿の部屋は一人部屋と言ってもかなり大きいから」
「むぅ」
かなり遠慮してくれているな。やっぱり野宿の方がいいんじゃないか。
「だから、誰の部屋が良いかテラが選んでくれな」
なんかその言い方おかしい気がするが…
それに初対面でまだ知らない団員もいっぱいいる。だから…
「俺は、俺を泊めてやってもいいと思ってくれる人なら誰でもいいぞ」
「テラ!もっと自分を大事にしないとダメだ!」
何故だ…怒りの感情を見せるアスタにクエスチョンマークしか浮かばない。
『自分を大事に』の部分が特に分からない。
ま、まぁ誰でもいいなら…
今後のことを考えると団長であるイバンと仲良くなっていた方がいいだろうな。
「じゃあ、イバンで、いいか?」
「もちろんいいですよ」
とイバンは嬉しそうに頷いたので安心したが、周りの団員からは
「くそ~」「団長には敵わないな」
などと聞こえてくる。
何を悔しがっているのだろう。
「そんなことよりもテラは早く着替えなさい」
騎士団で見た限り唯一の女性、ミランダが言う。
「今のカッコじゃあ宿の人たちも目のやり場に困ってるよ」
そうか、さすがにこんな布切れ一枚で横に歩かれたら騎士団自体の評判にも関わるだろうな。
「着替えたいんだが、俺は着替えを持っていないんだ」
「俺のを着る?」
とイバンが言ってくるが、サイズが違いすぎるだろう。悔しいが。
「団長のは大きすぎますよ、俺のを着てくれ、テラ」
とアスタは言うが、
…イバンが185だとすれば、アスタも180近くはあるではないか。
対する俺は170…嘘だ。168しかない。
しまいには団員皆が自分の服を俺に渡そうとして収拾がつかなくなってしまったので、ため息をついたミランダが宿近くの店に買いに行ってくれることになった。
少しホテルのロビーで団員達の話を聞いていると、ミランダが帰ってきた。
ミランダが買ってきてくれた服は皆と同じようなデザインで、生地はかなりしっかりしていた。
「これはいくらくらいしたんだ?」
と聞いたが、ミランダは値段を見て買わない主義らしく、
「知らないね」
と言われた。やっぱり、騎士は給金がいいのかな。
給金で思い出したが、
この世界の通過は何なんだろう。
というか
俺はこれからどうやって生きていこう。
騎士団が保護してくれるとイバン入ってくれたが、そんな長い期間保護はしてくれないだろう。
俺はこの世界のことなど未だ何も知らないのに定職など見つかるのだろうか。
まぁその辺は今考えても分からないから後でイバンに聞くか。
「テラ?」
悩んでいることを悟られてしまったのか不安そうにイバンが覗き込んできたので大丈夫だということを示すために、下から見返すと、
なぜかイバンの顔は赤くなった。
ミランダが帰ってきて、すぐに晩飯が始まった。
その時に団員の皆から様々な話を聞いた。
今日は大規模なモンスター集団の討伐であったこと。(この世界にはやはりモンスターがいるらしい)
その帰りにイバンが、たまたま俺を発見したこと。
俺を捕まえようとした奴隷商人がたまたまレッドリスト(犯罪者リスト)に乗っていて、捉えることが出来て良かったとのこと。
「だから、お前の手柄だぞテラ」
ただ襲われてただけなのだが…
補足 イバン 24歳
アスタ 23歳
ミランダ 38歳
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