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34.ミシェル視点
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夏休みが目前に迫ってきている。
こんなにも長い時間をかける予定はなかった。でも時間が掛かったしまった甲斐はあったのかもしれない。
セルジオ兄様も無事に証拠を集めることができたようで、それを使って厄介者をよこしたシャンス国を糾弾したのだ。それにはシャルル様も一役かったという。もの言わせない圧力のある笑顔で交渉を行ったのだと、皇太子殿下の代行でシャンス国へ交渉に行ったお兄様が言っていた。
シャーサス国もロディク王太子殿下を通し謝罪を行なってきた。
これからも、両国とも帝国に付き従ってくれるだろう。
そんな中、テストも無事に終わり誰もがウキウキしていていた。学生達は夏休み前にあるダンスパーティーの準備で慌ただしくしている。
皆、成績発表などそっちのけで準備に励んでいる。周囲の女の子たちはどんなドレスを着て誰と行くのかなどと会話が弾んでいるようだ。
私はというとアリスに一任していた。
どんなドレスを持ってこようと着こなす気でいるし、第一、アリスが私に似合わないドレスを用意する訳がない。
だが、今回ばかりは失敗したと思った。
部屋の中央にいつの間にか置かれたいつもより華やかなドレスを見て私は一瞬言葉を失ったのだ。
「アリス?派手でないかしら?」
前回はシックな色合いのキレッキレッのドレスにシンプルなワンポイントアクセサリーだったはずが、目の前にあるのは甘めの色にキラキラと光るドレス。装飾品も眩しいほど、ふんだんに宝石がついている。
「明日のパーティーではロディク王太子様の婚約披露も兼ねておりますので、頑張らせていただきました」
「婚約披露?聞いてないわよ」
「はい、当日まで内緒にするように旦那様から言われておりました」
本当に、みんなは私をなんだと思っているのだろう・・・。
「今更逃げようなんてないのに・・・」
「いえ、デザインの変更をされないように、です。今のミシェル様なら金銭面を気にするだろうからと」
アリスにそう言われて言葉に詰まった。
そう、今の私なら出費の痛手から最低限のドレスにしてしまう。確実に言ってしまうだろう。
「ロディク様もわかっているようで、お嬢様に内緒でいろいろご自身の要望を盛り込んでおりました」
まさか、ロディク殿下が一枚噛んでいるとは思わなかった私は重たい息を吐く。
「もう、好きにして・・・」
別に私には衣装のこだわりはないから、かまわないけど、このドレスを着るのかと思うと明日が少し憂鬱になってしまった。
私は気を取り直すようにパチパチと頬叩いた。
「お嬢様?」
「明日が勝負よ」
窓の外を見た。
鳥が青い空を自由に羽ばたいている。
明日、あの女を潰してあげよう。
ーさぁ、覚悟はいいわね
私は楽しくなってきて、笑った。
こんなにも長い時間をかける予定はなかった。でも時間が掛かったしまった甲斐はあったのかもしれない。
セルジオ兄様も無事に証拠を集めることができたようで、それを使って厄介者をよこしたシャンス国を糾弾したのだ。それにはシャルル様も一役かったという。もの言わせない圧力のある笑顔で交渉を行ったのだと、皇太子殿下の代行でシャンス国へ交渉に行ったお兄様が言っていた。
シャーサス国もロディク王太子殿下を通し謝罪を行なってきた。
これからも、両国とも帝国に付き従ってくれるだろう。
そんな中、テストも無事に終わり誰もがウキウキしていていた。学生達は夏休み前にあるダンスパーティーの準備で慌ただしくしている。
皆、成績発表などそっちのけで準備に励んでいる。周囲の女の子たちはどんなドレスを着て誰と行くのかなどと会話が弾んでいるようだ。
私はというとアリスに一任していた。
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だが、今回ばかりは失敗したと思った。
部屋の中央にいつの間にか置かれたいつもより華やかなドレスを見て私は一瞬言葉を失ったのだ。
「アリス?派手でないかしら?」
前回はシックな色合いのキレッキレッのドレスにシンプルなワンポイントアクセサリーだったはずが、目の前にあるのは甘めの色にキラキラと光るドレス。装飾品も眩しいほど、ふんだんに宝石がついている。
「明日のパーティーではロディク王太子様の婚約披露も兼ねておりますので、頑張らせていただきました」
「婚約披露?聞いてないわよ」
「はい、当日まで内緒にするように旦那様から言われておりました」
本当に、みんなは私をなんだと思っているのだろう・・・。
「今更逃げようなんてないのに・・・」
「いえ、デザインの変更をされないように、です。今のミシェル様なら金銭面を気にするだろうからと」
アリスにそう言われて言葉に詰まった。
そう、今の私なら出費の痛手から最低限のドレスにしてしまう。確実に言ってしまうだろう。
「ロディク様もわかっているようで、お嬢様に内緒でいろいろご自身の要望を盛り込んでおりました」
まさか、ロディク殿下が一枚噛んでいるとは思わなかった私は重たい息を吐く。
「もう、好きにして・・・」
別に私には衣装のこだわりはないから、かまわないけど、このドレスを着るのかと思うと明日が少し憂鬱になってしまった。
私は気を取り直すようにパチパチと頬叩いた。
「お嬢様?」
「明日が勝負よ」
窓の外を見た。
鳥が青い空を自由に羽ばたいている。
明日、あの女を潰してあげよう。
ーさぁ、覚悟はいいわね
私は楽しくなってきて、笑った。
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