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72.ケティ視点
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あれから2年の月日が経つ。
わたしも、ロード先生のもとで勉強し、ついに学園の卒業を迎えた。
いつの間にかマルスとは喧嘩友達のような関係になっている。
追い求めていたような恋焦がれる恋愛ではないが、このままの時間が流れていつかは・・・と淡い思いを抱くこともあった。
でも、彼の中にはまだ彼女がいる。
彼はわたしを見てくれない・・・。
それもそう・・・、醜いわたしは希望を抱いてはならない。
卒業式。
わたしは学生服で会場に出ていた。
家からは放逐されはわたしにはドレスを買う費用などない。
ロード先生のおかげで、職はあり食べることや寝る場所には困らない。贅沢さえしなければどうにか暮らしていける。
始めは惨めで悔しかったが、今では生きていけるだけで幸せなのだと感じていた。
それに、困っている女性のために働いているため、やりがいがあるのだ。
だからこそ自分がどんな姿であろうと、堂々とする気でいる。
無事に式も終わり、パーティーの時間になると壁際で、わたしは飲み放題のワインを飲みながら隣をみた。
隣ではマルスが同じく制服姿でソワソワしている。
「落ち着いたら?」
「しかし、帝国から特別ゲストがくるんだぞ」
ロード先生の影響で『研究者』や『芸術家』などに興味を持つようになり、この卒業式で特別ゲストの来訪を聞いてわくわくがとまらないらしい。
わたし自身なにが楽しいのかわからない。
有名でなくてもかっこいい人なら目の保養にもなるし、少しは楽しくなるのだが。
卒業パーティーも中盤になったころ、会場の扉が開く。
国王陛下が現れた。その後ろには去年卒業した王太子殿下がいる。
そして、その後ろには二人の美男美女がいた。
黒髪の男性に銀色だろうか、白色にも見える髪色の女性。
お似合いの二人に誰もが心奪われた。
「ノエル・・・」
隣から小さな声。
ばっと、マルスを見てそしてもう一度女性を見た。
「あっ・・・」
遠目でわからなかった。
以前ならおどおどした見た目で陰険な感じがしていたが、目の前にいるのは傷のある顔を躊躇なく曝け出し優雅に笑っている。それでも間違いなく彼女だった。
彼女に気づいた者がいたのか、少しずつザワザワした空気が広がる。
「皆、改めて卒業おめでとう」
国王陛下の言葉に一瞬にして静かになった。
「若い者たちの力を持ってこの国をこれからも支えてもらいたい。そして、彼女・・・ノエル・エルトニー伯爵令嬢のように素晴らしい功績を上げる者も出てきてほしいものだ」
顔を見合わせあい、ざわめきだつ。
「ノエル嬢よ。やはりこの国を起点にするのは無理か?」
しょげるような顔の国王陛下に彼女は眉を下げ微笑む。
「お誘いは嬉しいのですが、私のしたい研究は帝国を起点にするのが一番なのです。この国で実践するには難しいのですわ。私のような女が活動するには大変息苦しいですもの」
国王陛下の顔が一瞬歪んだ。
どんなに男女平等を求めようと、文化や民族意識が邪魔をする。古い掟を優先して新しいことを受け入れようとしない。
「それに、婚約者である彼・・・アーサーはこの度民族学研究の第一人者として皇帝陛下からも認められました。それにあたりこれからは彼はたくさんの国を巡ることになり私もついて行きますので無理ですわ」
二人は互いに見つめ合い、頬を緩めた。
わたしも、ロード先生のもとで勉強し、ついに学園の卒業を迎えた。
いつの間にかマルスとは喧嘩友達のような関係になっている。
追い求めていたような恋焦がれる恋愛ではないが、このままの時間が流れていつかは・・・と淡い思いを抱くこともあった。
でも、彼の中にはまだ彼女がいる。
彼はわたしを見てくれない・・・。
それもそう・・・、醜いわたしは希望を抱いてはならない。
卒業式。
わたしは学生服で会場に出ていた。
家からは放逐されはわたしにはドレスを買う費用などない。
ロード先生のおかげで、職はあり食べることや寝る場所には困らない。贅沢さえしなければどうにか暮らしていける。
始めは惨めで悔しかったが、今では生きていけるだけで幸せなのだと感じていた。
それに、困っている女性のために働いているため、やりがいがあるのだ。
だからこそ自分がどんな姿であろうと、堂々とする気でいる。
無事に式も終わり、パーティーの時間になると壁際で、わたしは飲み放題のワインを飲みながら隣をみた。
隣ではマルスが同じく制服姿でソワソワしている。
「落ち着いたら?」
「しかし、帝国から特別ゲストがくるんだぞ」
ロード先生の影響で『研究者』や『芸術家』などに興味を持つようになり、この卒業式で特別ゲストの来訪を聞いてわくわくがとまらないらしい。
わたし自身なにが楽しいのかわからない。
有名でなくてもかっこいい人なら目の保養にもなるし、少しは楽しくなるのだが。
卒業パーティーも中盤になったころ、会場の扉が開く。
国王陛下が現れた。その後ろには去年卒業した王太子殿下がいる。
そして、その後ろには二人の美男美女がいた。
黒髪の男性に銀色だろうか、白色にも見える髪色の女性。
お似合いの二人に誰もが心奪われた。
「ノエル・・・」
隣から小さな声。
ばっと、マルスを見てそしてもう一度女性を見た。
「あっ・・・」
遠目でわからなかった。
以前ならおどおどした見た目で陰険な感じがしていたが、目の前にいるのは傷のある顔を躊躇なく曝け出し優雅に笑っている。それでも間違いなく彼女だった。
彼女に気づいた者がいたのか、少しずつザワザワした空気が広がる。
「皆、改めて卒業おめでとう」
国王陛下の言葉に一瞬にして静かになった。
「若い者たちの力を持ってこの国をこれからも支えてもらいたい。そして、彼女・・・ノエル・エルトニー伯爵令嬢のように素晴らしい功績を上げる者も出てきてほしいものだ」
顔を見合わせあい、ざわめきだつ。
「ノエル嬢よ。やはりこの国を起点にするのは無理か?」
しょげるような顔の国王陛下に彼女は眉を下げ微笑む。
「お誘いは嬉しいのですが、私のしたい研究は帝国を起点にするのが一番なのです。この国で実践するには難しいのですわ。私のような女が活動するには大変息苦しいですもの」
国王陛下の顔が一瞬歪んだ。
どんなに男女平等を求めようと、文化や民族意識が邪魔をする。古い掟を優先して新しいことを受け入れようとしない。
「それに、婚約者である彼・・・アーサーはこの度民族学研究の第一人者として皇帝陛下からも認められました。それにあたりこれからは彼はたくさんの国を巡ることになり私もついて行きますので無理ですわ」
二人は互いに見つめ合い、頬を緩めた。
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