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73.ケティ視点
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彼女に心無い言葉を浴びせていた者たちの顔が歪む。特に女性たちは「どうしてあんな女が幸せになっているの!!」と言わんばかりの嫉妬に満ちた視線を送っている。
「このような美しい女性をわたしの元に送っていただき感謝しております」
アーサーと呼ばれたイケメンは周囲を睨むように見渡す。
それに恐れをなすように嫉妬の視線を送っていた者たちの肩がびくりと震える。
「この国でいた頃は知りませんが、帝国ではずっと彼女を見てきました。わたしとも対等に語り合い、自分の意思をはっきり持ち真正面から向かってくる姿は輝き、自らの道を切り開こうとする姿は綺麗としか言いようがない。そんなノエルが愛おしい」
彼は彼女の腰に手にかけ引き寄せると額をキスをした。
甘く戯れ合う様子に誰もが目を見張る。
こんな雰囲気を醸し出すなんてびっくりだ。
「アーサー!」
「いいじゃないか。みんなに見せつけても」
くすくすと笑い合う。
そんな二人に国王陛下が咳払いをして辞めさせた。
「残念だ。しかし、我が国から偉大な女性が出たことは嬉しく思う。もっとそのような者がでもくるのを期待している」
女性進出をも兼ねたパフォーマンス??
どこまでが国王陛下の策略だろうか。
そのせいか、何人かの女性の目の色が変わったようにも見えた。
それだけでも、わたしは嬉しい・・・。
いつのまにか彼女たちの周りには人が溢れていた。
「最後になるんじゃないの?会わなくていいの?」
ずっと身動きし無いマルスに声をかける。
「今さら会ってなんになる?それに僕は・・・会えない規則だ」
「ふーん。それでも帝国じゃ無いんだしちょっとくらい・・・。まだ未練があるんならケジメをつけるためにも・・・?」
「未練か・・・。なんで庇わなかったんだろうな・・・。他人の意見に惑わされて自分を見失って大事なものを失う・・・バカだよな。自分の行動に未練があるよ」
「自分の行動にか・・・」
「僕は本当の彼女を見ようとしなかった。知ろうとしなかった。全てが遅いんだ・・・」
本当、何かが起こってから気づくなんて遅い。
「綺麗だな」
「えぇ、綺麗ね」
「幸せになってほしい」
「幸せになるわよ。彼らなら」
わたしたちは遠くから二人の幸せを祈ったー。
「このような美しい女性をわたしの元に送っていただき感謝しております」
アーサーと呼ばれたイケメンは周囲を睨むように見渡す。
それに恐れをなすように嫉妬の視線を送っていた者たちの肩がびくりと震える。
「この国でいた頃は知りませんが、帝国ではずっと彼女を見てきました。わたしとも対等に語り合い、自分の意思をはっきり持ち真正面から向かってくる姿は輝き、自らの道を切り開こうとする姿は綺麗としか言いようがない。そんなノエルが愛おしい」
彼は彼女の腰に手にかけ引き寄せると額をキスをした。
甘く戯れ合う様子に誰もが目を見張る。
こんな雰囲気を醸し出すなんてびっくりだ。
「アーサー!」
「いいじゃないか。みんなに見せつけても」
くすくすと笑い合う。
そんな二人に国王陛下が咳払いをして辞めさせた。
「残念だ。しかし、我が国から偉大な女性が出たことは嬉しく思う。もっとそのような者がでもくるのを期待している」
女性進出をも兼ねたパフォーマンス??
どこまでが国王陛下の策略だろうか。
そのせいか、何人かの女性の目の色が変わったようにも見えた。
それだけでも、わたしは嬉しい・・・。
いつのまにか彼女たちの周りには人が溢れていた。
「最後になるんじゃないの?会わなくていいの?」
ずっと身動きし無いマルスに声をかける。
「今さら会ってなんになる?それに僕は・・・会えない規則だ」
「ふーん。それでも帝国じゃ無いんだしちょっとくらい・・・。まだ未練があるんならケジメをつけるためにも・・・?」
「未練か・・・。なんで庇わなかったんだろうな・・・。他人の意見に惑わされて自分を見失って大事なものを失う・・・バカだよな。自分の行動に未練があるよ」
「自分の行動にか・・・」
「僕は本当の彼女を見ようとしなかった。知ろうとしなかった。全てが遅いんだ・・・」
本当、何かが起こってから気づくなんて遅い。
「綺麗だな」
「えぇ、綺麗ね」
「幸せになってほしい」
「幸せになるわよ。彼らなら」
わたしたちは遠くから二人の幸せを祈ったー。
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