悪役令嬢の親友はヤバい令嬢でした(完結)

彩華(あやはな)

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1.わたくしの婚約者

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アンドリューは彼女を見て一目惚れをした。
まさに運命の相手。
婚約者のカエラにはもうし訳けないが、かけがえのない人を見つけてしまった。この気持ちを抑えることはできない。

         ~
図書館に続く小道から少し離れた林の中で、
二人は抱き合っていた。
『アンドリュー様、いけませんわ』
ミシェルはか弱く囁く。
『アンドリュー様にはカエラ様が・・』
『僕は君が好きなんだ』
『アンドリュー様・・・』
二人はそっと唇を重ねた。

カエラは唇から血が出るほど噛み締め、目を逸らすと去っていった。

            君バラより抜粋
         著者 セス・リディン


今、下町から貴族の女性に流行っている小説がある。

『君にバラの花束を』

身分差のある恋愛もの。悪役令嬢もの。
誰もがはまっていると言う。

           
      ~~~~~~~~~

「アミーを虐めるな」

婚約者である、セシル・アンドレア様が言いました。腕の中には金髪に緑の瞳をした、儚い女性を抱きしめています。

「アミー、大丈夫かい?」

うるうると涙を流す彼女を労わります。

「怖かったです。足を引っ掛けられて・・・」

わたくしなにもしていません。
勝手にわたくしの隣で転けて、大袈裟に騒いだだけ。
みなさんも見ていましたよね?

周りを見ると、誰もが目をそらせました。

そうですわよね。セシル様は公爵家の方。そしてアミー様はゴルディア男爵家とは言え、セシル様がと言い張っている方ですもの、お大事おおごとにはできないでしょう。

「わたくし、何もしておりません」

涙がでそう。
ここで泣いてはいけません。
わたくしはフィオナ・エルアルド。
エルアルド侯爵家の娘ですもの、他者に侮られてはなりません。

一礼した後、走るようにその場を離れました。後ろでセシル様が怒っておりますが、早く一人になりたくて逃げました。


着いた先は、最近行きつけの学園の森の中にあるガゼボ。
誰もいないのが分かると涙が溢れてきました。

今、学園内では噂があります。

堅物で有名なセシル・アンドレア公爵子息が天使とも言える美しきアミー・ゴルディア男爵令嬢を見つけ真実の愛に目覚めた、と。

もともと政略結婚としての婚約者であるわたくしが、二人の仲を羨み邪魔している、と。

わたくし、フィオナ・エルアルドは悪役令嬢である、と。

『君にバラの花束を』の影響もあり、二人の仲は物語のように美化されているのです。

仲の良かった親友の半分はこの噂を信じて、残りの半分は醜聞による実害をこうむる前に去って行きました。

相談する人もいなくなりました。

父にも話せません。
アンドレア公爵家からの半ば強制的な婚約でなりたったもの。格下から解消を求めることなどできません。

我が家は数年前、災害が起こり資金ぶりに困窮している際、アンドレア公爵が資金援助を申し入れてくださいました。セシル様とわたくしの結婚を条件に。
なぜかと言うと、ひいお祖母様が王族だからです。王族との繋がりが欲しいのでしょう。
ですが降嫁された際、ひいお祖母様は全てを棄てて嫁いだので、発言力も優遇されるようなことなにもありませんのに。血筋だけをみたのでしょう。

政略とは言え、初めはセシル様は優しかった。
ですが学園でアミー様と出逢われてからは・・・。


たった一人。
胸が潰れそうです。
悔しい。
寂しい・・・。

しばらくすると木々がゆらぎました。そちらを見ると銀髪の綺麗な方がやってきました。

絵本に出て来る騎士の様な方でした。

そして、わたくしに膝まづいてハンカチを差し出してきたのです。




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