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17.救世主

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「遅かったか!」

そう言って、会場に飛び込んで来たのはアロン王太子殿下でした。

慌てて来たのか、薄らと汗をかいています。

隣には皇太子アイゼン殿下と、もう一人・・・いらっしゃいます。背が高く精悍な目つきの方です。金の髪に青い瞳。
君バラにでてくるキヤリス様みたいです。
アルト様もやってくるとこの状況を理解したのか青い顔で膝をつきます。

「ロバート、セレナを黙らせろ!」

慌てるようにアロン王太子殿下が言うと、金の髪の男性は無言でセレに近づき、グイっと、引き寄せ、唇をうばいました。

?!

周りもびっくり。

しかも、深い口づけなのか、静寂なホールにリップ音だけが生々しく響きます。

女性も男性も、もちろんわたくしも目が離せません。
美男美女のキスシーン。君バラにもありましたわね。

初めはビックリ顔のセレも次第に甘い表情に変わり、弛緩した様にぐったりしました。
崩れ落ちそうになって、ようやく彼は口を離し、セレを抱きとめます。

「はあ、間に合わなかったか・・・」
「放置するからだろう」
「いや、そこの奴らのせいだ」

口悪くありません?王太子殿下に皇太子殿下?
面倒くさそうに口を開きます。

「あぁ、セシル・アンドレアとフィオナ・エルアドル。両名の婚約解消は昨日付けて承認している。なのに、今日この場においての問題行動はどう言うことか説明してもらおう」

「婚約解消?!聞いてない」
「聞いてなくても、でてるんだ。今日はなんのパーティーかわかっていて、したのかい?」
「いや、その・・・。フィオナが悪いんです。アミーを傷つけるから・・・、そう正義です。王太子殿下がおられる場なら正しい判断をしていただけると・・・」
「でも、僕はいなかった。それに、なんの証拠があってのいい分かな?この落ちてる紙・・・、見る分じゃ、証拠になりえないよ」

紙を拾いペラペラと振って見せます。

「それが証拠です!」
「だが、少なくとも、このうち二回は僕も居合わせたんだよ。それはどうなる?」
「へっ?いや、そ、それは・・・、それはフィオナの親友が・・・」
「フィオナ嬢の親友は離れたと聞いている」
「あっ、その?」
「これは、自分の目で確かめた証拠かい?違うだろう。聞いたまま鵜呑みにしたものだろう。そんな物に証拠といえる価値はない」

踏みつけました!
おおっ!!
すごい!
セシル様何も言えなくなりましたわ。

「アミー・ゴルディア男爵令嬢」
「はいっ」

王太子殿下に名前を呼ばれたのが嬉しいのででしょうか、ウルウル眼差しで見つめています。
王太子殿下・・眉間に皺が・・・、嫌なんですね。

「君には恐喝の罪状がでている」
「えっ?」

かたまりました。
震えています。

「沢山の令嬢からの訴えだ。少しの悪戯や嫌がらせをした令嬢にアンドレア公爵がいるからと言って、金品を巻き上げたそうだな」
「し、知らないわ」
「アミー?どう言うことだ?」
「知らなかったのか?アンドレア公爵の名前を使って、事業や家がどうなってもいいのかと脅してたんだぞ」
「アミー?アミー、なんて事をしたんだ」

掴みかからん勢いです。
セシル様知らなかったのですね。
てっきり共犯かと・・・。おほんっ、失礼しました。


「セシル・アンドレア。君の父君から伝言だ。君を廃嫡子し離縁。平民として暮らせと。理由は、婚約者を蔑ろにし他の女とうつつを抜かし、名前を勝手に使われているのにも気づかない馬鹿者は公爵家にはいらないからだそうだ」

お二人とも一気消沈ですわね。
自業自得ですけどね。

お二人はリゼル様率いる近衛兵に連れていかれましたわ。

いなくなってよかったです。











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