上 下
23 / 23

番外編〜アロン殿下

しおりを挟む
あのセレナがまた女の子を引っ掛けてきたと聞いて慌てた。
側近で、セレナの兄であるアルトも、近衛兵のリゼルも青い顔をしていた。

セレナは女の子好き。
ちゃんと異性の婚約者はいる。
だが、好みの女の子を見つけると、もうアピールするのだ。
アルトの妻に、リゼルの婚約者も、そうだった。
怪しい関係になるわけではないが、側からみると、ヤバいと思うのだ。
それで、あの手この手と引き離す。

しかも、セレナの趣味は、ぼくのドストライクをついてくる。
こんな人材が欲しいなと思えば、そんな女の子をセレナが連れてくるのだ。

ほんと興味本位と建前で見に行ったのだ。

ドストライクだった。
それも妻として欲しくなった。

何回か夜会でみたことがあった。
大人しく、控えめに笑いながら、婚約者のセシル・アンドレアの横に立っていた。
その時は興味もなかった。
なのに・・・

目の前に立つのは本当にあのフィオナ・エルアドル嬢なのであろうか?
ワインレッドのドレス姿。
清楚でいて、凛としている。
美しいと思った。

それに気付いたのかセレナは嫌そうな顔を見せた。
しかも、マナー違反して、僕に紹介を先にしないうえ、『みんな大好き、誰もが知ってるこの国の王太子アロン様殿下です』と言う始末。紹介、雑。
覚えとけ。

ドレスの品評会として、だいぶ意見を出してしまった。
嫌になるな。
なんでセレナと同じ趣味なんだろ。

フィオナ嬢が着替えて戻ってきた時、アルトとリゼルはリリアの頼み事をしに、ちょうど部屋にいなかった。

二人っきり。
ヤバっって思った。
制服姿も可愛いと。
つい、つい、いろいろ喋った。
趣味や好きな花・・・季節、食べ物・・・を聞いた。
尋問しちゃったかな?
めっちゃ可愛い。
以前見た時より、自然体だし、生き生きしてる。
セシル・アンドレアのことは聞いている。
リリアが前もって教えてくれたから。
馬鹿だな。
こんないい子捨てようとするなんて。
悪役令嬢?
そんなわけあるか。
悪役令嬢よりが恐いわ。

アルトたちが帰って来たので新しくお茶を入れてもらう。
セレナの事で迷惑かけてるだろうし。フォローいるよな。
気軽に話そう。

「フィオナ嬢、変わったよね?」
そう、伝えると、彼女は泣いた。
きっと張り詰めついたものが切れたのだろう。
そして笑った。
可愛い。

この笑顔を守ってあげたい。

そう思った。

彼女の帰り際、セレナ宛の手紙があったのを思い出し、手渡した。
一つはのお茶会だ。

・・・これ、つかえんじゃねぇ?

もう一つはセレナの婚約者から。
こっちはほっとこう。



フィオナ嬢の馬車を見送ったのち、応接室でセレナと二人きりになった。

「なんで二人なの?変な噂立てられたらどうするの?」
「やましいことが起こると思うか?」
「ないわね」

セレナの口調は実はコロコロ変わる。なぜか僕に対してだけ、幼くなる。

「で、フィオナ様のことね」

   ご名答。

「だから会わしたくなかったのに、なんで押しかけてくるの?私とフィオナ様の仲さくの?」
「仲って。君ら親友であって、恋人じゃないだろ?」
「ふんっ!同じよ」
「ええっ・・・」

外方をむく。

「どう、なりたいの?」
「妻にしたい」

顔が物凄い勢いで向き直った。
紺色の瞳が大きく見開く。

「そうゆうとりかた?」
「えっ?」
「いつも、いつも私のとるじゃない。ペンやノート」
「同じにするな!」
「じゃあ、どうして?」
「彼女と話して、幸せにしたいと思った。セレナも同じだろ。その役目僕に委ねて欲しい。君はもう時期ロバートと結婚して向こうに行く。その後はどうする?」
「・・・。でも、フィオナ様はまだ婚約中よ。例え婚約解消になっても、破棄されでもしたら・・・それこそアロン兄様に相応しくないって言う者もでてくるわよ」

そうだよな、問題は・・・でも。

「あのの力を借りるならばどうだ?」
「化け物・・・、聞かれでもしたら、やばいわよ」
「聞かれたら、だろ。ここにはぼくとお前しかいないから大丈夫だ。で、セレナはどう思う?お前だってそう思ったから彼女を誘ったんだろ?」

、つまり、あの四夫人。王妃たる母上に、宰相の妻ライア・フローレン公爵婦人、正騎士団長の妻エルファ・サフィール侯爵婦人、そしてセレの母親で大商会の妻エリミア・リンディスター伯爵婦人、彼女たちに認められれば、他の者たちは口を出せないはず。

「確かにその思惑で誘いました。ですが、それは私個人のことです。アロン兄様のためではないです」
「それでもいい。こっちはこっちで掛け合う。だから、お前はお前のやるがままやれ。あのに認めさせれば、こっちの勝ちだ」
「・・・わかりました。その時は私に感謝してください」
「ああ、なんでもお願い聞いてやる」
「ほんと、ですよ。
そうなると、あとはセシル様とフィオナ様の関係ですね」
「そっちは、解消で進める。エルアドル公爵もアンドレア公爵子息のこと知ってるだろう?」
「はい、私からお伝えしました」
「なら、あとは僕に任せろ」

こうして、外堀を埋めたのだ。




ただ、一つだけ誤算があった。


アルトがドアの向こうで聞いていたらしく『化け物たち』話をに話したのだ。(セレナと二人でいた事が良くなかったらしい)

お茶会が終わったあとで、彼女たちにこっぴどく怒られた。
五時間の正座。
     ありえないっ。

50近いのに20台に見える彼女たち。化け物だろ。だから化け物を化け物といって、


   何が悪いんだあああぁぁ!!




              おわり



◇◇◇◇◇

ありがとうございました(^-^)

ヤバい令嬢よりヤバいご婦人方が暴走してしまいましたが、彼女たちは誰も止められませんでした。

最後までありがとうございました。










しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

sakikaname
2022.10.06 sakikaname

あなたの姿を〜

から来ました
この話しは 題名に惹かれて(笑
( ´△`) .。oO(読み終わったら 他のも観に行く予定…

誤字脱字報告
1話目
今、下町から貴族の女性にやっている小説がある。 ←やっている [はやっている]又 は[流行っている]ではないでしょうか?

『君にバラの花束を』の影響もあるり、 ←[あり]又は[ありえて]又は [ありえる?]かな?

格下から解消を求めることなどできない。 ←今までの言葉使いだと、求めることなど出来ません。の方がしっくりくる気がします

初めはセシル様に優しかった。 ←セシル様[は]

続き 読みまーす!!
きっと 新しいのから完結に飛ぶ人 居ると思うので、時間あったら 誤字脱字は修正してもらえたらと思いますw
あまり多いと萎えるので(笑

承認 表示は別に… 参考にして頂けたらありがたいです

彩華(あやはな)
2022.10.06 彩華(あやはな)

ありがとうございます!!

間違い探し、がんばりますっ!!

解除
りゅん
2022.09.16 りゅん

なかなか面白いのですけど、所々誤字や文章の抜けがあり、残念かな。

彩華(あやはな)
2022.09.16 彩華(あやはな)

ありがとうございます

申し訳ないですっ!

解除
にゃおん
2022.06.22 にゃおん
ネタバレ含む
彩華(あやはな)
2022.06.22 彩華(あやはな)

感想ありがとうございます😊

趣味丸出しのものでした。テヘッ

ありがとうございました。

解除
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

運命の番(同性)と婚約者がバチバチにやりあっています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:433pt お気に入り:29

二度目の恋

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:1,733

この愛は変わらない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:1,299

この罪に満たされる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:294

悪夢がやっと覚めた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:76

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:23,056pt お気に入り:1,367

異世界に行ったらオカン属性のイケメンしかいなかった

BL / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:199

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。