【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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二十三話、なぜきたの?

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 男たちは膝をつきます。

「なんなのよ。あんたっ?」
「『結び屋』です。人と人を結びますが、結ばれた縁を壊すのは嫌なんです。
どうにもならない物は一度無くして新たな縁を結ぶ、それがわたしの役目。
あなた様の求めるものとは違います」
「うるさい、うるさいっ!」

 カロン様は吠えます。
 負け犬ほど吠えると言うやつですか?

 こうなれば恐るるに足らず。

 所詮強がっている小物。

 まっすぐ、カロン様を見つめます。
 それに耐えきれないのか、目が泳いでいます。


「なによ、なによ!」

 カロン様の右手が上がり、振り下ろされました。

 覚悟できています。
 目をとじました。



??

 きません。
 なぜ?
 受ける気マンマンですけど。
 肩透かはちょっと・・・。

 目を開けると、そこにエンリュリッヒ様が彼女の手を掴んでいました。
後ろには、レックス様とマロン様までいます。

 なぜ、ここに?


「なにしてる?」

 ドスの効いた声です。
 そんな声、出るんですね。
で、なく・・・。

「彼女に何するんだ」
「アンドリュー様・・・レックス様・・・」

 カロン様の震える声。見られたくない人に見られたんですもの、そうなりますよね。
 弱々しくなりますよね。
 こちらの方が好感度アップ。

 じゃなく・・・。

「自分のしている事がわかっているのか?」
「関係、ない・・・でしょ・・・」

 泣きそう。
 外野も震えてます。

 脅してますよ。

 えっと・・・。
 言いたいのは・・・。

「彼女は僕の恋人なんだ。君の家に抗議を入れようか・・・」


        プチッ


 ふざけんな、よ・・・。

 わたしは、

 エンリュリッヒ様に近づきました。

 そして、



   鳩尾に右ストレートパーンチ!!


 カンカンカンッ!

    ガッツポーズ!、


 
      決まりましたっ!!



「げはっっ」

 腹部を押さえて、うずくまる。

 みなさま口元を引き攣らせて、唖然。
 ドン引きしてま~す~。


 無視。そんなもんは無視して、
 聞いてみましょう。
 穏やかに、笑って~。


「なぜ、きました?」
「へっ?」
「なぜ来たのか、聞いてます」
「そ、それは・・・」
「これは、わたしの仕事です。今はやる事ない、と、いいました。よね?」

 右手をグーパー、グーパー。
 手首グルグル。

      調子よし。
   もう一発いきますかっ!
  ウォーミングアップ、オッケー♪

 全員震えてます。
 そりゃあ、そうですよね。
 侯爵子息殴りましたもの、うふふっ。

「エンリュリッヒ様、もう一発、いきましょっか~♪」

 エンリュリッヒ様の顔も変わりました。
 あら~、真っ白なお、か、おっ♪

 いいお顔です。

 さ~て、いっきますよ~♪

 歯を食いしばって~。

「だあああぁぁ!アメリアよせっ!」

 後ろからはがいじめされました。

 したのは、セレス。

 ちっ。
 いいところに現れましたね。

 いつから見てました?

 彼は真っ青な顔で全力でわたしを止めました。


  覚えておきなさいよ、セス。

  いずれ、貴方も殴ってあげるからー。








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