【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

五十七話、学園祭に向けての依頼

　目の前の光景に言葉を失った。

　カバンに入れ忘れ、手に持っていたペンが折れた。
　
　目の前の光景ーそれはラフィス殿下がアンドリュー様の腕にしがみついている姿。

　なに、コレ？いちゃいちゃ？
　鼻の下のばしてー。
　
　しわっ

　眉間にシワが･･･。

　落ち着け。
　なに、動揺してるの。
　一度、落ち着こう、ふぅ･･････。

　見てない、何も、見て、ない！


　放課後、例のカゼボで依頼人に会っていた。
　一人で･･･。

　寂しく思うのはなぜ？

　き、気のせいよね･･･。

　
　依頼人はエリザベス・テリア伯爵令嬢です。小柄な三年生の女の子。最後の学園祭で片思い中のライトニング・ボルゼスク伯爵子息を誘いたいという内容です。
　好きあらば告白したいそうですが、最後の学園祭でで思い出作りをして卒業したいのだそうです。

　あと、一ヶ月すれば、学園祭です。
　唯一、保護者ー親兄弟、婚約者が堂々と入ってこれます。
　それに伴い、学生たちは悔いのない未来を送る為に告白が多数行われるのです。
　婚約者がいながら、思いの丈をぶつけさっぱりと未来に向ける者。告白によりやけボックリに火をつける者･･･そう、卒業パーティーに火を引火させる曲者行事なのです。
　
　この時期の人間関係は把握が重要なるのです！

　学園長先生とセスは勿論、アルゼルト殿下も巻き込んでいます。
　しっかりと情報･･･ホウレンソウをして挑んでいます。

　今回のライトニング様ですが、実は、ライニング様には後婚約者様がいらっしゃいます。
　エリザベス様はフリー。
　実のところ、エリザベス様には見込みがありません。それはエリザベス様もわかってらっしゃいます。

　なので、ライトニング様の後婚約者様に迷惑をかけないようにする為にご依頼なのです。

　今回は少し学園際をご一緒して、思い出にして、さっぱりしたいというのが本音ですね。
　
　ご依頼、引き受けます。

　実のところ、このような依頼は、すでに12件入っています。

　どれも似たり寄ったり･･･。最後に告白して、振られてよい学園生活を締めくくりたい･･･という内容です。
　
　この場合は、当のご本人様と後婚約者様に前もってお話します。そして、告白云々の許可をもらい、日にちと時間をセッティング･･･し、後婚約者様は見守る方にになる、と言ったところです。その際、守る事など確認し、それが守られなければ即終了になります。

　流石にこの時期な多いので、わたし一人だけでは無理があり、自己責任になってしまいますが･･･、それでも、依頼は後を絶ちません。

　告白の相手、なおかつ後婚約者様に疑われないようにするためなら、『結び屋』を通すのがベストだと思うからでしょうから･･･。

　依頼も終わり、一息ついていると、ラフィス殿下が来られました。

　どう言うことでしょう。

　今日の依頼は終わりました。
　ラフィス殿下の予定はありません。
　しかも、なぜここを知っているのでしょうか･･･。

　殿下はわたしの前にやっていると、高らかにいいました。

「結び屋、わたくしがアンドリュー・エンリュリッヒ様と付き合いますので、あなたは、とっとと彼と別れて、わたくしを結びなさい」

　･････････。

　えっと･･･。

　頭のなか真っ白。

　答えがみつかりません、でした･･･。