【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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閑話〜ブロー領から アメリアの母エラル

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 ユリシア・・・あなたがそっちにいって、10年立つわ。

 あなたに出会った頃が懐かしい。
 お互い入学したてで、同じクラスになって、はじめての友達。
 あなたは公爵家、わたしは伯爵家。
 身分が違うのに気さくに話しかけて来て、意気投合。毎日笑い合ったわ。
 あなたのお兄様経由で沢山の人とも出会った。
 高貴な身分・・・、今の国王陛下に、サジュ、タリオン様、カイザック様、カジュエル様、護衛のバルスさん、そしてあの人・・・。

 ユリシアはカジュエル様が好きだったわね。
 でも、初めは文句ばかり言ってたけど。

「やればできるのにどうしてしないのですか?」

 って。
 あの時から、彼の才能に気づいてたのね。
 
 彼はあなたの為に変わった。

 ユリシア、あなたは強い人だった。

 一度あった、スタンピードであなたは大きな功績を残した。それを助ける為に彼は持てる力をだした・・・。
 あれで、二人の知名度上がったわ。
 ユリシアのお見合いは数百はくだらなかったし、カジュエル様の引き抜きもあまたきていた。
 でも、二人は見向きもしなかった。
 丁度タリオンとサジュの駆け落ちもあったもの、周りもそれどころじゃななかったわね。
 でも、あなたたちが関わっていたなんて、何で教えてくれなかったの。

 ・・・そうよね。あの時、わたしはそれどころじゃなかったもの。

 あの人との関係が切れて落ち込んでいたもの。
 あの人はわたしでなく、親の決めた公爵令嬢との政略結婚を選んだもの。
 カジュエル様も、ユリシアも激怒したわ。

 諦めたはずだったのに・・・。
 たまたま会って・・・、馬鹿なことをしたわ。
 たった一夜の過ち・・・、あの子を身籠もった。
 あの子を恨んだことはないわ。

 でも、あの子を身籠もって、決まっていた結婚は破棄され両親には除籍され、町に放り出された。
 あの時は本当にどうしようか困ったわ。
 死を覚悟したー。
 
 結局、ユリシアを頼った。
 カジュエルと身分差の結婚をして、特例で国王陛下からいただいた領地にいるユリシアを訪ねたら、あなたはわたしを抱きしめてくれた。
 いっぱい泣いたわ。
 あの子が生まれるまでお世話になってのよね。

 でもあの人の奥様が嫉妬深いからと、タリオンが自分の所に来いっていってくれた。
 住み込みで働けるし、裏方仕事だから貴族に気づかれないのがよかった。
 いつまでもユリシアのところでいられなかったし・・・。あなたは泣いてたわ。胎教にわるいでしょうに・・・。

 タリオンのおかげで、ユリシアに会いに来れたわ。

 でも、まさか、あの子のことがバレているとは思わなかった。
 あの子は連れ去られてしまった。
 わたしは・・・あの人の奥様にはめられ、借金を背負わされた。
 タリオンに迷惑をかけれないと、辞めたら・・・娼館に売られて・・・、はじめてのお客がカジュエル様でその場で身請け。
 訳もわからず、ユリシアに感謝をしながらカジュエル様の館につけば、あなたは・・・いなかった・・・。

 あんなに元気だったじゃない。
 別れる時また会おうねって言ったでしょ。
 一年よ。なぜその一年でいなくなるの。
 なに一人で行ったの?
 可愛い二人の子供を置いて。

 わたしは彼の館でメイドとして働いた。
 ユリシアの言ってた通り、無駄遣いが多いの。わたしの身請け代も借金したんでしょ。信じられないわ。

 アメリアが怒るはずよね。
「父さん!人が良すぎる」って。
 お金を使うな!じゃないのよ。

 ほんと、困ってる人にはお金と知恵をすぐに与えるの。
 ユリシアがいつも、苦笑いしてた意味がわかるわ。

 彼の側は居心地がよくて、離れることが出来なくて、惹かれる自分を自覚したわ。
 
 ごめんなさい。ユリシア。
 でも、あなたはこうなることがわかってたの?
 アメリアからもらった、あなたからの手紙。

「あとは、よろしく」って。

 なによ・・・。
 
 アメリアもテリーも、いい子だわ。
 カジュエル様に似て頭が良くて、ユリシアに似て強い子たち。

 わたし、大好きよ。

 あなたのかわりに、彼を幸せにすることを、あの二人を見守ることを誓うわ。
 
 ユリシア。

 あの子がーアンとアメリアが出会ったみたいよ。
 タリオンから手紙をもらったの。
 元気みたいだわ。

 
 そろそろ会いに行ってもいいかしら?

 楽しそうじゃない?

 ふふっ。

 あなたがいればーもっと楽しかったのにねー。










◇◇◇◇◇


次から本編~最終・・・学園祭編になります。
アンドリューとアメリアの進展をお楽しみください。
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