【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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六十九話、学園祭最終日はカオスな一日5

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「ロウゼスト、マジでやめてくれ。お前の今での功績な認める。しかし、カジュの情報網は馬鹿にできんのだ。すでにアルゼルトからいくつか不正の情報が上がってきていただろう。すべてカジュの集めたものだ。カジュに捨てられたら、この国は一貫の終わりなのはわかってるだろう・・・」

 国王陛下の悲痛な声。
 意外です。

「私だけではありませんよ。タリオンはの巡行のお陰ですよ」
「それも見込んだんだろうが!」

 父さんは満足そうに笑います。
 でも、知ってます。

「「「「「ユリシア(母様)の趣味、ですよね」」」」」

 母さん、伯父様、学園長、テリー、わたしがいいます。
 ええっ、きっと母様が見てみたいと無理難題を吹っ掛けたに違いありません。そして、父さんは力の限りそれに応えた。間違いなく・・・。

「なんでわかったのかな?シアが楽しみたいって言うからタリオンをだまくらかして作ったのに」

((((やっぱり))))

 どこからともなく心の声が。

「だから情報に関してはほんと、副産物ですよ。お土産がものでなくて情報なのには、シア怒ってたな」
「やめろ!!しっかり首締められて落ちたんだから。あんな苦い思い出は一番いらん」

 タリオンが身震いした。
 母様にやられたんだ・・・。

「お前だって、何度やられた?」
「週一ペースかな・・・」

 父さん、笑いながら母様の過去を暴かないでください。

「カジュエル様、それは内緒ですわ。わたしだって二人には言ってませんのに・・・」
「あっ・・・」

 どう言うことでしょうか?
 知らない母様の事実がボロボロと出てきます。

「今更だろう」
「今まで話に上がらなかったことが不思議だ」
「ちょっと、待って。今はユリの追悼会ではないはずですっ!」

 学園長がそれた道を正してくれます。
 本筋はどこへ行ったのでしょうか?
 なんの話をしてましたっけ?


「ユリのこともエラルのことも置いておいて、今はラフィス殿下のことです!」




 ・・・・・・・・・ぽむっ!



 ・・・・・・。
 そうでした。

「コフィ・・・国王陛下、貴方の考えはどうなのです?」
「・・・」
「わたくし・・・わるく・・・」

 やっと、元に戻った話題。
 気を取り直したのか、大人しかったラフィス殿下が口を開きます。

「ならなぜ、正騎士を父上の許可なしで動かした?なぜ学園祭でそういった行動をした?お前のいう、王族はなんだ?騒ぎを起こして当然か?」
「この人が悪いの!わたくしが悪いわけではないわ」

 指差すな!
 人に責任転換するな!

「違うだろ!やり方なら他にもあったはずだ。
 正騎士を使ったということは、父上、国王陛下の身の回りの警備を手薄にした。正騎士を使ったと言うことは権力で押さえつけようとした。
 学園歳というハレの日に水をさした。コレについて、聞いているんだ。
 好きになった男を捕まえたいなら自分自身で動け。周りを巻き込むな。
 敢えていうが、俺ならお前みたいな権力で物にしようとする自己中心女はお断りだ!」

 アルゼルト殿下言い切っちゃいましたね。
 顔を真っ赤にしたラフィス殿下。涙が溜まっています。

「だってっ、だって~」

 子供のように泣き出しました。




◇◇◇◇◇


ぽむっ。

それは、あっ、そっか と手を打つ音。
やっと、話が戻りました。
 
 
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