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二章、学園時代

14歳ー2

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「こればかりはどうしようもない」
「光魔法・・・治癒魔術では治らないのですか?」

 カリナなら・・・、そう思ってしまった。
 今は能力的に未熟でまだ使いこなされていないがカリナなら希望があると思う。

「そうだね。でも・・・無理かな・・・」
「どうして、ですか?」

 眉を僅かに寄せ苦笑いをした。

「政治的理由からだよ。君も知っている通り、僕とガナッシュは側室の子だ。元は正室だったけど、レイドリックの母、バンドリア国の王女であったマイヤー様が嫁がれたことで母は側室になった。
 今の王宮は王妃派と側室派で二分されている。今はまだ側室派が少し優勢だ。王妃派にとっては僕の病気が治ればますます脅威になると感じているだろう。だからこそ僕の病気を治さないよう彼らは妨害してるんだ」

 そんなことになっているとは知らなかった。

「これからは、君も渦中の人になるのだから、そのあたりも見聞きするべきだよ」
「わたしも、ですか?」

 意外な言葉に驚く。何故なのかわからなかった。
 わたしの疑問を感じ取ったのか、殿下は教えてくれる。

「君はカリナ嬢の姉だ。しかもその魔力は大きい。理解が足らない幼子ならまだしも、こうして魔術科に最年少で編入を果たした才女。国はそんな君を放ってはいられなくなる。
 僕ら・・・側室派は平和主義だが、王妃派は戦争も視野に開国をしようとしているらしい。そうなれば、君は王太子妃になるカリナ嬢を護るためと、前線に駆り出されるかもしれない・・・」

 考えもしなかったことに、わたしは絶句した。

 カリナのためと言われたら、わたしはどんな行動をするのだろうか・・・。

 きっと顔色が悪かったに違いない。
 殿下は困惑したようにあわあわしていた。


「ごめん。ちょっと大袈裟だったな。君はまだ、14歳なったばかりなのに。ごめん・・・」
「いえ・・・。少し、風に当たってきます」


 わたしは隠れ場に向かった。

 色々知ることは好きだ。でも、すぐ隣で起こっていることに対して考えたり調べたりしてこなかった。

 無知な自分にショックだ。

『お前のせいではない』

 セイカが励ましてくれる。

「それでも、知ろうとしなかった・・・」
『ならば、次から気をつけることだな』

 セイカの言う通りだった。

 わたしは静かな隠れ場に座り、風を感じていた。

「エルファ?久々に来れたの?」

 茂みが揺れたかと思うと、ひょこりとレイが現れた。

「レイ・・・」
「どうかした?」

 レイはわたしの顔色で何が勘付いたらしい。
 どう言えばわからなかった。

 今現在こうやって、アスナルド殿下とレイドリック殿下と建前なしで交流を持っているのは、カリナ以外ではわたしだけではないだろうか?

「何かあったんだね。僕に話して」

 優しく言ってくる。

 言っていいものかわからない。わたしの発言で何かが変わったらどうしょう・・・。

『エルファ、結界を張った。今のこいつなら大丈夫だ。話しとけ』
らん様?」
『小僧、セイカでいいといっている!』
「わかりました、セイカ様。僕のことは・・・」
『小僧、だ』
「あっ・・・は、い・・・」

 セイカにそう言われ、レイは肩を落とした。

 つい、笑ってしまう。

 少しだけ、気分が落ち着いた。

 意を決して、先ほどのことをレイに話すことにした。
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