全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)

文字の大きさ
33 / 33
連載

番外編.ラフィシア視点

 全くどうなっているのかしら。
 
 噂で聞き、下調べもしていたがそれ以上にボロボロのアルザス国。
 
 社会の仕組みさえ揺らいでいるではないか。

 国王を前にして『無能』と呟いてしまったほどに、だ。

 そんなアルザス国だからこそ皇帝陛下お兄様はアルザス国の王太子マトリック殿下の元に嫁ぐよう言ってきた。


 全てのきっかけはアルザス国からの1通の手紙がきっかけだった。

 あの頭にヒヨコでも飼っていそうな王太子が自国に帰って2週間ほどしてから送ってきた手紙。内容は、粗悪品の薬によってアルザス国の小さな命が母親の手によって奪われたというものだった。
 それにより、王太子妃母親、その一族を処刑にするという書かれていた。

 処刑?
 そこまでする?
 それが王族であり、『子殺し』なら処刑もあり得るか・・・。

 腐りきった国での判断にどんな意味があるのだろう・・・。

 自分の目で見て考えて見たかったので私は皇帝陛下に申し出て、見届けに行った。

 まぁ、この判断で他国でも水面化で扱われている粗悪品の取り締まりの強化になるなら価値はあるのかしら?

 そんなことを思いながら・・・行ってみれば、王太子は真っ青を通り越して、真っ黒といっていいほどの顔色が悪かった。
 
 頬もこけている。

 『苦労してきた』のが一目で伺えた。

 少し『悲劇の人』感を漂わせているのには呆れてしまったが。

 苦労したのはわかるけど・・・ちょっと違う気がするわ。

 全部あなたたちが、しでかした事でしょうって言ってやりたい気になった。

 はあ・・・。
 どうしてこんな男が王太子なのだろう。

 こんな王太子がいずれ国王になるなんて国民が可哀想だわ。
 私が平民なら逃げ出すかもしれない。


 あまり良い思い出もないだろうが、ここはリサの生まれた国だ。

 この国がこれ以上何かあればリサは無茶なことをするかもしれない。

 だから、私は皇帝陛下の話を受け入れた。


 ふふっ・・・。

 私の手で作り直してあげるわ。

 私が理想とする国に作り変えてみせる。

 そう考えるとワクワクしてきた。
 ドキドキしてきた。

 お兄様みたいにやって見たい。国を改革していきたい。

 アルザス国には私の信用のおける人たちを何人か連れてきた。
 
 彼らには国の隅から隅まで見てきてもらい報告してもらった。

 はぁ・・・。

 本当にやばいわね。
 頭を抱えてしまうくらい。

 一度、国王に挨拶に行けば、威厳も何にもないただのおじさまが王座に鎮座しているだけだった。
 だから思わず『無能』と呟いてしまったのだけど。

 大臣らが真っ赤な顔で責めてきたけど、なんなのかしら?

 五月蝿いから正論で返してやった。

 今の国内の治安や生活状況など、調べ尽くした事柄をぜぇんっぶ、洗いざらい喋って、『今後の改善策はありますの?あるならどうぞ言ってくださいな。お聞きしますわ。・・・・・・ないなら黙って見ていなさい』と言ってやると、彼らは震えながら黙っていた。

 ふんっと鼻で笑ってあげた。

 初めは形だけは王太子に許可を取りながら改革を進めて行った。

 役所の一律化を図ってみたりとか。

 本当に初めだけよ。
 もう少し実績を作って認めさせればこっちのものだもの。

 突然現れた目の上のたんこぶわたくしを、毒殺しようとしたり、暗殺者を送り込んできたりしたけど、負けるわけないでしょう。

 お兄様に鍛えられたわたくしはラフィシア様を舐めないで欲しいわ。

 それに私の優秀な側近もいるもの・・・。


 仕事をしながらリサの両親の事も耳に入ってきた。

 母親は柵のある療養所でいるみたい。父親は、斡旋した仕事場から逃げ出したとか。才能もないようだから、余程の幸運が到来しない限り野垂れ死でもするかしら?
 妹は嫁いだきり姿を見せないみたいね。

 弟はまぁ頑張ってるみたいか・・・。

 リサの幸せを邪魔しないようだし、放っておいても良さそうね。

 


 仕事の休憩中に、私はあの王太子の娘であるリリアン王女に絵本を読んであげていた。

 私はリリアンと仲良くなった。

 懐いてくれている。

 幼いこの子にはまだ王太子妃の死はわかっていないようで、時たま母親を求めて夜泣きをしているらしかった。
 仕方ないわね、こればかりは。

 死んだものを生き返らす事はできないのですもの。

 受け入れなければー。


 この国に嫁ぐからには私はこの子の母親として向き合わなくてはならない。

 でも、無理に母親でなくてもいいわよね。
 少しずつ関係を築いていけば。


 子守唄を歌った訳ではないのに、おはなしの途中で私の膝を枕にして眠ってしまったリリアンの頭をなぜた。

 この子や子供たちが笑って過ごせる国を作るのが私の目標だ。

 

 この子たちは私の為にも必要な道標。

 まだまだ、先は長い。

 頼りないあの王太子の教育も必要でしょうね。

 形だけでも、もっとしっかりしてもらいましょう。

 そんな事を考えながら、リリアンのふわふわ髪を撫ぜ続けた。







               ーおわりー


 

 

 
感想 1,818

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1818件)

ブリトニー
2025.05.09 ブリトニー

姉を信じて慕ってくれた相手程悲惨な事になったし、姉の嘘がなければ人材流出もなく新薬も開発・流通したかもしれない、王子や国民は命を落とす事もなかったかもしれない と思うと姉は本当に罪深い。この人ばっかりはあの世で反省後悔してますじゃ済まされないなぁ…。
それぞれの因果応報にはやや思う所ありますが、臨死体験での再会は粋な演出でしたし、凄く引き込まれて面白かったです!

2025.05.09 彩華(あやはな)

感想ありがとうございます。

解除
RJG
2025.01.06 RJG

 リゼッタリゼッタと、周囲美化し過ぎだろ。どんだけ好意持っていても、サリーナを一切見ようとしないなんて王太子妃も旦那も節穴かよ。金惜しさにサリーナを傷付けてる人間が王太子の側近なんて務まるのか。まだ途中だけど、ヘイトが凄くたまりますな。

解除
猫と犬とハムスター
2024.06.26 猫と犬とハムスター
ネタバレ含む
2024.06.26 彩華(あやはな)

ありがとうございます😊
ぜひお手に取っていただけたらと思います。
励みになります。

解除

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

七年目の裏切り 〜赴任先の夫から届く愛の手紙は、愛人の代筆でした〜

恋せよ恋
恋愛
「君は僕の最愛だ。もう二度と、君を危険に晒したくない」 命懸けの出産後、涙を流して私を抱きしめた夫ジュリアン。 その言葉通り、彼は「私を大切にするため」に夜の営みを断った。 私は、女としての寂しさを「愛されている誇り」に変え、 隣国へ赴任した夫を信じて二人の子供と家を守り続けていた。 毎週届く、情熱的な愛の手紙。タイプライターで綴られた その愛の言葉を、私は宝物のように抱きしめていた。 ……しかし、その手紙は「裏切り」だった。 夫が異国の地で、愛人と肌を重ねながら綴らせていた「偽りの愛」。 身分を隠して夫の赴任先の隣国へと向かった私が見たのは……。 果たして、貞淑な妻・メラニアが選んだ結論は……。 子供たちのため結婚生活の継続か、それとも……。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!